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Three Roses

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第三十七話 一つになってその八

「信仰の調和も図り」
「民の心もですね」
「徐々にですね」
「一つにしていく」
「全てをそうしていきますか」
「焦ることはなりません」
 断じてという言葉だった。
「少しずつでいいのです」
「そうですか、では」
「婚礼の時をはじまりとして」
「そしてですね」
「四国を一つにしていくのですね」
「そうです、それと共に王国にあたりますので」
 そのこともするというのだ。
「貴方達にはこれからもです」
「はい、一つになる四国の為に」
「これからもこの身を捧げます」
「王の為マリー様の為そして民の為」
「我等の全てを」
「有り難いことにオズワルド公と司教も誓ってくれました」
 旧教徒の有力者達の領袖である彼等もというのだ。
「ですから」
「新旧共にですね」
「マリー様と共にですね」
「この国を導いていける」
「そういうことですね」
「そうです」
 まさにという返事だった、今のマリーのそれは。
「実際にそうしていきますので」
「ではお二方と共に」
「他の旧教の方々と共に」
「我等も式に出席させて頂きます」
「マリー様のご婚礼の」
 側近達はマリーに深々と頭を下げて述べた、そしてだった。
 マリーは式の用意へ最後の一段階に入った、その最後の段階を終えて遂にその日となった。その日の朝だった。
 マリーは婚礼の服を着た、純白の晴れ着を。そのうえで共にいるセーラとマリアに対して微笑んで言った。
「では今より」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「貴女の一生の晴れ場に」
 二人はそれぞれそのマリーに述べた。
「これまで色々なことがありましたが」
「それを乗り越えてのことだけに」
「進まれて下さい」
「これからも」
「そうします、全てはこの時からはじまるのですね」
 マリーはこうも言った、そして。
 手元にあった花瓶を見た、そこには四本の薔薇があった。赤、白、黄色、そして黒のそれが。その薔薇達はというと。
 花瓶の中で一つにまとまっていた、マリーはその薔薇達を見て微笑みそのうえで二人にあらためて言った。
「三つの薔薇だけではないですね」
「はい、今は」
「そうなったわね」 
 二人もその薔薇達を見て微笑んでマリーに応えた。
「長い歳月がかかったけれど」
「それでもですね」
「そうです、ではです」
 あらためてだ、マリーは言った。
「この薔薇達と共に」
「お姉様も私達も」
「進んでいくことになるわね」
「薔薇達が一つになったので」
 だからというのだった。
「この国もです」
「一つになっていきますね」
 セーラが応えた。
「これからは」
「そうなります、少しずつでも」
「全てはこれからにしても」
 マリアも言ってきた、婚礼の服を整えた王宮のその部屋の中で。
「なっていくわね」
「その一歩を歩みだします」
 まさにこれからというのだ。
「これから」
「ご夫君が待たれていますし」
「それではね」
「今から参ります、薔薇達が一つになったのですから」
 これまではそうではなかった、だがそうなったからこそというのだ。
「この国もまた」
「はい、一つに」
「そうなる様にしていきましょう」
 二人はマリーに応え共に婚礼の場に赴いた、そしてだった。
 マリーは婚礼の場で夫と永遠の誓いをした、そこから全てをはじめることも誓いそうしてだった。その永遠の誓いをしたのだった。


第三十七話   完


スリーローズ   完


                       2016・12・27 
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