夢幻水滸伝
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第八話 東へその二
「それでその連中雇おうとも考えてるわ」
「傭兵を」
太宰は中里のその話を聞いて眉を少し動かした、そのうえで彼に問うた。
「それはどんな人達ですか」
「四人共人星であちこち渡り歩いて生きてるらしい」
「四人で」
「何でもめっちゃ強いらしい」
「そうですか」
「ああ、その連中雇ってな」
そしてとだ、中里は太宰にさらに話した。
「兵を率いてもらおうって考えてるんや」
「星の人は多ければ多い方がいいさかい」
「そや、四人おったら全然ちゃうやろ」
「はい、確かに」
その通りだとだ、太宰も中里に答えた。実に落ち着いた声で。
「その通りですわ」
「そやからその四人雇ってな」
「働いてもらいますか」
「戦、あと出来たら政にや」
「その両方で」
「出来る限り長く雇ってな」
そのうえでというのだ。
「働いてもらおうって考えてる」
「ほなその四人と連絡取って」
「ああ、連絡先教えるな」
「頼みます」
「後は宰相さんでやってくれるかな」
「わかりました」
太宰は芥川の申し出に快諾で応えた。
「ほな私からそうさせてもらいます」
「頼むで」
「じゃあ連絡先を」
「ここや」
紙を出してだ、芥川はその紙に自然と墨が出る筆も出してそれで何か書いて太宰に紙を渡してそうして言った。
「ここに貝殻から連絡入れたらな」
「それで話が出来て」
「雇えるわ、先客優先やと思うけどな」
「ほな今すぐ連絡します」
「頼むで」
「あと綾乃さんも出ますけど」
太宰は芥川に綾乃を見つつ問うた。
「留守は私がですな」
「ああ、いつも通りな」
「わかりました、任せて下さい」
太宰は気品のある微笑みで答えた。
「それでここからものは送りますので」
「もう既に送っててやな」
「はい、そちらも任せて下さい」
「そうしたことも頼むで」
「戦は後ろがしっかりしてこそさかい」
「ああ、宰相さんには頼むわ」
留守、そして後ろをというのだ。こうしたことを話してだった。
芥川は綾乃にだ、微笑んで声をかけたのだった。
「ほなな」
「今からやな」
「近江に行ってな」
「安土城からやな」
「いや、一旦安土に入って佐藤兄妹とも話をするけれど」
「国境にかいな」
「すぐに行くで」
安土城に留まらずにというのだ。
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