木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく
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イザイヤの宿命
やっとこの章が終わる。これで原作に...入れないだと...
もう少しオリジナルは続きます。
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イザイヤの下には血の池ができる。
その池は留まるところを知らずにどんどん広がっていく。
人間が流したのであれば到底生きていられるはずもない......そう人間ならば...
「がァァァ!!」
「天使でも叫ぶようだな」
「貴様ァァァ!!」
イザイヤにトドメを刺そうとした下級天使は、手に持っていた光の剣ごと腕を切られそこから大量に血が流れる。
それを止めようと手で抑えているが、止まらずに逆に沢山なれていく。
この惨事を起こしたのは裏切ったはずのバルパーだった。
「なん......で...」
「はぁ...イザイヤいつまでそんな演技をしている。はやくしろ最後の目的があるだろ」
イザイヤは残念と言う顔をして懐からイザイヤの顔をした人形を取り出す。
その人形を前に突き出すと頭を握りつぶし、そこら辺に投げ捨てる。
すると、イザイヤの身体中にあった傷が何も無かったかのように消え、落とした干将・莫耶を手に取りバルパーの横に並ぶ。
「それは身代わり人形だと!何故持っている!」
「貴方がたが渡したではないか」
「なに?」
中級天使はバルパーの返答で何故持っているのかを思い出した。
そもそも身代わり人形とは死以外の傷であれば何でも身代わりにできる人形だ。欠点として身代わりにする傷は受けてから10分以内しかできない。
だがそんなデメリット傷を受けてすぐに身代わりにすれば、あっても無いような物だ。
しかしその人形は絶対数が著しく少ない。
原因としては作成方法にある。
手順としては天使達が1ヶ月関一定の量の光力を人形に送り続け、やっと1個が完成する。そのためフェニックスの涙のように一般的に出回らず、教会のトップの人間が1個持っている程度だ。
そこをバルパーはイザイヤの危険性を話し1個念のために貸し出してもらった。
結局すぐにイザイヤに横流しにしていたが。
「どうして裏切るのですか?」
「?何を勘違いしている?...私は初めから貴様ら屑の仲間になどなっていない」
「屑ですか...」
「あぁ屑だ。私は確かに今回の実験の事を計画した。それは教会のためを思ってだった......実験が進むうちにとある話があがった」
そこからは皆わかっている事だった。
被検体の処分。口封じの意味合いもあったのだろう。それを聞いた瞬間バルパーは抗議した。
けれど誰にも聞き止められるずにどんどんその話は進んでいき、決定事項となっていた。
子ども達の命を守るために脱出の作戦を考えていた。その過程でイザイヤと出会い今に至る。
今回も裏切ったふりをしたのは最初から作戦だった。
教会を囲んでいる塀は天使達が作った物で、破壊でもされればすぐに天使達が気づいてしまう。しかし、出るにはその塀を壊さねば出れない。なので違和感のないよう自然に壊すしかない。
バルパーの計算ではイザイヤの作った『魔帝剣グラム』で壊せる。だが逃げるために壊すと気づかれ天使達と戦闘になる。もし戦闘になればたちまち殺される。
だからこそバルパーは内側から騙し、イザイヤは外側から騙した。
結果は大成功してイザイヤ以外全員逃げられた。
「それでは始めましょうか...僕の喧嘩を」
「違うな私達の喧嘩だよ」
「来るがいい人間!騙した罪高くつくぞ!!」
バルパーは片腕を失った下級天使と、周りに比べ1回りほどいい体格をした下級天使を相手にする。
イザイヤは残った3人を相手にする。
天使達は基本空を飛んでいるので攻撃を届かせるために、雲にまで届くほどの剣を地面から生えされる。
流石の天使もそれに驚くが別に避けられない速度では無いので、余裕で躱すと剣に視線を移したためイザイヤの姿が消える。
「どこだ!」
「どこにいる...」
「......まさか上か!」
中級天使は全員の視線が下に向いていることに気づき、咄嗟に視線を上にあげると上空から雲すら隠す量の魔剣が降り注ぐ。
他の天使達も上に気づいたが、気づくのが遅く中級天使以外の天使は身体中に突き刺さりながら、地面へと落下していく。
降り注ぐ剣はある一定の場所だけで、そこから逃げるために全力で飛んだので、かなりの疲労が体を襲う。
1度その疲労を回復させるために地面に足をつくと、足を拘束するように魔剣が挟み合い、ピクリとも動かなくなる。
「これで終わりです」
「まさか人間がここまでやるとはね」
「ならあなたに聞きます。この事を決めたのは誰ですか」
「決めた......ミカエル様だかしら。もう十分だろさっさと殺してくれない?」
「そうですね」
「終わりよね
貴方達人間が」
「がハッ」
トドメを刺そうと振り上げると、突然身体の奥底から血がこみ上げ吐血をする。
何事だと腹部を見るとそこには光の槍2本突き刺さっている。
その光の槍を持っているのは魔剣で押しつぶして倒したと思っていた天使2人だった。
油断したな...ミスった。
「ぶふァ」
「イザイヤ!!」
倒れるイザイヤを支えようと駆け寄ろうとするが、2体の天使が前に出て妨害する。
静かに眠るように瞳を閉じて思う。
最悪だな...最後の最後でこれかよ...
───諦めるのか?
初めて禁手化した時と同じ声が頭に響く。
それと何故かこの声を聞くと安心する。
諦める?仕方ないだろ...だってもう無理だ。身代わり人形も1個しかなかった。これ以上何をしろって言うだよ!
───立てそれがお前にできる事だ。
そんな力はない...それにもう疲れた。頑張っただろ俺!皆を助けるために動いた!それで充分だ!!2度目の人生もこれで終わりさいなら!
───本当にいいのか?
言いつってんだろ!!
───心からそう思っているか?
あぁ思ってるよ!
───最後に聞くぞ本当か?
...............嫌だ...また皆に会いたい。だってあんなに頑張れたのは、皆が好きになったから!だから頑張れたさ...けどもう無理だ...立ち上がれないよ。
───その言葉が聞けたのなら充分だ。貴様の枷を解こう...それにこんな堅苦しい言い方疲れるし。
帰れるのか?
───お前次第だよ...イザイヤ。頑張ってこい!
あぁ、任せろ!!絶対にみんなの所に帰る!
視界はまた光を拾い立ち上がる。
イザイヤが立ち上がった事に驚く。どう考えてもあの血の量は致死量のはず。なのに何故立ち上がれると...しかし次の瞬間には目を疑う事になる。
イザイヤの方からヒビが広がりそこから黒い靄が溢れ、背中で大きくなり続ける突起物により服が膨らみ、数秒もすれば破れさる。
妨害する物がなくなると、さらに大きく広がっていきそ、イザイヤの背中には黒い翼が生える。
その翼は天使達のもつ羽を黒く塗りつぶしたように全く同じ形をしている。それを見て中級天使を驚愕の声をあげる。
「何故堕天使の翼を持っている!何故だ!」
その質問にイザイヤは答えることはせずに、手元に1本の剣を握る。
その剣は全てが同じ黒で作られていて形も歪、剣とすら呼んでいいものか分からない。しかしその剣にはたっぷりとイザイヤから溢れる黒い靄が付いていて、明らかに危険だ。
だからこそバレないように逃げようとしたが、ハイライトの消えたイザイヤの瞳から逃げる事はできない。
後ろにちょっとずつ下がっていた天使は小石に躓き転ぶ。痛!と思ったが今はイザイヤがいた事を思い出し前を向くと、すぐ目の前で剣を振り上げていた。
「は?」
その剣が振り下ろされ切られた天使は身体全体が粒子レベルまで破壊され死ぬ。
その光景を見たもう1人の天使は自分も殺されると、振り返って逃げようとする。
それを止めようと中級天使は声をかけようとするが、すぐにその相手は目の前で消える。
何が起きているのか理解ができない。
中級天使ですら目で追えない速度で動いて、一撃で仕留めていき堕天使の羽を持つ少年。
人外を持ってすらバケモノと思える。
「黒い翼...だが堕天使と人間の子供など基本ヤツらが許すはずが......いや待てよ...確か昔に堕天使と人間の子供が......」
イザイヤの正体を掴むためにかなり昔に見た文献を思い出す。
その内容すらも殆ど覚えていないが、人間と堕天使の子供ができそれを処分に言ったと言う話だ。確か親が300人ほどいてその全員を処分したとか......
関係ないかと頭を横に降りイザイヤを見ると、突然苦しみだし片膝をつくと新たに翼が2つ生2対2の翼になる。
ありえないこんなスグに進化するなど......いや待てよそれは普通の堕天使の子供であればだ......もしそれが...
「そうか分かったぞ!!貴様の正体!貴様はアザ」
その中級天使の視界は半分に分かれる。切られたということにする気づくまもなく消えていく。
「ひぃ!」
「逃げろ!」
急いで空を飛んで逃げようとするが手元に作った2本の剣を投げ、その剣が突き刺さると身体が破壊され死ぬ。
それは一瞬の出来事だった。時間にして1分。
バルパーは聖剣を地面に落として驚く。
今の工程は目で見ていた限りはただ前に動いて切る。それの繰り返し。ただそれだけの動きで天使達を殺し尽くした...異常。異常以外の何物でもなかった。
それと同時に思った事もある。終わったのだと......
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禁手で堕天使となり天使達を瞬殺したイザイヤは、全滅を確認すると禁手を解く。
解いた瞬間身体中が痛み前に倒れる。それを瞬時に察しバルパーが受け止め地面に一緒に座る。
「終わったなイザイヤ」
「はい...やっとです......長かった...」
「そうだな...どうする合流地点まで送ろうか?」
「大丈夫ですよ、自分で歩けますから」
「しかし」
「大丈夫です。それよりバルパーさんは何をするんですかこの後?」
イザイヤの質問に今後何をしたいか考える。
そう言えば脱出させる事は決めていたが、それ以降は決めていなかったことに気づく。
自然と笑みが零れる。
こんなダメダメな作戦が通用した事。上手くいった事。何から何まで嬉しいことづくし。
その笑みに合わせるようにイザイヤも笑う。
2人は数分間もの間今までの苦労を労うように笑い合う。
笑い合いが終わるとポツリと呟く。
「教会に戻るよ」
「何でですか?」
「イザイヤ達のような子供がもう産まれないようにするためだな」
教会に戻ると言うことは周りから責められなど茨の道だ。そんな道をあえて進む...凄いと普通に思う。
なら全滅って話になるんだろう。隠れながら生活するのは至難の技だ、だから少しでも追手を軽くするために死んだことにするんだろ。
となるとイザイヤの名前は使えないな...どうする?前の名前を使うか?いやダサいな。せっかくここまで来たんだ、何か別の名前を......
ふとバルパーが目に入る。
そうだせっかくならと名前をつけてもらう事にする。
「名前か...活動場所はどこだ?」
「えっと...日本かな?」
「日本か...」
頭を上下横に振りながら考える。
名前つけとはそこまで重要な事なのだろう。
「木場...祐斗、木場祐斗なんてどうだ?」
「木場祐斗?」
「あぁ、フェンリルの牙のように強くなれと言う思いを込め木場。祐斗は日本に多い名前だと聞いてな」
もしかしてリアスもそうなずけたのかな?そう思いながらも新たな名前を呟く。
「木場祐斗」
「嫌か?」
「ううん気に入ってるよ...父さん」
「え、」
「名前をつけてもらったんだから父さんだよ」
「しかしだな」
「ありがと父さん」
「......全くこのバカ息子め」
「はは、怒られちゃった」
そこからは他愛もない話を数分するとイザイヤが立ち上がり、皆との合流地点へと向かうために別れる。
別れる前にハグをし合うと、森の中へと入っていく。バルパーの姿が見えなくなるほど中に入ると、その場に崩れ落ちるように倒れ胸を抑える。
「がぁ゛あぁ」
その痛さからエビゾリをするほど曲げる。
せっかくカッコつけたのに、目の前で倒れるわけにもいかずわざわざここまで来て倒れたのだ。
「ははっ......後少しなんだけどな...」
そう後少し後少しで全てが終わる。
しかし世界はやはり残酷だ。
イザイヤ改め木場祐斗はそこで瞳を閉じて、長い間眠り続けることになる長い長い7年間の間も。
その倒れたイザイヤを見つめる1人の少年。その少年の肩には神器と思われる槍が担がれていた。
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世界は思い通りにいかない。
木場祐斗は倒れ。
虞淵達は合流地点に行くも、いくら待っても現れず死んだと判断してその場を後にする。
琴音は必死に走ったせいで自分がどこにいるのかもわからず、死にそうな所を1人の赤い髪をした少女に助けられる。
例え歯車がズレたとしても勝手に歯車は動き出す。
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