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『記憶』

作者:零那
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『足枷』



人として産み堕とされた。
其れが間違いの始まり。
貴女の元に産み堕とされた。
其れも間違いの始まり。

さて、小さな小さな籠の中の鳥。
目の前に広がる空が在るのに飛ばしては貰えない。
そのうち意志なんて削がれ、感情も失いつつ在った。

悲しさや虚しさは無くなってった。
そうすると、期待感や希望も無くなってった。
残ったのは、解放。
そう、何も期待しなくなったら楽になった。

僕には足枷が在る。
其れでも飛べた。
心の中は自由だから。
一体1日で幾度殺したんだろう。
毎日毎日、幾度殺したんだろう。

人として産まれ、物として放置され、死にかける。
そして人形に産まれ代わりオモチャに成る。
生存してるものの心は死んでいた。

思いも寄らぬ出逢いで人間に戻った僕は様々な感情を得た。
人間は人間で在る為に感情を棄てては成らないと知った日。

重い重い足枷を外して目の前のドアを開けたら景色は変わった。

全てのことを冷静に受け入れるには、これでもまだ足りない。
けれど、もう人間だから、人間として生きれてるから...
だから、生きてて良かったと言える。
そう言えるようになった。
心から、そう言える今、足枷はもう無い。


 
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