夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八話 東へその十二
「敵は先にやな」
「はい、関ヶ原に着きます」
「こっちより」
「それでそこでわし等迎え撃つつもりです」
「その動きは間違いないです」
「数は四万やな」
中里は報告する物見達に敵の規模を尋ねた。
「出陣前に芥川から聞いてたけど」
「はい、そのものずばりです」
「四万います」
「こっちの二倍います」
「それ位です」
「そうか、それで星の奴もやな」
今度はその率いる彼等のことも聞いた。
「東海の奴全員か」
「そうです、全員いてました」
「東海の星の人等も」
「その四万の兵をそれぞれ率いてです」
「関ヶ原に向かってます」
「そのこともわかった、鉄砲とか空船とか大砲はどないや」
装備のことも聞いたのだった。
「そっちは」
「はい、それはあまり多ないです」
「鉄砲はそれなりにありますけど空船や大砲は殆どありません」
「鉄砲の数はこちらの半分です」
「騎馬隊が多いです」
「ああ、甲斐とか信濃持ってるさかいやな」
何故騎馬隊が多いのかをだ、中里は彼等の領地から察した。
「あの辺りはええ馬も多いしな」
「馬はあっちの方がええです」
「馬いうたらあそこと奥州ですわ」
「そうしたところが馬がええです」
「そやな、四万の軍勢の主力は騎馬隊か」
中里はこのことも察した。
「そうなるか」
「はい、実際前に出てました」
「騎馬隊の数は二割位です」
その四万の軍勢のというのだ。
「前に出てます」
「ええ馬ばかりですわ」
「相当強そうです」
「そうか、その騎馬隊を何とかせなあかんな」
中里は物見達の言葉から考える顔になり呟いた。
「絶対にな」
「まずは本陣に行こか」
鵺が言ってきた。
「これから」
「軍議やな」
「物見の連中連れてな」
「そうして綾乃ちゃん達にも状況知ってもらってや」
「そうしてやな」
「どうするか考えていこな」
こう話してだ、そのうえで。
中里は実際に物見から帰って来た斥候達を連れてそうしてだった、綾乃と芥川に本陣で彼等の話を聞かせた。すると。
芥川は考える顔になってだ、こう言った。
ページ上へ戻る