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『2つの南天』

作者:零那
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『雪兎』



雪が積もり、小さい雪兎をたくさん作った。
長い耳はオリーブの葉で、真っ赤な瞳は南天で。

まるで、血を流す私を真っ白なアナタが包み込んでくれるみたいに...。

いや、アナタは南天。
僕と共に血を流してきたね。
僕とアナタは共に真っ白に包まれてく。

雪をかきわけ、666粒の南天も共に雪に埋もれる。
此の侭、降り積もってしまえば綺麗に死ねるねって笑い合った後、無心に祈った。

春の出逢いから冬になりアナタは変わった。
より美しくなってった。
私に出逢えたからと言うアナタ。
何を感じ、何を考えてるか、お互いに解り合ってた。

共に逃げ場を求め彷徨い続けてた。
そんな中の出逢いだったから...。

真っ白に包まれた躰の感覚は無い。
雪兎に見守られ、夜が明けても意識は在る。
なかなか死ねないねって涙を堪え震えた声で言う。

次の瞬間、繋いでた手は引き離された。
警察と沢山の大人に囲まれ、一瞬にして別れを迎えた。

アナタの苦しい叫び声だけが耳に残る...。

幼き僕達には死を選ぶ権利すら無かった...。

二度と逢えない、名前も知らないアナタ。
あれから21年。
今、何処かで少しの幸せを胸に抱きつつ、希望が在る中で生きてることを願います。


2017年4月4日


 
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