Blue Rose
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第四十八話 進路を決めてその十一
「というかステーキは大きくないと」
「食べがいがないから」
「だからよ、大きいのを焼くのよ」
「いつもそうしてるの」
「そうよ、だから食べることもね」
「頑張って食べる」
「そうしてね、どうしたステーキにするかは考えておくわ」
ステーキといっても一つではない、ただ肉を焼いて出来上がりではないのだ。焼き加減やソースも関係しているのだ。
「だから楽しみにしていてね」
「どんなステーキかも」
「それもね」
「わかったわ」
優花は確かな顔で頷いた、そして姉にこうも言った。
「じゃあ推薦入試の手続きもするから」
「ええ、そちらも抜かりなくね」
「そうしていくわ」
こう言った、そしてだった。
二人で笑顔で世間話もしてだ、電話の後は受験勉強をして風呂にも入った。優花の入試は日に日に近付いていた。
夏になっても受験勉強を行ってだ、優花はアパートにいる時間が多くなっていた。遊びに行くよりもそちらだった。
優子と龍馬はその優花を気遣ってあえて長崎には行かなかった、そうして。
優子は龍馬にだ、ある日電話で聞いた。
「龍馬君も長崎には行ってないのね」
「はい、俺も部活まだ行ってますけれど」
「それでもなのね」
「受験やってますから」
だからだというのだ、八条学園は三年生でも夏休みから二学期まで部活に出る学生が多い。これは海外のある国の伝統を受け継いだらしい。そこまで部活に出ていると八条大学の推薦にかなり有利だということも影響している。学業も部活も頑張っていると見られてだ。
「ですから」
「だからなのね」
「はい、部活で汗をかいて」
「それで受験勉強もね」
「してます、ただ合宿にも参加しました」
「ああ、江田島の」
「それで飲みはしました」
酒をだ、言うまでもなく。
「それもかなり」
「あそこの合宿はいつもああなのよね」
優子も学位性時代を思い出して笑顔で応えた。
「お酒どんどん出るのよ」
「広島の海の幸と」
「特に牡蠣がね」
「それで毎日馬鹿みたいに飲んでましたけれど」
「私もそうしてたわ」
「優子さん相当飲みましたよね」
「毎日ね」
実際にというのだ。
「そうしていたわ」
「やっぱりそうですか」
「日本酒をね」
合宿の時に出る酒はこれだ、広島の地酒である。
「飲んでたわ」
「そうだったんですね、やっぱり」
「生牡蠣とかお刺身肴にしてね」
「あの牡蠣がまた美味くて」
江田島の海で養殖している牡蠣だ、海軍で有名な島だが水産業も盛んなのだ。伊達に海に囲まれている訳ではない。
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