Blue Rose
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最終話 薔薇は咲いてその十四
「行くのよ」
「今から」
「そうするの、じゃあ行きましょう」
「わかったわ」
優花は微笑んで姉の言葉に頷き龍馬も入れて三人で青薔薇園に入った。青薔薇園は今も本来は有り得なかった美しさを見せていた。
その青い宝石の様な薔薇達を見つつだ、優子は優花に言った。
「ここでのことは一生忘れないわ」
「私もよ」
優花は姉に答えた、それもすぐに。
「何があってもね」
「そうよね。色々なことがあったし」
「ここに来て言われた時から」
「そうしたことも含めて」
「私忘れないわ」
「そしていいわね」
「ええ、ここからね」
微笑みながらも確かな声でだ、優花は答えた。
「私女の人としてはじめるわ」
「そうしてね」
「ええ、本当にここはね」
「貴女にとって特別な場所になったわね」
「有り得ないことが起こったから」
「そう、けれど有り得ないって思っていても」
人間がその時の知識や技術でだ、有り得ないだの不可能だの思っていてもというのだ。
「あるのよ」
「それが世界よね」
「そう、貴女の場合は確かに有り得なくて」
「物凄いことだったわね」
「それは事実よ。けれどね」
それでもというのだった。
「貴女は青い薔薇と同じでね」
「その有り得ないことが起こった」
「そうなるわ。けれどね」
「それでもなのね」
「貴女は貴女で」
このことをまた言うのだった。
「人間であってね。人間だから」
「普通に生きていっていいのね」
「人間としてね。性別が変わっても心は貴女で人間なら」
それならばというのだ。
「生きていかないといけないの」
「絶対になの」
「生きていっていいんじゃなくてね」
「そうしないといけないのね」
「誰かに迷惑をかけない限り幸せになって」
そうもなってというのだ。
「楽しく生きていってね」
「ええ、わかったわ」
優花はまた答えた。
「そうしていくわね」
「絶対によ。じゃあ」
「今からね」
「はじめてね」
「そうさせてもらうわ」
「じゃあ薔薇の後は遊びに行くか」
龍馬も言ってきた、屈託のない明るい笑顔で。
「何処かな」
「何処かって何処に?」
「御前が今一番行きたい場所にだよ」
そこにというのだ。
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