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七色唐辛子

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第二章

「そうなったな」
「そういえばそうね」
「面白いな、じゃあ今度子供達が家にいる時にな」
 高校生の息子が二人に中学生の娘が三人いる、だが五人共休日だというのに部活やら塾やら遊びやらで家にはいない。チャンコットはタクシーの運転手だが今日はオフなのだ。
「その唐辛子全部使ってな」
「お料理作れっていうのね」
「何かな」
「赤も緑も青も黄色も」
「使えるだけな」 
 それこそというのだ。
「そうしてな」
「カラフルね」
「そう思って言ってみたんだよ」
 チャンコットは妻にこうも言った。
「それでだ」
「そうなのね」
「やってみるか?」
「じゃあ今晩のお料理は」 
 シンラーもこう夫に返した。
「それでね」
「やってくれるか」
「やってみるわ」
 実際にとだ、シンラーは夫に答えた。
「楽しみにしていてね」
「実際にそうさせてもらうな」
「少なくとも色はね」
「カラフルだな」
「そうなるわ、普段は一色だけれど」
 その都度使う唐辛子の色だというのだ。
「やってみるわ」
「じゃあな」
「さて、どんな味になるかしら」
「唐辛子といってもそれぞれだからな」
「そう、辛いことは辛くてもね」
 それでもだとだ、シンラーはチャンコットに話した。
「そこが違うのよ」
「そうだよな」
「青も黄色も紫も」
 つまりそれぞれの色の唐辛子達がというのだ。
「一つ一つ味が違うから」
「それがどう合わさるか」
「私も楽しみよ」
「言ってみるものだな」
 チャンコットは妻の返事を聞いてしみじみとした口調で述べた。
「時には」
「失言には注意よ」
「わかってるさ、政治家みたいになるからな」
「そうよ、だから言葉には注意よ」
 くれぐれもという口調でだ、シンラーは夫にこうした注意もした。
「さもない失脚するわよ」
「政治家でなくてもな」
「失脚はしなくても大変なことになるから」
「要注意だな」
「そう、だから何時でもよ」
「仕事の時も家の中でもな」
「それは気をつけてね」
 くれぐれもとだ、シンラーはチャンコットに言うのだった。そうした話をしてだった。シンラーは夕方に料理を作る時にだ。
 シンラーは様々な唐辛子を使っち、それが入った容器を一つ一つ手に取ってそのうえでだ。そうしつつだ。
 キッチンとつながっているリビングでくつろいでいる夫にだ、こう言った。 
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