オズのアン王女
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第十幕その十二
「木の上は」
「あっ、木の上は」
ドロシーも言われてはっとなりました。
「確かに」
「これまで見ていなかったわね」
「そうでしょ、だからね」
「木の上をなのね」
「見て行きましょう」
「それじゃあ」
「ここはね」
あらためてでした、アンとドロシーはです。一緒に木の上を見ました。花の園にはそうした木々もあるからです。
そして見るとです、一際高い林檎のまだお花が咲いていない木の中にでした。
大佐が隠れていました、アンはその大佐を見上げて笑顔で言いました。
「見付けたわよ」
「わかりましたか」
「ええ、気付いたわ」
「ここならと思ったのですが」
大佐は木の中から跳んででした、そうして。
スカートの中が見えない様に脚にぴったりと付けて身体を丸めてくるくると回転させてです。両膝を折って着地しました。
それから立ち上がってです、こう言いました。
「花の園で今は木の上にはお花が咲いていないので」
「お花に注目してね」
「人を探すにしましても」
それでもというのです。
「木の上となりますと」
「私もそう思ったわ」
「しかしですか」
「けれどちょっと考えなおしたのよ」
「しかしここで、ですね」
「木の上もかもって思ってね」
「そしてその通りだったということですか」
大佐は少し苦笑いになって述べました。
「驚きです」
「よく考えたわね」
「隠れることもです」
まさにとです、大佐はアンに答えました。
「軍人は時として必要ですから」
「忍者みたいに?」
「はい」
大佐はアンにはっきりとした口調でまた答えました、このことも軍人らしいです。
「そうです」
「そうなのね」
「私は忍者ではないですが」
それでもというのです。
「しかしです」
「隠れることはなのね」
「心掛けています」
「時に応じて」
「そしてそうしていましたが」
「正直私もね」
アンはその大佐にこう言いました。
「今回は見付けられるかどうか」
「自信がなかったですか」
「いえ、自信はあったわ」
そちらはというのです。
「ちゃんとね、けれどね」
「それでもですか」
「何処に隠れたのかって思ったわ」
「この花園の中の」
「この中にいることは間違いないから」
今回のかくれんぼはこの花園の中で行われることは決まっていたからです、約束は破らないことはオズの国の法律の大事なことの一つです。
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