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甘い甘い日常・・そんなものが長く続くはずがない

作者:テン@
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翔琉の初恋

 
前書き
私立輝皇学園。国内でもかなりの名門であるこの学園に入学することになった藤堂翔琉。その学園で待っているのは楽しい学園生活なのか。 

 
私立輝皇学園。この春から翔琉はこの学園に入学することになった。藤堂翔琉。15歳。得意科目なし。苦手科目なし。入学試験結果は4教科400点満点中368点。そこそこは頭がいいほうだ。しかし、彼には一つ重大な欠陥があった。それは、恋をしたことがない。ということだ。女子を一人の女として見ることができないのだった。
これから入学式が始まる。
「本日は私立輝皇学園にお越しくださり誠にありがとうございます。それでは入学式を始めたいと思います。」
ようやく入学式が始まった。
「始めに学園長挨拶。工藤一誠が挨拶を申し上げます」
学園長工藤一誠。二代目の学園長としてこの学園の運営をしている。
「新入生の皆さんご入学おめでとうございます。難関であるこの学園に入学することになったということに自信を持ってください。~~~~~~~~それでは最後に一つだけ。新入生の皆さんはこの学園に入学したからには文武両道を心がけてください。以上で終わります」
長い長い学園長の話が終わった。これで一つの関門は通った。このあとは新入生の点呼だ。まあ、軽く流していいだろう。
「それでは新入生の点呼をします。呼ばれた生徒は、返事をして起立してください」
そうして一人一人の点呼が始まった。そろそろ呼ばれるときだ。・・緊張してきた~。
「藤堂翔琉。」
「はい‼」
よし。これで後は気を抜いていいだろう。
「来栖にいな。」
「はい。」
可憐で透き通るような声だった。翔琉が振り向くと彼女は静かに立ち上がった。容姿端麗。眉目秀麗。そんな言葉がよく似合う。長く漆黒の色をした黒髪。スラリと伸びた体つき。翔琉は生まれてはじめて心からきれいだと感じた。一目惚れだった。翔琉の心に「恋」という二文字が芽生えた。それがすべての始まりだった。



入学式の翌日。新入生がガヤガヤと通学路を歩いている。翔琉は昨日一目惚れをした彼女のことで頭がいっぱいだった。
(同じクラスだといいなー・・・。)
生徒玄関前に到着。クラス分けが発表されていた。
(俺の名前は・・・・あった‼D組か。あの人はっと。)
いつの間にか彼女の名前を探していた。偶然なのだろうか。彼女の名前、来栖にいなという名前は同じクラスにあったのだ。
(やった‼)
翔琉は喜びに胸が弾みこれから先の学園生活が楽しみで仕方ないのだった。

ガラッ。ガヤガヤ。新入生が集まるとこういうかんじになるのだろうな。同じ中学のやつらは固まっているが、一人で資料に目を通しているやつもいる。
(まあ、ボッチは仕方ないだろうな。)
俺の席は窓側から2列目の一番後ろ。意外といい席だ。
隣は誰だろうな。両隣はまだ来ていないみたいだ。
やることもないので机に上がっていた資料に目を通す。
部活動や進路のことについて様々なことが書かれていた。
キーンコーンカーンコーン。ちょうど資料が読み終わったところで予鈴がなった。
ガラッ。教室の後ろの扉が開いた。そこにいたのは、紛れもなくおれが一目惚れした彼女の姿があった。クラス中が静まり返った。その数秒後、ザワザワとひそひそ話がした。
彼女は黒板に貼ってある自分の席を確認し、席に向かった。空いている席はっと・・・。見渡すが俺の隣しか空いていないみたいだ。
(まさか‼そんなはずは‼)
もう一度見渡すが席はない。ということは俺のとなりに座るということだ。
(やっっっっっったーーーーー‼!!!)
「よろしくね?翔琉君。」
「ん、ああ・・よろしく。」
まさか声までかけられるなんて‼
ああもう、死んでもいいかも。こんな美少女が俺のとなりにいるだなんて‼最高‼神様ありがとうー‼
そんなことを考えていると先生と思われる人が入ってきた。
「はーい、じゃあ席についてー。」
その一声で全員が席についた。
「休みは・・・いないな。よし。じゃあこれから今日の日程について確認する。」
「ちょっと待ってくださーい。先生は誰ですか?」
一人の生徒が質問した。
「おおっと、そうだったな。私はこれから一年間お前達の担任をすることになった秋月夏蓮だ。よろしく。」
そうだったのか。しかし、若く見えるな。
「では今日の日程について確認する。まず始めにクラスごとに身体測定を行う。その後、学年全体で集会。そして教室に戻ってきたのち、HRとなる。いいな?」
『はい‼』
「よし。では身体測定を行う。全員で保健室に移動だ。」


身体測定、学年集会がおわり教室に戻ってきた。
「お疲れ様。これからHRだからまず始めにみんなの自己紹介をしてもらおうかな?」
・・・・来てしまった。地獄とも思わしき試練が。
「じゃあ出席番号順にやってもらおうかな」
一人ずつ自己紹介をしていった。
「じゃあ、次の人」
「はい。」
彼女の番だ。注意深く聞かなくては‼
「出席番号20番、来栖にいなです。早くこのクラスのみんなと仲良くなりたいと思います。よろしくお願いします。」
何度聞いても透き通るような声だった。クラスの全員が聞き入っていた。
「じゃあ次の人。」
あと4人で俺の番だ。
「じゃあ次の人」
「はい。」
ついに来てしまった。
「出席番号25番、藤堂翔琉です。みんなと仲良くなりたいと思います。よろしくお願いします。」
まあ、いいんじゃない。
「じゃあ次の人」
そして、全員の自己紹介が終わった。
「はい。じゃあ全員の自己紹介が終わったので私の自己紹介をします。
お前達の担任の秋月夏蓮だ。年は28。既婚。この学園に勤めて4年となる。まあ、こんなところか。」
「はーい、質問でーす。子供何人いますか?」
「子供か。子供は3人。一番上が高3。二番目が中2。一番下が中1だ。」
へえー三人も子供がいるのか。って待てよ‼子供3人で28歳ってヤバいぞ‼おかしい!異常すぎる⁉
「他に質問は?」
「ないでーす。」
「そうか。では、次にいく。委員長と係り決めをする。」
そうして午前は終わった。


午後は特にやることもないらしいので学校探検をするらしい。・・・意外と楽しみだな。
キーンコーンカーンコーン。鐘が鳴った。
「席につけー。」
なぜだろうな。この一言でみんなが静まるってことに驚きだな。
「やることがないのでこれから学校探検をする。隣の席の人とペアを作れ。」
マジか‼まさかの大チャンス⁉来栖とペア組める⁉
「作ったか?そうしたらペアごとに2列になれ。廊下に並べー。」
やったー‼神様ありがとう‼よーし!来栖との仲を少しでも縮めるぞ‼

そんな呑気なことを言っていたものの、予想だにしない展開を俺を待っていた。
                (続く) 
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