風魔の小次郎 風魔血風録
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153部分:第十三話 暖かい風その十二
第十三話 暖かい風その十二
「玉子焼きに鰯に納豆、それに」
「海苔ですね」
「あとお漬物です」
朝のおかずの定番ばかりであった。
「そういったものを出していこうかと思っていますが」
「そうですね。それではそれも」
「こちらはお任せ下さい」
「はい、では御願いしますね」
「今から屋敷に戻って」
「作りましょう」
笑顔で言い合うのだった。
「楽しく」
「ただ。一つお気をつけ下さい」
「量ですね」
「九人分です」
このことがまた言われる。
「しかも全員よく食べますので」
「特に小次郎さんがですね」
「そうです、あの馬鹿です」
また小次郎を馬鹿と言うのだった。
「あの馬鹿はそれこそ丼で何杯も」
「それも小次郎さんらしいですね」
「それはそうですが」
少し苦笑いになっていた。
「全く。何処まで食べるのやら」
「それではかなり多めに炊いておきましょう」
米の話である。
「二十人分でしょうか」
「いえ、三十人分が宜しいかと」
蘭子が言った量はまた実に物凄いものであった。
「それだけあってやっとかと」
「そうですか。じゃあ」
「やはり三十五人分ですか」
量がさらに増えてしまっていた。
「それだけあれば流石に」
「凄いですね、本当に」
「馬鹿の三杯飯どころではありません」
やはり悪い顔はしていない蘭子であった。
「あればあるだけ食べますから」
「そうですね。それでは今から屋敷に戻って」
「宜しく御願いします」
「わかりました」
最後は笑顔で言い合う二人だった。姫子は純粋な笑みで、蘭子は苦笑いを交えた笑みで。それぞれ笑顔を浮かべ合っていたのであった。
真夜中の誠士館の門。そこに集まる男達。彼等はそれぞれ左右から来ている。
「なあ兄ちゃん」
「どうした」
一方にいるのは風魔の者達である。中央に入る竜魔に小次郎が声をかけたのだ。
「今回は無礼講だったよな」
「そうだ」
竜魔は小次郎のその言葉に静かに答えた。
「風魔も夜叉も関係ない。ただ戦うだけだ」
「いいねえ、それって」
「お互いこのままではしっくりいくまい」
竜魔はまた語る。
「だからだ。そして小次郎」
「今度は何だよ」
「だからといって破目を外し過ぎないようにな」
「わかってるさ、そんなことはよ」
「どうだかな」
しかしその彼にいつものように劉鵬が言うのだった。
「御前のわかってるっていうの程あてにならないものはないからな」
「何だよ、劉鵬まで」
「まあまあ小次郎君」
今度は麗羅が笑って小次郎に言う。
「今日は無礼講だって竜魔さんも言ってるじゃない。楽しんでいこうよ」
「おっと、そうか」
「まずは盛大にやる」
小龍が述べた。
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