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魔法

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第二章

「周治君が私のことどう思っているか」
「彼のお友達に聞いてみる?」
「そうする?」
「まずはそれから進めてみる?」
「彼のお友達に聞いてから」
「そのうえで」
「そうしようかしら」
 こう言うのだった、そしてだった。
 何処となくだ、周治の友人達にクラスメイト達と共に何処となく彼の好みやらを聞いてみた。だが。
 誰もだ、周治の女の子の好みについては微妙な顔でこう言うばかりだった。
「どうだろうな」
「あいつそうした話しないからな」
「誰が好きとかどういった娘好きだとかな」
「女の子の話自体しないよな」
「漫画やゲーム、小説の話はしてもな」
「部活の話とかな」
「学校や勉強の話はよくしてもな」
 それでもというのだ。
「そうした話はしないな」
「本当にな」
「女の子の話全然しないぜ」
「だからどうもな」
「聞かれても言えないんだよ」
 これが彼の友人達の返事だった、それでだ。
 話を聞いた華子もだ、困ってしまった。それでクラスメイト達に今度はぼやいて言うのだった。
「手掛かりがね」
「なしね」
「それも全然」
「参ったわね」
「何もわからないわね」
「それも見事なまでに」
「そうなのよね、まさかね」 
 想定していない事態になったとだ、華子は言った。スターバックスで話しているが中学生の彼女達にしては奮発だ。
 まだ飲み慣れていないコーヒーを飲みつつだ、それで言うのだった。
「こんな事態はね」
「誰にも女の子の話題しないってね」
「ちょっとないわよね」
「そんなこともね」
「普通ないわよね」
「そうよね、これじゃあね」
 それこそとだ、華子はこうも言った。
「当たって砕けろ?」
「玉砕覚悟で告白?」
「もう振られてもいい」
「その覚悟でコクる?」
「そうする?」
「そうかも、けれどね」
 そうしたことをすることはとだ、華子はまた言った。
「それはね」
「したらね」
「若し振られたらよ」
「ダメージ大きいわよね」
「よく聞くし」
 クラスメイト達はまだそうした経験はない、しかし聞くところによるとそうだから言うのだった。
「振られた時は」
「もう地獄だってね」
「物凄く辛いって」
「死にたくなる位に」
「そう聞くから、私も」
 それでと言うのだった。
「真壁君が私をどう思ってるか知らないで告白とか」
「そんなの出来ないわよね」
「とてもね」
「振られて囃す馬鹿っているしね」
「そう言う奴絶対にいるのよね」
「自分が振られてみなさいって」
「それで囃し立てられればいいのよ」
 自分の方がというのだ。 
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