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ジョジョの奇みょんな幻想郷

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第一部 ケイオスクルセイダーズ
プロローグ ビギンズデイズ
  5.VS魔理沙・早苗~クレイジーダイヤモンドは砕けない~2

「『直す』!」
 『クレイジーダイヤモンド』の能力は『破壊されたものを直す』能力。ただし、死人、そして自分は直せないし生き返らせられない。これは絶対のはずなのだ。確かに四部で主人公の東方仗助は自らの能力をそう明かしたのだ。
 しかし、現実はそれを覆した。早苗の傷は服はみるみるうちに塞がり、『直って』いった。
「な、なにぃ!!」
『何ですとぉ!!』
 丞一も『ダークワン』もらしくなくあんぐりと口を開けて驚いてしまった。
『ドラァ!』
「グボァ!」
 渾身の右ストレート。早苗の『クレイジーダイヤモンド』のその一撃は丞一惚けていた丞一にマトモに入った。
 丞一は絶対的にピンチだった。手持ちのフォークがもうないからだ。時を止めてその間に回収できないこともないが、今まで投げたフォークは拳によって曲がっていたり、壁に刺さっていたりして、取り出すのが困難なものが多い。
 純粋なスタンドバトルだと、勝つのが厳しくなってきた。生き死にの戦いではなく、弾幕ごっこだからこそ勝つのが厳しいのだ。如何に殴ろうとも、風穴を空けようと、腕を脚を引きちぎろうと、『クレイジーダイヤモンド』でさっきのように直されるからだ。スタンドは精神のエネルギー、永遠に出してられるわけではない。実力も拮抗しているのだ。そのまま行けば丞一のジリ貧だ。
 奥の手がないでもないがあれは危険すぎる。下手をすれば殺してしまうかもしれなない。そんなのだめだ。
 現状を打破する方法はたった一つ。フォークだ。フォークが必要だ。それも多くの。
「形勢逆転ってやつですね」
 家にならばあるのだ。大量のフォークが。
『こいつぁ、ヤベーですよ』
 考えるのだ。丞一は考える。もし自分がマンガの主人公ならこの場合どうする。どうやってフォークを召喚する?と。
 このとき、真っ先に思い浮かんだのが、丞一をこの世界に連れてきた張本人、八雲紫だった。正確には彼女の能力『境界を操る程度の能力』だ。彼女は何かを取り出すときいつも作り出したスキマに手を伸ばし、物を取り出していた。丞一の家を格納しているほいほい容器もそこから出したのだ。
(俺もそれに似たような能力に目覚めれば、まだ勝負のしようがある!)
 丞一はそう考えた。だが、今は目の前の敗北から逃れなければならない。
「ニャル子!早苗との間の重力を強くするんだ!」
『っ!そうですよ!ナイスアイディアです!』
 重力とは空間の歪みなのだ。つまり、重力が強くなると言うことは即ちその歪みも大きくなるということ。その歪みをさらに広げることによって、空間を広げればよいのだ。
「なっ!距離が一気に離れた!」
「どんなもんだい!これぞ『ダークワン』の空間操作能力だぜ!」
 そう、胸を張り言ったところで、丞一思考に電撃が走った。
(空間操作?今までやって来なかったけど、できた。今回は空間を広げたけど、もしかしたら、できるんじゃないか?)
「でも、距離を空けられても、また距離を詰めればいいだけの話です!」
 早苗は丞一の方へ走った。残り距離五メートル。
『って、ヤベー!マジでピンチだぁ!負けた!第三部完!』
 ニャル子はやはり何もやりようがない。残り距離四メートル。
「これで決まるのか!」
「さっき、丞一は射程距離一、二メートルとか言ってたわ。つまり、二メートル圏内に入ったときが勝負よ」
 魔理沙と霊夢が解説をする。残り距離三メートル。
 このまま、終わってしまうのか。ご都合主義の覚醒もできないまま、終わってしまうのか。
 残り距離二メートル。再び早苗の射程距離内。そして、丞一も何かがカチリとはまった。
『ドラァ!』
 時速300㎞の拳が丞一に迫る。
「なっ!─────────消えた!」
 空気弾によって防がれるわけでもなく、丞一をとらえたはずの拳は空振った。
「そんな!いつの間に消えたんだぜ!」
「私たちは丞一から目を離さなかっただけどいつの間にか消えるなんて。まるで神出鬼没のスキマのよう…………っ!?まさか!」
「縮地じゃあない。縮地だとしても、時速300㎞もの『クレイジーダイヤモンド』の拳からあの一瞬で逃れられるとは思えない。今度こそ時を止めたんですか!」

「今度も時は止めていないさ、霊夢は気づいているようだが」

 早苗は声がした方を向いた。その方向は。
「いつの間に、後ろへ!」
「しかもあんな遠くへ!十間は離れてるんだぜ!」
 そう。早苗の後ろへ十間、つまり約十三メートル後ろへ移動したのだ。
「いったいどうやって」
「霊夢はわかっているのか」
 早苗、魔理沙の問に霊夢は神妙な顔で答えた。
「スキマとは違う。あれは、『空間と空間を入れ替えた』」
「Exactly(そのとおりでございます)。指定した二つ空間を座標を入れ替えたんだ。これが俺の能力らしな」
 そう言って、丞一はフォークを掴んでいた。
「そんな!フォークはもうないはず」
「家から引っ張り出してきたんだよ。紫さんほどじゃないが小物の移動ぐらいならばできるみたいだな。さしずめ『空間を操る程度の能力』というところか」
 今度は早苗が驚かされる番だった。
 つまりは、あの八雲紫と同じことができると言うことなのだから。
「いくぜ!早苗!一気に決めさせてもらうぜ!」
『最初からクライマックスです!』
 丞一はフォークを両手に挟み構える。
「これが俺の───」
「はい、ストップ」
 丞一と早苗が対峙している間に霊夢が割って入ってきた。
「終わりよ。終わり。これ以上やったら神社への被害がひどくなりそうだもの」
「………わかった」
 丞一は空間を繋ぎ、フォークを家に戻した。
「ありがとう、魔理沙、早苗。おかげで能力が発現できた。フォークの痛み大丈夫か?」
「あ、ああ。もう退いてきたんだぜ」
「私も大丈夫です。『クレイジーダイヤモンド』で直せますから」
「そうか、すまなかった」
「で、教えてもらおうかしら?丞一、早苗。あなたたちが隠してた能力について」
 霊夢は謎の存在に対峙したかのように警戒をしていた。それは仕方のないことで、それほどまでに霊夢の勘が危険と訴えていたのだ。
「……いいだろう。教えるよ。霊夢、お前昨晩『霊みたいなのがいる』と言っていたな?」
「ええ、言ったわ。まさか、その霊を使役しているなんて言わないでしょうね」
「そのまさか。でも惜しい。こいつらは霊じゃない。生命エネルギーが生み出すパワーある像なんだ」
「生命エネルギーの像……」
「そうです!そばに現れ立つというところからその像を名付けて『スタンド』!」
「あ!いいとこ取りされた!」
「早い者勝ちです!」
「うう、何が何だかごっちゃになってきたぜ」
 魔理沙は早くも脳のキャパが限界に達したようだ。
「まあ、守護霊のようなものだと考えてくれればいい。そして、スタンドはスタンド使いにしか見えないし、スタンドは同じスタンドでしか触れられないし攻撃もできない」
「何それチートじゃない」
「ま、基本スタンドは一人につき一体だから攻撃力のないスタンドならやりようはあるのさ」
 『紫の隠者』とか『テト神』に『トト神』などだ。
 しかも、スタンド使いにしか見えないといっても例外のスタンドや人はいるのだ。前者の見えるスタンドは『アヌビス神』などがそれにあたり、後者のスタンドを見ることができる人物は、八雲紫だ。紫は可視と不可視の境界を操り見えるようにしたのだ。
「つまり、スタンドに攻撃されたくなけりゃ、先に本体をぶっつぶせってことだな!そうだろ?丞一、早苗」
「そんな簡単にすませていいのでしょうか」
「ま、できるならの話だけどな」
 魔理沙の解答に早苗は苦笑を浮かべ、丞一は挑発的に言葉を返した。
「さらにですね、スタンドには特殊能力が備わっているんですよ」
「で、あんたたちのはどんな能力なのよ」
「私は『破壊されたものを直す』能力です!」
「あんたが最近手に入れた能力はそれだったのね。丞一、あんたのは?」
「俺は『重力を操る』能力だ」
「え、えげつない能力だぜ」
「なるほど、あんたらの能力についてはよくわかったわ。頼むから変なことは起こさないで頂戴ね」
「わかってるさ。さて、俺からも、早苗に二つ質問をしたいんだがいいかな?」




 
 
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