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レーヴァティン

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第六話 神殿その十

「そうしただろ」
「まだ言っているのか」
「そりゃな、しかしな」
「そちらで忙しくてか」
「そっちには金も時間も回せそうにないな」
「行ってもいいが余裕のある時だけになるな」
 英雄の返事は素っ気ないものだった。
「夜にでもな」
「そうか、夜か」
「昼は情報を集めて外で戦ってだ」
「そっちに忙しくてだな」
「行ける余裕はだ」
 まさにというのだ。
「あまりないと思うがな」
「御前も興味あるって言ったよな」
「そうした店にだな」
「そういえばここでは、って行ってたな」
「誰でもいい訳ではない」
 英雄は強い声で言った。
「相手は選ぶ」
「どんな美人でもか?」
「そうした問題ではない」
「じゃあ意中の相手じゃないとか」
「俺はそうしたことはしない」
「俺はな」
 久志は英雄のそちら方面への考えを聞いてから自分の考えを述べた、そちらについてのだ。
「そこまでこだわらないな」
「誰でもいいか」
「いや、そりゃ意中の人じゃないとな」
 自分自身もというのだ。
「そう思ってるけれどな」
「最悪そうした人でなくともか」
「これだっていう美人さんが相手だったらな」
 その場合はというのだ。
「いいけれどな」
「そうか」
「ああ、そうだよ」
「そうか、だからか」
「ひょっとしたらだぜ」
 ここで裏通りを見る、見ればそうした感じの店が連なっている。とはいってもまだ昼なので開いてはいない。
「行くかもな」
「そうか」
「ああ、ひょっとしたらな」
「その時は病気に気をつけろ」
 止めるのではなくだ、英雄は久志にこう返した。
「くれぐれもな」
「それだけか」
「俺が言うべきことはな」
「そうか、じゃあな」
「実際にか」
「若しその時はな」
 行くと決めた訳ではない、だからこう言ったのだ。
「注意しておくな」
「後で泣くのは自分だからな」
「例え治る病気にしてもな」
「罹ると厄介だ」
 そうした病気はというのだ。
「だから気をつけろ」
「それじゃあな」
「そうした店もあるということはだ」
 ここで英雄はこうも言った。 
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