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花火と犬

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第二章

「だからわし等は毎年楽しんでるが」
「タロは好きみたいだけれど」
「ワラビはどうか」
「それはどうなのかしらね」
「犬は色がわからないんだったな」 
 ここでだ、権造は犬の目のことに言及した。
「そうだったな」
「そうよ、哺乳類は人間と猿だけがね」
「色がわかるんだったな」
「だからね」
「犬は花火を見ても楽しめないな」
「ただのモノクロよ」
 犬から見ればカラフルな花火もというのだ。
「それこそね」
「それじゃあ花火を観てもな」
「面白くないわよ」
 現実として、というのだ。
「犬にとってはね」
「花火もな」
「楽しめるのは人間だけだから」 
 あくまでというのだ。
「花火はね」
「色はか」
「だから花火を見ても白黒なだけで」
「何も楽しくないか」
「音はわかるけれど」
「音だけじゃな」
「何でもないでしょうね」
「花火は観るものだからな」
 何といってもとだ、権造も言い切った。
「やっぱり」
「そう、だからね」
「どうしてもか」
「楽しめていないわよ」
 犬、彼等はというのだ。
「残念だけれどな」
「やれやれだな、じゃあワラビはどうなるかだな」
「タロは音に興奮したけれど」
「さて、ワラビはどうか」
「観ても仕方ないにしても」
「それでもな」
「どうなるかはね」
 早百合はワラビを見つつ夫に話した。
「もうね」
「その時にならないとわからないか」
「そうでしょうね」
「そうか、しかしな」
「花火はね」
「もうすぐだ」
 大会の日はというのだ。
「その時になったら梅酒を出して西瓜も出してだ」
「このお家の中でね」
「孫達も来るだろうし」
 彼等にとっては宝物に等しい彼等もだ。
「西瓜は沢山用意しておくか」
「そうしましょう、アイスでもいいわね」
「そっちの方がいいか?」
「西瓜は日持ちしないけれどアイスは日持ちするから」
 冷凍庫の中に入れておけばだ、アイスは保存食にもなる。早百合はこのことから権造に言ったのだ。 
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