風魔の小次郎 風魔血風録
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82部分:第八話 聖剣伝説その五
第八話 聖剣伝説その五
それが終わってから小次郎は登校する。その彼を見て姫子は総長室で蘭子に対して話をしていた。
「蘭子さん、最近の小次郎さんですが」
「何かありましたか?」
「どうも身体つきが変わってきていませんか」
彼女はそのことを言うのだった。
「近頃」
「そうですね。それは確かに」
蘭子もそのことを認めて頷く。
「鍛錬に身を入れていますので」
「そうですか。それでなのですね」
「はい。それはいいことです」
「そうですね。小次郎さんにとっても」
「ただ」
しかしここで顔を明るくさせた姫子に対して述べるのだった。
「どうにもこうにも」
「何かありましたか?」
「それ自体はいいのです」
鍛錬はいいというのだ。
「ただ」
「ただ?」
「馬鹿なのは困ります」
蘭子が言うのはそれであった。
「幾ら何でも木刀で石灯篭を割ることは不可能です」
「そんなことをしてるんですか」
「はい、何を考えているのでしょうか」
見れば蘭子はいぶかしむ顔になっていた。それを姫子にも見せている。
「全く以って」
「小次郎さんも相変わらずなんですね」
「完全に相変わらずです」
駄目出しであった。
「むしろ馬鹿が酷くなっています」
「はあ」
「今日も学校には来ていましたが寝ています」
「授業でもですか」
「他の風魔の面々は真面目に授業に出て勉強をしているというのにあいつは」
「真面目にといいますと」
姫子はふとここで気付いた。
「兜丸さんや小龍さんもですか」
「はい」
素直に姫子に答えた。
「授業では少なくとも寝るようなことはありません」
「そういうところはしっかりされているんですね」
「小次郎が起きるのはお昼だけです」
小次郎に関して言うのだった。
「食べる時だけです。あとは二時間目が終わった時に」
「その時には何が」
「早弁です」
それであった。
「その時に起きるだけでして」
「じゃあ授業中は」
「起きた試しがありません」
ある意味非常に小次郎らしい話だった。そもそも小次郎はこの学校に勉強で来ているわけではないのだがそれでも酷いものがあるのだ。
「爆弾を仕掛けても起きないでしょう」
「大変なのですね」
「困ったことです」
そんな話をしていた。その小次郎は学校が終わるとすぐに屋敷で素振りに入った。木刀で灯篭を割ろうとするがやはり割れる筈もなく相変わらず木刀を割ってしまっていた。
「ちっ、こいつも駄目かよ」
また一本壊してしまいぼやく。
「まあいいさ。次がある、次が」
こう言ってその壊した木刀を捨てて。もう一本取るのだった。だがそれが。
「んっ!?何だこの木刀」
手に取ったそれは異常に大きなものであった。幅もかなり広い。
「重いな。こんな重い木刀があったのか」
両手に取ってみてもかなりのものだ。だがそれはとりあえず戻した。
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