風魔の小次郎 風魔血風録
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
58部分:第六話 霧の中でその五
第六話 霧の中でその五
「何で俺はまた」
「御前白凰のテスト全然できなかったらしいな」
「・・・・・・あそこって進学校だったんだな」
憮然として答える。
「全部ダンゴだったぜ」
「幾ら何でもそれは酷いだろ」
林彪の顔が真顔になった。
「御前、少しは学校の勉強もしろよ」
「ちぇっ」
そんな話をした後で出陣する。プールには選手達とコーチに姫子と蘭子、それに風魔の面々が揃っていた。霧風と麗羅もそこにいた。
「小次郎君、何か久し振りだね」
「そういや御前も帰って来てたんだったな」
「うん、里で総帥が心配しておられたよ」
「総帥の兄ちゃんが?」
「小次郎君が怪我したって聞いてね」
それを今小次郎に話すのだった。
「ずっと心配しておられたよ」
「そうだったのかよ。しかしもう話がいっているんだな」
「当たり前だ」
霧風が小次郎の言葉に答える。
「忍はそもそも情報収集が目的だ。だからそれも当然だ」
「それもそうか。で、里の皆はどうしてるんだ?」
「皆元気だよ」
麗羅は笑顔でまた小次郎に答えた。
「夢魔さんもね」
「あいつも来ればよかったのにな」
「そうもいかん。守りも必要だ」
霧風がまた言う。
「ただでさえ最近各地の忍の里が壊滅しているのだからな」
「相変わらずかよ」
「そうだ。私も聞いた」
霧風は小次郎に対して話す。
「だから夢魔に残っていてもらわないといけない。あいつのマインドコントロールは大きな力になるからな」
「そうだよな。あいつがいるといないじゃ大違いだからな」
小次郎はそれで納得した。納得したその時に競技がはじまる。小次郎達も姫子もそれを見守る。黄色い水着の選手達はプールサイドでポーズを取りそれからプールに飛び込む。音楽に乗り中で競技をはじめる。回転し逆立ちになり足を立たせ集団になる。まずは見事な動きだ。しかしその中の一人が。
「!?」
「何かあったのか!?」
動きがおかしくなり沈んだ。そこで小次郎は見た。
「!?あいつは確か」
「雷電だ」
小次郎の横にいた霧風が言った。水中で雷電がその選手の足に鎖をかけ沈めていたのだ。
「夜叉八将軍の一人雷電。やはり来ていたか」
「くっ、あの野郎!」
「待て小次郎」
プールに飛び込もうとする小次郎を霧風が止める。
「今回は御前の出番ではない」
「じゃあ一体誰が」
「俺の出番なんだよ」
二人の後ろから一人出て来た。それは兜丸だった。
「今回は俺と霧風だろ。違うか?」
「ああ、そういえばそうだったか」
楽しげに笑う兜丸に対して小次郎は不機嫌な顔をしていた。
「折角戦えるようになったってのによ」
「また出番がある。その時を待っていろ」
「そうだ。では小次郎」
また霧風が言う。
「後は私達に任せて」
「御前はそこにいろ」
二人はプールサイドの前に立つ。まずは霧風がその右手に持つ木刀の先をプールに入れる。するとプールサイドは忽ちのうちに霧に包まれる。その中で霧風と兜丸は学ランのままプールの中に飛び込んだ。
ページ上へ戻る