恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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262部分:第二十二話 ガルフォード、見てはいけないものを見るのことその六
第二十二話 ガルフォード、見てはいけないものを見るのことその六
「その犬達は何かできるのか」
「勿論さ。忍犬なんだよ」
「忍犬!?」
「忍術を使える犬のことさ」
それだというのである。
「それなんだよ」
「ふむ。では貴殿と同じか」
「そういうことさ。頼りになるパートナーだよ」
笑顔で屈んでそのうえでパピーの背中や顎をさすっている。パピーはそれだけで尻尾を振って実に嬉しそうな様子を見せている。
「何時でも一緒さ」
「そうか。犬も一緒か」
「実はこの犬達は切っても炎を当てても死なないのだ」
半蔵は何気にこのことも話した。
「実に頑丈な身体をしている」
「では弓矢を受けてもか」
「そうだ。死ぬことはない」
半蔵は夏侯淵のこの問いにも答えた。
「見たところ貴殿は弓使いのようだがな」
「わかるか」
「その手は弓を使う手だ」
夏侯淵の指を見ての言葉だった。見れば右手のその指がへらの如く平たくなっている。半蔵はその指を見ていたのである。
「常に矢を持っているな」
「確かにな。私は弓が最も得意だ」
「だからだ。それでわかった」
「鋭いな。どうやら忍というものは頭もいいようだな」
「そうでなくれは生きられはしない」
半蔵の言葉はここでは真剣なものになった。
「影に生き影に死ぬのだからな」
「俺は影の方とは関係ないけれどな」
ガルフォードはそうだというのだった。
「誰にも仕えていない正義の為に戦う忍だからな」
「正義か」
「ああ、俺は正義の為に戦ってるんだ」
微笑んでシャルロットに話す。
「それが俺なんだよ」
「ふむ。今この世は乱れに乱れている」
夏侯淵はガルフォードのその言葉を受けてだ。今の彼女達の国のことを話した。「ならばガルフォード殿」
「ああ」
「その力と心、役立ててもらうぞ」
「ああ、こちらこそ宜しくな」
ガルフォードは夢のことを忘れて夏侯淵の言葉に笑顔で応えた。そしてその頃夏侯惇はだ。金髪と立てた男と稽古をしていた。
「ふむ、やるな」
「おう、俺はやるぜ」
黒い上着に黄色いジーンズである。両手にはトンファーがある。
それを見守るブロンドの女は気の強そうな顔に赤いブラと青い上着にジーンズだ。彼女の手には長い鞭が持たれている。
「伊達にサウスタウンで探偵なんてしてねえさ」
「稼ぎは全然ないけれどね」
「レニイ、それは言いっこなしだぜ」
彼は女の言葉に少し口を尖らせた。
「あの街じゃ探偵は儲からないんだよ」
「あんたがいつも変なことするからじゃない」
「おいおい、俺は別にだな」
「してるわよ」
「おいおい、何を喧嘩しているんだ」
夏侯惇はそんな二人に対して言った。
「ロディ=バーツにレニイ=クレストンだったな」
「ああ、そうさ」
「名前覚えてくれたのね」
「そうだ。どちらも腕はかなりのものだな」
実際に剣を繰り出して確かめていた。
「ふむ。やはりあちらの世界から来た人間は違うな」
「へへっ、そりゃどうも」
「給料分は働くから安心してね」
二人は不敵に笑って夏侯惇に言葉を返す。
「しかし。こっちの世界は何か賑やかね」
「そうね。美人さんも多いしね」
「おいおい、稽古の時にそうした話は止めておけ」
夏侯惇は二人の今の言葉には苦笑いで返した。
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