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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百八話 プールサイドからその五

「目の前が真っ暗になるよ」
「それはね」
「当然としてね」
「そうなるわね」
「そんな振られ方、裏切られ方したら」
「それでそのこと言われ続けたら」
「ドン底になるわね」
 イタワッチさんもテレサさんも深刻な顔で頷いた。
「あんまりにも酷い経験だから」
「傷付かない方が詳しいわ」
「他にも色々あったかも知れないけれど」
「壊れたのね」
「親父が聞いたら」
 Aさんのこの話をだ。
「怒るね」
「けしかけた奴に?」
「それとも言った相手?」
「振った相手?」
「だれになの?」
「全員かな」
 少なくともそのどれもだ、親父はしない。酷い振り方もけしかけた後手の平返しをすることも囃し立てることもだ。
「そういうことはしないから」
「それだけずっとましよ」
 ここまで聞いてだ、イタワッチさんはまた言った。
「人は気付かないうちに相手を傷付けたりするけれど」
「わかっていて傷付けたりね」
「そうした傷付け方はね」
「最悪だね」
「恨まれるわよ」
「絶対にね」
 言われた方は覚えているからだ、振られた方も裏切られた方も。
「だからAさんもね」
「そうした人になったのね」
「偏執狂っていうか」
「恨みを忘れられなくて」
「壊れたのね」
「そうなるから」 
 本当にだ。
「どれもやるべきじゃないしね」
「告白をすればそうなる」
「そう思って」
「だからなのね」
「怖くなったよ」
 それも心底だ。
「Aさんも実際今も親しい人としか付き合わないそうだし」
「何ていうか」
 イタワッチさんは苦い顔でまた言った。
「極端な例だけれど」
「それでもね」
「確かにそうしたお話はね」
「聞くとね」
「忘れられないわね」
「どうしてもね」
 テレサさんも言う。
「というか酷過ぎて」
「何かAさんが気の毒ね」
「そんな目に遭うなんて」
「大変だったわね」
「僕は会ったことがないけれど」
 Aさんにはだ。 
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