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ONEPIECE 空の王者が海を征す

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空の王者、砂漠を往く

エースと解れた一同はいよいよユバへと向かう為にアラバスタの対岸へと船を付けた、途中首都アルバーナへと手紙を預かったカルーが砂漠を駆けぬけて行ったり上陸前にクンフージュゴンのルフィへのデし要り騒動などもあったが無事上陸する事が出来た。

「ぁぁぁぁぁっ……」

いや、あんまり無事とは言いがたいかもしれない。エルマルと言うオアシスの惨状を目の当たりにした一同は打倒クロコダイルへの機運が高まりいざ砂漠へと乗り出したのだが……いざ砂漠へと入るとその歩きづらさや凄まじい暑さに先程まで元気だったルフィは杖を突きながらあーあー言いながら歩いている。加えてチョッパーは冬島生まれのトナカイである為暑さで早々に脱落しゾロに台車を引いて貰っている。

「ちょっとルフィ、余計暑くなるから止めてよね」
「あ"あ”っ~……」
「聞いて無いし…」

平気そうな顔をしているのは矢張りこの国で生まれ育ったビビ、馴れ親しんだ気候な為か全く堪えてなさそうにしている。続いてレウス、リオレウスという竜はマグマが溢れている火山でも活動をする為か熱に対する耐性がかなり高い。その影響か砂漠の暑さもそれ程堪えてはいない。

「しかしマジで暑いな……少しはマシに、ならねえのか……」
「うーん……少し考えがあるけどやってみようか?」
「マジか……レウス?」

同じく完全にダレてしまっているウソップはレウスの申し出に縋る様に頼んだ。それに苦笑しながら荷物を背負い直すレウス、ビビ達も何をするのかと思わず立ち止まってしまう。レウスはそのまま完全竜化を行いリオレウスへとなると翼を広げて太陽からの光を遮る様な影を作り出す。

「影に入れば少しはマシになるんじゃないか?」
「涼しいァ~!!生き返るぜ~!」
「あ~ウソップずりぃぞ俺も~!」

次々と翼の下の影へと入ってくる一同、太陽からの光を遮断出来るだけでもかなり違う物があるのか勇んでその下へと潜り込むように入っていく。

「チョッパーこれで楽になったか?」
「うん、大分楽になった……」
「レウスさん大丈夫なの?変身するのにも体力使うし暑いんじゃ……?」
「この程度の暑さなら大丈夫、それに歩くだけなら無問題。ビビちゃんも影に入って良いよ、ってお前らそんなに寄るな歩きづらいだろ!?」

気付けば砂漠の中に出来た小さな影を取り合う陣取りゲームのような事が行われていた、若干こんな事をやった事を後悔しているレウスを遠巻きに見ながらビビはクスクスと笑った。その表情は国に起ころうとしている反乱を止めようとしている王女の顔ではなく、年相応の少女の笑顔だった。暫くそのまま歩き続けたが途中ルフィが横着してレウスの足に掴まったまま歩こうとしなかったので竜化は解除された。

砂漠の旅もすっかり日が落ちて夜となった、流石に夜になってからの行軍は危険とビビが言う為そのままキャンプを張り明日に備える事となった。ここでも砂漠の厳しさを一同は体験する事となった。日が落ち着てきた夕暮れごろに到達した岩場近くにテントを張ったが日が落ちると一気に気温が下がり凍えるほど寒くなってきた。

「昼間はあんなに暑かったのに……どうなってるの……?」
「砂漠には熱を遮る物が無いから昼は焼け付き、夜は氷点下まで冷える。砂漠は本当に危険でいっぱいなの」

ナミは震える身体を焚き火に寄せながらなんとか暖を取っているがそれでも酷く寒そうだ、ルフィはメシはまだかとサンジに催促したりする程元気だが。そしてレウスとチョッパーも平気そうにしていた。

「やっぱり夜は大丈夫そうだなチョッパー」
「冬島では当たり前だったしね。それにしても凄い星~」

氷点下が当たり前だった冬島育ちのチョッパーは寒さなんて何のその、平然としながら空に広がる星空を見つめ続けていた。厚い雪雲に閉ざされていた冬島ではまず見られない光景にそのままうっとりと見惚れていた。それを見ながらサンジの飯を食べているとチョッパーの暖かな毛皮で寒さを凌ごうとゾロやウソップ、ルフィがくっ付けている。

「やれやれ、サンジそろそろ自分の分のメシを食ったら如何だ?調理なら俺がやるよ」
「ああそうだな。悪いな」
「何時もメシを作ってくれてるんだからこれぐらいはね」

皆の分の調理と食事が終わると今度はサンジの分の食事が始まる、既に眠りに入っているルフィ達を見ながらサンジはレウスによって焼かれた肉などを頬張って明日の砂漠のための力を付けて行く。そんな様子を見るビビはぼぅっと真っ直ぐレウスを見つめる、そんなビビにナミは思わず声を掛けた。

「どしたのビビ?」
「い、いえその……レウスさんってなんだか素敵かなって」
「えっ」

ナミは思わず呆然としてしまった、思っても見なかった言葉だったのか口を開けたままビビを方を注視してしまった。少し頬を赤らめたビビにナミは何処か危機感を覚えた、その危機感は今まで感じた事がなく自分でも良く解らない物だった。

「とっても落ち着いてるし頼りになって、カッコ良いし」
「(えっな、何この展開?!何言ってるのビビまさか、ええうそっ!?)」

内心で慌てふためきながらもビビのあげる彼の評価は概ね賛成だった。ブレーキ役が必要なこの一味としては年上で落ち着くのある安心出来る存在であり竜になれると言う強さをも持っている。加えて自分の相談役的な立ち位置でもあるし病気の時はずっと看病をして居てくれた程、考えて見ればかなり優良物件のような気がして来てしまった。それを否定したいのかなんとか脳内でレウスの弱点とも言える事を探す、が金は自分の鱗などを売ればなんとかなるからアウトなどで中々見つからない。

「そ、そうかしら!?で、でもああ見えて結構あれよあいつ!?」
「そうなの?私から見たら素敵な人だと思うけど……」
「そ、そうよあいつ凄い初心なのよ!少し抱き着いただけで顔真っ赤にして気絶しちゃうのよ!」

漸く見つけた弱点とも言える物、リバースマウンテンを越えた際に抱きついたら顔を真っ赤にして硬直したことを思い出す。これなら……と口にして見た。

「そうなんだちょっと意外…でもそれはそれで可愛げがあると思うなぁ」
「(うっ言われて見れば……)」

こうして当人の知らない所で女性陣二人のレウス談義は続くのであった。

「ヘックッション!!!」
「何だレウス風邪か?」
「否なんか急に鼻が……」 
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