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夢幻水滸伝

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第二話 世界の仕組みその九

「やったら負けるのはうちや」
「そうなるか」
「世界大戦のドイツみたいになるわ」
 そんなこと、二正面作戦なぞすればというのだ。
「ドイツはどっちの戦争でも負けたやろ」
「実際東西に敵持ってな」
「そうしたことはせん、そんなんしたらや」
「滅びるのはこっちか」
「相手の軍門に降ることになるわ、そんなん嫌やろ」
「そらな、そう言われると」
 自分の勢力を滅ぼされたくない、人間としてごく自然な感情からだった。中里は芥川に対して答えた。
「自分達の勢力で統一したいけど」
「嫌やな」
「そやったらや」
「まずはか」
「順番や、山陰は順調やしな」
「一気に出雲にか」
「行く、そして出雲に確かな戦力を置いて」
 そうしてというのだ。
「山陽に睨みを利かしてな」
「返す刀で東海か」
「そっちを一気に叩く」
 そうするというのだ。
「連中の国を全部手中に収めるんや」
「駿河も甲斐もやな」
「そうすれば関東とも境を接するけどな」
「それだけ勢力がでかなってか」
「北陸を南からも圧迫出来る」
 戦略、芥川はそれを語っていた。彼の目と頭にはこの国の地図が山や川まで実に細かく見えていてそのうえで語っていた。
「こんな確実な抑えはない」
「関東の連中にもか」
「備えるけど東海の勢力を完全に飲み込んで」
「後は、か」
「叩ける方を叩く」
 芥川のこの時の言葉は簡潔だった。
「東でも西でも」
「その時に弱い方か」
「そっちを叩く、それもとろとろ出来ん」
「ゆっくり出来ん事情があるんか」
「日本でこうや、ほな他の国はどうや」
 芥川はその目をさらに鋭くさせて中里に問うた。
「海の向こうのアメリカとか中国とか東南アジアとかオセアニアはな」
「何処もか」
「そや、群雄割拠でな」
 そうした状況でというのだ。
「何処も統一に向かってる」
「一緒ってことか」
「当然何処にも星の奴がおってな」
「そいつ等が中心か」
「そうなってる、そんで一番強い神星はな」
 自分達と同じ彼等はというと。
「アメリカと中国に二人ずつ、東南アジア、オセアニア、中南米に一人ずつおるらしい」
「合わせて七人か」
「太平洋に十八人の神星のうち十人がおるんや」
「過半数か」
「世界の人口比率みたいやろ」
「僕等の世界のな」
「それでロシアに一人、インドに一人で」
 芥川はさらに話していった、神星の者達のいる場所を。 
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