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ボカロ♡ロマンス

作者:nsk118mk
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第1話 生徒会室にて

 
前書き
那覇君と会長さんは現在、新入生のための資料作りをしています 

 
私立多賀野宮高校とは、山梨県甲府市に存在する15年前に設立されたばかりの比較的新しい中高一貫校であり、県内有数の進学校である。
1学年240人、留年・留学生含めて1444人の生徒が日々学業に勤しんでいる。
多賀野宮高校の創立者の名前は「那覇兼光」と言って、近くに存在する私立大学の研究室で「アンドロイドはどこまで人に近づけるか」というテーマについて研究していた。 この研究室…「那覇研究室」は12年前になんらかの事故に よって取り壊しになったそうだが、どこかではその研究を続けている者も居るらしいと噂になっている。

「こんなとこでどうですかねー?」

「んー…やり直しかな」

「えー…」

「いや、こんな説明文載ってるパンフレット見たって誰も今からはじまるキラキラのハイスクールライフに想像をはせたりはしないでしょ」

「そんなこと言うなら自分で書いてくださいよ…会長だってそこそこ頭いいんだから。それに、俺にそんな頭の悪そうな高校生活を他人に想像させるなんてことは無理です」

「ねぇ、さりげなく自分の成績を自慢してない?」

私立多賀野宮高校の校舎は、大きく南館と北館に分けることが出来る。
南館は生徒が普段生活するHRがあり、北館には特別な教室…例えば生徒相談室や化学実験室のような、日常生活ではあまり馴染みのない教室が存在していた。
北館一階の校舎の東側の端の方に生徒会室はまるで秘密基地のように存在していた。
手狭な部屋の中には大きな長机が1つ設置してある。部屋の隅には地味に最新鋭のパソコンが2台設置してあり、パソコン専用の授業用の机もその下に2つ設置してあった(何故か冷蔵庫や電子レンジまであるが、気にしたら負けである)
生徒会室には、現在2名の生徒会役員がいる。
長机でなにやら書類の整理をしているのは、明日から3年生になる生徒会長の石川香奈美。ぽわぽわとした雰囲気をまとった天然系の人であるが、やる時はやる真面目な人でもあった。あと、常に茶髪気味の髪の毛を頭の高い位置でまとめているため、「ポニテ会長」なんて呼ばれている。
そしてもう1人、生徒会室の隅でパソコンに向かってなにやら作業しているのは、この物語の主人公にして今回の独白を担当している那覇太樹である。ほっそりした眉毛に、常に気だるそうな目。顔だけ見ればいかにも冴えない系の男子ではあるが、これでも定期試験は全教科満点のダントツの一位だし、全国模試でも3桁以下は取ったことないというレベルの秀才である(自我自賛)

「…そう言えば今年は伽耶ちゃんがうちの学校に入るんだっけ」

「まぁなんとか…決して楽な道ではありませんでしたが」

「毎晩夜遅くまで付きっ切りで勉強を見てあげてたもんね…」

「おかげで、俺の目がいつにも増して気怠げになっちゃいましたもん。ミクの方が物覚えがよくて、途中から色々助けてくれたおかげですね」

「ミクちゃんはアンドロイドなんでしょ?なら、並みの人より頭良さそうだけど」

「会長には何度も説明した気がするんですが、ミクも基本は人間から作られてますし会長の想像するほどロボロボしくないんですよ…だからそんなスパコン並みに計算が早いとかはないんですよ」

「でも、入試の成績は1番なんでしょ?」

「まぁ、そうですけど…」

突然ではあるが、我が家に共に住んでいる2人の同居人の話をしよう。
南風原伽耶、彼女は俺の義妹である。俺の両親は研究室の事故で亡くなっており、当時まだ幼かった俺を引き取ってくれたのが南風原夫妻だった。当初はそれなりに可愛がってもらっていたのだが、途中から虐待まがいの扱いを受けるようになったので、あまり感謝はしてないが。
まぁ、自分の子供が一度出来て仕舞えば養子なんかよりそちらに愛情が傾くのは当然であるが、当時の俺にはそれが理解出来ず、そのせいで一時的に仲の悪かった時期もある…が、基本的には伽耶は兄思いでいい奴であり、今は仲良く過ごしている。
一方、ミクとは両親が研究室で様々な実験と苦労を重ね作り上げた初期の人間型アンドロイドの試作機であった。アンドロイドと言っても人間と同じ機能を持ち、人間と同じように感情も存在しているので、本物の人間と大して変わらない。というか、1ヶ月に一度はメンテナンスが必要である点以外は殆ど人間と変わらないのである。

「それにしても羨ましい限りだねぇ…あんな美少女2人と寝食をともに出来るなんて…」

「会長、言ってることが親父くさいです」

「ひどぉい」

「それに、貴方だって俺の家によく遊びに来るじゃないっすか」

「だって隣なんだもん」

「だってじゃないですよ。人の家を溜まり場にしないでください」

「溜まり場になんてしてないもーん」

「はぁ…」

思えば俺は会長には振り回されてばかりであった。そしてお世話になってばかりだった。
家も近いことから昔から幼馴染ではあったのだが、俺が南風原家に引き取られたこともあって一時期離れ離れになったこともあった。その時に俺は色々と辛い経験をしたため、今でも人間不信から抜け出せないでいるのだが、それでも当時よりマシなのはひとえに会長が色々と振り回してくれたおかげである。(例えば、無理やり生徒会役員に指名するとか)
高校に入って、実家に俺が一人暮らしをするようになってから、昔のように「たーくん」なんて呼んでくれたときは、めちゃくちゃ恥ずかしかったがとても嬉しかったことはよく覚えている。

「…っと、もうこんな時間か。仕事もひと段落ついたし、そろそろ帰ろっか」

「うっす」

「戸締りは私がやっとくから」

「ありがとうございます、それではお先に失礼します」

「お疲れ様ー」

…今日も1日が終わる。
家に帰れば賑やかな連中が待っているのだろうけれど、まぁそれも悪くない。 
 

 
後書き
次回、新ヒロイン登場‼︎ 
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