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夢幻水滸伝

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第六話 飛将その六

「おい、いいな」
「はい、ここにちょっとだけ置いてですね」
「そうしてですね」
「連中に奇襲を仕掛けるんですね」
「そして一気に」
「皆殺しにするぞ」
 頭目は悪相にさらに下卑た笑みを浮かべて言った。
「いいな」
「へい、一万二千の連中を」
「今からですね」
「出てそうして」
「襲い掛かりますか」
「山からな」
 そこからだというのだ。
「攻めてやるぞ」
「ここは俺達の場所ですからね」
「何でも知ってますしね」
「何処に何があるかどんな場所か」
「それなら」
「ああ、何だって出来る」
 頭目いは笑って豪語した。
「だからやってやるぞ」
「はい、じゃあ今からですね」
「出ますか」
「そして俺達の強さ教えてやりますか」
「そうしてやりますか」
「そうだ、それで連中のしゃれこうべでだ」
 即ち髑髏でというのだ。
「杯作るからな」
「それで酒飲んでやりますか」
「そうしてやりますか」
「そうだ、皆殺しにしてやってな」
 そのうえでとだ、頭目は下卑た笑みのまま言ってだった。
「主な奴はそうしてやれ」
「それでここの民共にも見せしめにしてやりますか」
「俺達に下手な気持ちを持ったらそうしてやるって」
「それじゃあですね」
「今から」
「ああ、攻めるぞ」
 こう言ってだ、頭目は二万の軍勢のうちの九割以上を以て出陣した、その広いだけで粗末な城を出てだった。
 その様子は空や森の陰から見られていた、中里が送った斥候や空船、密偵達に遠くからとはいえだ。
 それでだ、彼等はその軍勢を確かめていた。
「数だけは多いな」
「ああ、一万八千ってところやな」
「城に置いている兵隊は殆どいないわ」
「隊列はばらばら、武器も具足も粗末や」
「馬は殆どない」
 精々頭目や主な者が乗っている位だった。
「空船もないな」
「空を飛んでいる奴がいても大したことはない」
 鳥人や天狗達はいるがだ。
「ただ武器を持っている位の連中や」
「只の烏合の衆やな、やはり」
「数だけや」
「それでいて自信満々や」
「そんな連中やな」
 所詮はというのだ、彼等を見て話した。そして中里にも報告した。
 するとだ、中里はその話を聞いて笑みを浮かべて言った。 
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