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地下三階

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第四章

「インスピレーション?」
「っていいますと」
「閃きとか」
「感性とかそんなのですか」
「そうよ、芸術のね」
 それだとだ、男は二人に答えた。
「まさにね」
「いえ、ですからここ百貨店ですよね」
「そうですよね」
「何でか地下三階ですけれど」
「ここ地下二階しかない筈なのに」
「三階あるの不思議ですけれど」
「訳がわからないですけれど」
 また話した二人だった。
「閃きとか何とか」
「訳がわからないです」
「あの、ですから」
「どういうことですか?」
「ああ、貴女達は間違えて来た様ね」
 男だけが納得して頷いた。
「それでここに来たのね」
「間違えて?」
「間違えてっていいますと」
「この近くに凄い芸術家が来てるからインスピレーションを与えようと思っていたけれど」
 それがというのだ。
「こちらが伝え間違えて貴女達に与えてそして呼んじゃったのね」
「呼んだ?」
「どういうことですか?」
「だから貴女達に芸術のインスピレーションを与える予定じゃなかったの」
 そうだったというのだ。
「別の人になのよ」
「何か全然お話がわからないです」
「それこそ」
「あの、ですからインスピレーションとか」
「何なんですか」
「だから貴女達には関係ないから」
 やはり男は彼だけの事情で話した。
「気にしなくていいから」
「滅茶苦茶気になります」
「どういうことですか?」
「本当に一体」
「何なのか」
「まあまあ、あたしは別の人に与えるから」
 そのインスピレーションをというのだ。
「貴女達は気にしないで、それはそうと」
「それは?」
「それはっていいますと」
「貴女達双子ね」
 二人のそのことをだ、男は気付いた。
「そうでしょ」
「はい、そうです」
「私達双子です」
「顔は違うところもありますけれど」
「双子です」
「そうね、しかも波長も合ってるし」
 男は二人のこのことも見抜いた。 
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