マイ「艦これ」「みほ2ん」
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第10話<一緒に靖国>
前書き
墓参を済ませた夕立の「お墓って何」という質問を受けた司令は、しばし考えてしまう。
「仮に夕立と私が結婚でもしたら、一緒に入ることもあるかな」
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:第10話<一緒に靖国>(改2)
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私と夕立が手を合わせ終わると、母親が再び墓前に手を合わせた。
「息子が海軍の提督になりましたよ。ご先祖様、頼りない息子かも知れませんが、どうぞお護りください」
私は祈る母の姿を見ながら思った。
確かに私は頼りない。何の取り柄もない。それが、いつの間に美保鎮守府の司令に着任したのだ。
着任当初は艦娘という慣れないシステム相手に不平不満も出た。しかし考えてみたら感謝すべき出会いにも思えてきた。
「感謝?」
信心深い祖母に言われて機械的ではあったけど小さい頃から神棚には良く手を合わせていた。やはり神様かご先祖様が何か導いたのだろうか? この墓参で単純に、そう思えるようになった。
母親は立ち上がった。
「さあ、帰るか」
「ぽい」
夕立の言葉に母親は微笑んだ。妙な反応にも慣れたらしい。
墓参道具をまとめた母を先頭に私たちは墓前を離れて駐車場へと歩き始めた。
母親は私にふと呟いた。
「うちにも、こんな娘が居たらなぁ」
「えっ!」
驚く私。(お母さん、それはどういう意味ですか?)
後ろの夕立を見ると……
「あれ?」
少し離れている……と思ったら、どこかで摘んだらしい小さい花を持った夕立が後ろから少し慌てたように駆け寄ってきた。
「何だ? 花?」
艦娘とはいえ基本的な精神構造は少女なんだな。
彼女は私の隣に並んで言った。
「ねぇねぇ、お墓って人が死んから作るんでしょ?」
「そうだが……」
「お墓って、どうやって使うの?」
矢継ぎ早に聞いてくる。
「うーん、まぁ日本じゃ火葬して小さくして入るというか」
艦娘には説明し難いな。
「入る……? それって家っぽい?」
「ん、まあ、そうだな」
どうしたんだ? 急に。
「司令も死んだらそこに入るの?」
「うーん、どうかな。その時になってみないと正直ワカラナイな」
急に目をキラキラさせる夕立。
「私たちも入るっぽい?」
ちょっと引いた……けど、反射的に応えた。
「えっと……お前や私が、もし戦死したら一緒に靖国だな」
「ヤスクニ……わぁ! それ楽しみっぽい」
なんだ? その満面の笑みは。ホントに楽しいのか?
気のせいか前を歩く母親もビクッとしていた。
なおも途切れない彼女。
「ねぇねぇ、もしも私たちが戦場じゃないところで死んだらどうなるっぽい? さっき出会った元軍人の、お爺さんとかみたいに」
「そうだなあ、鋭い質問だ」
私は歩きながら考えた。
「もしも平和な世の中になったら、やっぱり、ここかな?」
多分、艦娘は入らないだろうけど。
「ふーん」
分かっているのかなぁ? 夕立よ。
そのうち私たちは共同墓地から出た。道路を横切りながら彼女は言う。
「もしもぉ」
まだ来るか?
夕立は手にした花びらを、一つずつちぎっている。
「私も、こういうお墓に入ること……」
歩くのが少しずつ遅れている。
「……あるっぽい?」
この言葉にはギョッとした。思わず私も立ち止まった。
夕立は少し上目遣いに、こっちを見ている。
「艦娘が普通のお墓?」
それは想像を絶する世界だ。だが考える必要はあるな。
「もし、仮に……」
私はアゴに手を当てた。夕立は少し神妙な表情でこちらを見つめている。手にした花は、いつの間にか皆、散っている。
……あ、ひらめいた!
「仮に夕立と私が結婚でもしたら、一緒に入ることもあるかな」
半分、冗談。半分本気。
「家族なら艦娘であっても可能だと思う」
「ぽい? 一緒? えぇ、怖いっぽい」
「なんだ、怖いのか」
私は苦笑した。考えて損をした気分だ。我ながら名回答だと思ったのだが。
「さすがに夕立には理解を超越するよな」
「でも、ちょっとわかるっぽい……」
「え? マジ?」
分かるのか? 夕立……こっちのほうが意外だった。
先を行っていた母親は駐車場に到着していた。私たちの歩みが遅いからこちらを振り返っている。
少し、風が出てきた。寺にある木がサワサワと音を立て始めた。
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
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