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夢幻水滸伝

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第八話 東へその十

「日本一升は」
「普通やないで」
「僕もそう思うわ」
 芥川も中里もこう返した。
「幾ら何でもな」
「普通やないわ」
「それはな」
「幾ら何でもな」
「そやろか。まあ楽しく飲もな」
 酒をとだ、こう話してだった。
 彼等は実際に食後酒も飲んだ、綾乃は実際に相当な量を飲んだ。杯は小さくそれを両手に持って可愛らしい仕草で飲むが。 
 杯が止まらない、中里はその綾乃を見て言った。
「ほんま飲むな」
「そやろ」
 芥川も飲みつつ言ってきた。
「いつもこうやねん」
「そういえば伊勢でも飲んでたか」
「綾乃ちゃんは夜飲むから」
「あれはセーブしてたんか」
「そや、実はな」 
 そうだったというのだ。
「あれでな」
「そうやってんな」
「とにかく綾乃ちゃんはこや、まあうちは結構飲むな」
「星の連中はか」
「基本な、甘いものも食べて」
 そちらも楽しんでというのだ。
「お酒も飲むんや」
「何でも飲んで食べるか」
「そうやで」
「そういえばステーキもあるしな」
 中里はこの料理のことも思い出した。
「ほんまはこの時代の日本にはないけど」
「そうやったな」
「ああ、お肉食べんかったわ」
 室町期の日本はというのだ、少なくとも牛肉はおおっぴらに食べられるものではなかったことは事実である。
「室町とか戦国の日本の文化でもやな」
「色々ちゃうのわかってきたやろ」
「ああ、よくな」
「カステラとかケーキもあるで」
「ワインもやな」
「領内の葡萄で作ってるで」
「ほんまに何かとちゃうな」
 中里も日本酒を飲みながら納得した、そうして酒を飲むが。
 何杯か飲んだ後でだ、ぐいぐいと何杯も飲んでいく綾乃にあらためて言った。
「ほんまよお飲むな」
「好きやさかい」
「いや、もう一升飲んでへんか?」
「そうかも知れんな」
「酒豪やな」
 このことを強く認識したのだった。
「綾乃ちゃんって」
「ザルって言われたこともあるわ」
「ああ、幾らでも抜けるな」
「入れてもな」
「便利な体質やな」
「二日酔いにもなったことないわ」
 酒が残ってなるそれにもというのだ。
「これまでな」
「余計に凄いな」
「けれど酔いはするで」
 飲んだ結果というのだ。 
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