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レーヴァティン

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第六話 神殿その十四

「近所にそうした馬鹿親いたんだよ」
「子供に暴力を振るう奴がか」
「両親でな、あまりに酷くて子供は親戚に引き取られて二人は刑務所に行ったがな」
「それもいいことだな」
「だろ?俺はそのことに一切何もしてないけれどな」 
 それでもというのだ。
「通報した人はいいことしたぜ」
「その子供を救ってか」
「そうだよ」
 久志ははっきりとした顔で述べた。
「証拠の画像や動画も警察に送り付けたしな」
「それで破滅させた」
「それの何処が悪いんだよ」
 それこそとだ、久志はまた言った。
「いいか悪いかじゃなくてな」
「いいことか」
「どう考えてもそうだろ」
 それこそというのだ。
「御前がやったことはな」
「一人の人生を終わらせたが」
「屑の人生なんて考える必要ないだろ」
「そう言われるとそうか」
「そうだよ、それどころかその屑に関わりそうだった、関わってた人の人生を救ったんだぞ」
 久志はこうも言った。
「それも何人もな」
「だからいいことか」
「屑を始末してな」
 そしてとだ、久志はさらに言った。
「沢山の人の人生を救ったんだ」
「屑に痛めつけられないか」
「暴力受けてトラウマになったら駄目だろ」
「俺もそれを考えた」
「そうなるのを救ったんだ」
「それならか」
「いいだろ、屑の人生なんて知るか」
 久志はあくまでこう言うのだった。
「一人の屑より十人の一般市民だ」
「その論理だな」
「この世界でもそうだろ」
「俺もそう考えているが」
「それでもいいか悪いかとか考えてたんだな」
「どうもな」
「俺は迷わず切ってたぜ」
 これまでもというのだ。
「屑は屑だからな」
「殺したらか」
「掃除したってことだよ、だからいいな」
「その論理か」
「そうだ、これでいいな」
「わかった、ではな」
 英雄もここで頷いた。
「これからはそう考えていく」
「そうしろよ、じゃあな」
「あらためてだな」
「神殿に行こうぜ」
 今は久志が引っ張っていた、そしてだった。
 二人で白い巨大な神殿の前まで来た、久志達の世界で言うゴシック様式の石造りの建物が多層的かつ複雑に並んでいる。 
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