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ペルソナ4 the K.C.

作者:黒城優輝
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第二話 シャドウ?いいえあれは深海棲艦

「ウワァ〜!」
「キャア〜!」
ザッパーン!

「ゲホッ!ゲホッ!いたたた…ここは…海か?」

悠は周りを見渡す。一面青い海が広がるここは、悠の知っているテレビの中の世界とはまるで違うところのようだ。

「イッターい!何これ?どこ?ねぇ!悠!」

「とりあえず状況確認だな。」



悠はまず、自分の体になにか異常が無いか確認した。

(…ずぶ濡れだが怪我は無さそうだな。足についているこの機械は何だ?見た所これのお陰で海の上に立てているようだな。あと何故八十神高校の制服になっているんだ?)

「ねぇ?悠?聞いてる?無視はヒドイんじゃないかな?」

(所持品は…一緒に落ちた十握剣とポケットに入っていたメガネか…武器があるだけましだな。)

「ちょっと!聞いてる?私の声聞こえてるよね?もしかして私だけ死んで幽霊になっちゃってるとかじゃないよね?」

(ペルソナは…出せそうだな。とりあえずイザナギに…「テェーイ!」ビシッ!

「あ痛っ!」

先程から隣にいた謎の美少女にチョップされた。

「無視しないでよ!2人しかいないんだから助け合っていこうよ!」

「あぁ…えっと、すまん…」

「もーう、しっかりしてよね。…ていうか、さっきから私のこと見ようともしないよね?なんで?」


悠が直視できないのも無理は無い。その少女の服装はヘソ出しで明らかに寸足らずのセーラー服。それだけならまだいい。極め付けは間違いなく下着が見えている超ミニスカートに、そのチラチラ見えている下着がなんとも名状しがたいYの字なのだ。


(そっとしておきたいが…覚悟を決めるか…顔も見ずに話すのはやはり失礼だからな。)
「いや、考え事をしててな。とりあえず自己紹介からだな。君は何故か俺の事を知っているみたいだが、俺の名前は…」

「知ってるよ!鳴上悠でしょ?てかさ、もしかして私の事誰だかわかってない?ヒドイよ!島風の事忘れちゃったの?」

(中々せっかちな子のようだ。それより…)
「今、島風といったが、もしかして…」

「そうだよ!鳴上島か…ぜ…」


突然、喋り続けていた島風が喋るのをやめ、「あわわわ…」と言いながら悠の後ろを指差す。


「どうした?突然黙って。ん?後ろがどうし…」


ザブーン!
島風が指差す方を見ると巨大な魚のバケモノが4体、こちらに向かってかなりのスピードで進んできており、更にそのすぐ後ろに人型の何かが海面を滑るようにして後に続いており、その腕には砲身だろうか?武器のようなものを装備している。

(何だあれは⁉︎シャドウ?いや、違う。仮面が無い。だが、味方では無いようだな…)

カチャッ

「まずいっ!島風!よけ…」

ドゴーン!

「ぐあぁっ!」
「キャア〜!」

突如、なんの警告も無しに人型の何かがエネルギー弾を撃ってきた。
直撃こそしなかったものの、爆発の余波で2人とも吹き飛ばされ距離を離されてしまった。




「くっ、しまった!これが狙いか!」

吹き飛ばされた島風を魚のバケモノが取り囲み、悠の前には人型の何かが立ちはだかる。どうやら各個撃破するつもりらしい。

「やるしかないようだな!」

悠はポケットからメガネを取り出しかける。そして…

「ぺ・ル・ソ・ナ!」

お決まりのセリフと共にイザナギが召喚される。

「さあ、始めようか!」

悠は水面を駆ける。駆けるというより滑るなのだが、流石は我らが番長。いつの間にか足に付いていた謎技術の海面スケートシューズも瞬時に使いこなす。

(意外と安定しているな。これならっ!)

悠は一気に加速し敵の正面に躍り出る。これに敵の表情が一瞬驚いたように見えたがすぐに元の無表情に戻る。

「ハッ!」

カキンッ!
一気に接近し一撃をお見舞いしようとするがさすがに防御され、鍔迫り合いの様相をとる。だが、これでいい。

(今だ!)
「イザナギ!ジオ!」バチィンッ!

敵の注意を自分に逸らし、本命のジオを死角となっている真上から撃ち込む。

アァァッ!
敵の苦しむ声が聞こえる。しっかり効いているようだ。

バシュー!

敵は接近戦は不利と理解したようですぐさま距離を離し再び砲撃を行う。それも先程のように単発ではなく連続して撃ち込んでくる。

ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!

悠は砲撃を躱すが、躱す度に島風との距離が離される。

(まずいな。先の事を考えるとSP(精神力)は節約しときたいんだが…ん⁉︎あの光は!)

『ペルソナ〜!』

(何っ⁉︎何故島風がペルソナを?くっ、とにかくこいつを倒さないとどうにもならないな。)

向こうでは何故か島風がペルソナを召喚していた。自らの影と対峙することなく発現したそれは魚のバケモノと戦っており、制御にも問題は無さそうである。

(仕方ない。短期決戦だ!一気に決める!)
「チェンジ!ミカエル!」

悠はペルソナをイザナギからミカエルへと変える。

(ミカエルなら物理耐性に火炎無効。無傷とはいかないがこいつ一体の弾幕なら十分突破出来る!)
「いくぞ!正面突破だ!」

悠は敵の砲撃に真正面から突っ込み、ギリギリで回避し、最短距離を駆け抜ける。無論全てを躱しきれる筈もなく、何発かもらってしまうもミカエルの耐性のお陰でかすり傷程度で済んでいる。

「そこだ!」

ザシュッ!ザンッ!ズバッ!

イザナギよりも遥かにステータスの高いミカエル。それにより悠の身体能力も先程の比ではなくなっており、一撃が遥かに重くなっていた。敵はこの連撃を受け切れず体勢を崩す。

「隙あり!ペルソナー!」

「天の一撃を受けてみよ!『天軍の剣』!」

ギィヤャャー!

ミカエルによる物理最強クラスの魔法が放たれる。天軍の剣は人型のそれの胴体を完全に消し飛ばし、敵の断末魔が響く。四肢と頭だけになったそれは完全に機能を停止し海へと沈んでいった。

「勝ったか…しかしシャドウの様に消えないのか…人型だった所為もあって生々しかったな。よし、島風の所へ急ごう!」

悠は、人型の敵の最期に感傷を覚えつつも、島風の所へ急ぐのであった。 
 

 
後書き
「ウワーン!なにこいつら!こっち来ないでよ〜!」
グォォー!
不気味な唸り声をあげて島風に迫り来る魚の怪物。その時、島風の頭に声が響く。
『我は汝、汝は我。汝、今こそ双眸見開きて今こそ発せよ』
次回ペルソナ4 the K.C.
島風覚醒
「これが…私?」 
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