Blue Rose
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第四十八話 進路を決めてその九
「特にそう思うの」
「心か」
「私も強くなりたいわ」
「御前は強いさ」
龍馬は優花に顔を向けて彼女自身に告げた。
「そのこと自信を持っていいぜ」
「そうなの?」
「ああ、だってこれまで色々あっただろ」
「そうね、今振り返ったら信じられない位に」
優花は顔を少し上げた、そうして空にこれまでの自分に起こったことを思い出してそのうえで横に歩いている龍馬に答えた。
「あったわね」
「けれど今もこうしてるよな」
「受け入れるしかないから」
そうしたことだからというのだ。
「全部ね」
「そう思えて受け入れていることがな」
「強いっていうのね」
「俺よりも御前の方が強いさ」
これが龍馬の見立てだった。
「本当にさ」
「そうなの」
「自殺とかしたいと思ったか?」
「いえ」
龍馬の今の問いにだ、優花は首を横に振って答えた。
「一度も」
「それで自分の未来だって決めたからな」
「強いっていうのね」
「俺なんかよりもな」
「自分ではそうは思わないけれど、だって」
「だって?」
「私は姉さんと龍馬がいてくれたからやってこられたから」
だからだというのだ。
「別に強くはないわ」
「俺に言ってることと別じゃないか」
「一人じゃないからっていうのが」
「そうだよ、自分にはそう言うんだな」
「ううん、そういえばそうかしら」
「その自分への厳しさもな」
そのこともというのだ。
「強いさ」
「そうなのね」
「ああ、とてもな」
「だといいけれど」
「安心しろ、御前は強いさ」
龍馬は優花に確かな声で告げた。
「だから安心しろよ、これからも」
「強いから」
「未来だって切り開いて幸せにやっていけるさ、絶対にな」
優花への絶対の信頼も見せた、そしてだった。二人でちゃんぽんもカステラも楽しんでこの時も長崎の街を楽しんだ。そうしてだった。
その楽しみの後でだ、龍馬がホテルに帰ってアパートに一人で戻ってだ。優花は晩御飯の支度をしつつ思った。
「私が強い、ね」
龍馬の言葉を思い出しながら呟いた。
「自分ではそうは思わないけれど」
野菜炒めを作りながら思った、そうして夕食を食べてから風呂に入り予習復習もした。龍馬が来ても学業は怠っていなかった。
龍馬が長崎にいる間は彼と一緒に街を巡って楽しみ彼が神戸に戻る時は再会を約束して笑顔で別れた。そのうえで日常に戻った。
日常に戻っても生活はそのままだった、優花は龍馬だけでなく優子が来ても同じで二人でいる時間を楽しみつつ長崎で過ごし。
三年になり受験の時期を迎えてだ、担任の先生に言われた。
「御前八条大学受けるだろ」
「はい、文学部に」
職員室に呼ばれそこで答えた。
「そのつもりです」
「御前の今の成績だとな」
先生は優花に笑顔で話した。
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