Love Me Tender
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第四章
「折角人が来てくれてもな」
「逃げるっていうのね」
「待遇が悪いとな」
人を雇ってもだ。
「すぐに逃げられるからな」
「ブラックだとね」
「それで気をつけてるさ」
経営者である俺もだ。
「ちゃんとな」
「そうしたお店に来られてね」
「よかったっていうんだな」
「ええ、だから契約期間まではね」
「ちゃんと働いてくれるか」
「そうさせてもらうわね」
「頼むな、ただ前の店は契約更新しなかったんだな」
「そうなのよ、これがね」
前に勤めていた喫茶店のこともだ、ピラールは話した。
「アルバイトは二年契約で二年以上はね」
「メンバーチェンジか」
「そうした考えのお店でね」
「若い娘がいいってか?」
「そうした考えのお店でね」
「その店の親父はドスケベだったとかか?」
「マスターは女の人だったわよ」
男でなくだ。
「だからね」
「そうした趣味はなかったんだな」
「そうなの、まあそれでね」
「妙な考えの店もあるな」
「それでなのよ」
だからだというのだ。
「私もね」
「次の店を探しててか」
「ここに来たのよ」
「成程な」
「奇遇だったわ」
「俺もそう思うぜ、まあその店のそうした方針のお陰でな」
俺はここでまた笑ってピラールに言った。
「俺はあんたっていうナイスなウェイトレスを迎えられた訳だ」
「そうなるっていうのね」
「ああ、本当にな」
俺はこのことを心から喜んでいた、
「よかったぜ」
「そう言ってくれて何よりよ」
「うちは更新するからな」
契約期間が終わってもだ。
「二年までとかしてないからな」
「それじゃあ」
「ああ、何もなかったらな」
そしてその時にヒピラールが望めばだ。
「二年先も宜しくな」
「その時私卒業だけれどね」
カレッジをというのだ、ちなみに俺はハイスクールまでしか出ていない。正直学歴よりステーキを焼く腕と店の経営のやり方の方が大事だと思っている。
「どうしようかしら」
「別のとこに就職するかい?」
「どうしたものかしらね」
二年先のことはだ、ピラールは笑って言った。とりあえず今はあまり考えていない感じだった。
俺はステーキハウスを経営し続けた、店はそれなりに繁盛していていい感じでやっていけていた。そしてピラールもだ。
安定したウェイトレスでいてくれていた、だがピラールは次第にウェイトレスとしてだけでなく。
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