夢幻水滸伝
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第三話 都へその十四
「それ言うたら犬と狼もやな」
「同じやで、狐や狸もおるしな」
「そして種族によって得手不得手があるけどや」
「努力次第で誰でも何でもなれるさかいな」
こう話すのだった。
「そこは覚えておくんや」
「よおわかったわ」
「結局どの種族も大して変わらん」
「人間も鬼も天狗もやな」
「そや、種族ごとの個性があってもな」
「結局は努力次第でどうにかなるか」
「そこは覚えてるんや、ただ巨人だけは別や」
この種族についてはだ、芥川は眉を顰めさせて語った。
「あの連中は馬鹿でかいし急に出て来て暴れ回る」
「例外かいな」
「もう何が何かわからん、あんな迷惑で腹立つ連中もない」
「災害みたいなもんか」
「リアルでな、この連中だけはちゃうからな」
「他の種族とはか」
「ああ、全然ちゃうのは覚えておいてくれ」
巨人だけはというのだ。
「文明の中にもおらんし訳わからん連中や」
「色々な種族のおる世界でもか」
「その殆どの種族がモザイクになって暮らしててもな」
「成程な」
「それで、でおじゃる」
ここで公家の格好をした狐顔の者が言ってきた。
「麿は犬人の中の狐人でおじゃる」
「こいつも星の者や」
「夏目瞬、地彗星でおじゃる」
狐人の公家は自身の星のことも話した。
「公達で戦も政も得意でおじゃる」
「それで陰陽師でもあるからな」
芥川はその夏目を親指で指し示しつつ中里に笑顔で話した。
「頼りになるで」
「宜しくでおじゃるよ」
「ああ、何かお公家さんっていうか公達みたいやな」
「実際にそうでおじゃる」
「そやねんな」
「神具は名刀菊一文字と安倍晴明さんの表した陰陽道の書、古事略決でおじゃる」
この二つだというのだ。
「戦と陰陽道の両方で役立っているでおじゃるよ」
「成程なあ」
「八条学園では二年でおじゃる」
「自分も八条学園の人間か」
「麿の知る限り星の人は全員八条学園の人でおじゃるよ」
「そやねんな」
「そして麿もでおじゃる」
「二年生か、つまり後輩やな」
学年ではとだ、中里も理解した。
「そうなるか」
「では後輩として宜しくでおじゃる」
「こっちこそな」
「そしてです」
白猫の顔をした巫女が笑って言ってきた。
「私は姫様のお付きの巫女にして内政と外交の責任者樋口弥生です」
「姫様って綾乃ちゃんのことやな」
「そうです、私綾乃さんのことこう呼んでます」
「成程な」
「持ってる神具は記紀、古事記と日本書紀だけやなくて開けばそこに自分が知りたいことが何でも書いてます」
「政治のことでもか」
「はい、そやから太宰さんと一緒に国政を主にやらせてもらってます」
こう中里に話した。
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