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Three Roses

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第三十七話 一つになってその五

「王にな」
「今現在あの国と北の王国であられる王に」
「そうしよう」
 こう言うのだった。
「私は大公となりな」
「それでは」
「そなたと共にあの国に行こう」
 そして四国の統一にだ、彼の出来ることで果たすというのだった。これはセーラだけでなくマリアもだった。
 彼の夫である島国の王にだ、こう言われた。
「私も考えを変えた」
「この国の王であるよりも」
「本来の姿に戻るべきだとな」
「四国の統一ですね」
「一つ一つ小国に分かれていてはだ」
「はい、力が小さなままで」
「王国にしてやられてばかりだ」
 これまでの様にというのだ。
「そうなるからな」
「それよりもですね」
「一つになりだ」
 四国全てがというのだ。
「民達が平和に畑を耕し商いをすればだ」
「それで、ですね」
「豊かになる、だからだ」
「それで、ですね」
「民のことを考えるとだ」
「四国は一つになるべきですね」
「そうなれば王国と互角に渡り合える」
 こうもだ、王はマリアに話した。
「大陸に領地がなくなった今でもな」
「あの百年に渡る戦争の結果です」
「我々は王国の中にあった領地を失った」
「その全てを」
「そしてその分王国は強くなった」
「あの戦いは我々は勝っていましたが」
「最後の最後で敗れた」
 百年以上優勢だった、しかしまさに最後の最後でだったのだ。
「その結果多くの領地を失った」
「そして分裂もして」
「王国に翻弄されることが多くなった」
「国は分かれるべきではありませんね」
「全くだ」
 王は悔恨と共にマリアに述べた。
「だからだ」
「王もですね」
「大公となる」
 王からだ、その位を下げてというのだ。
「そしてこの国の王はだ」
「エヴァンズ家のですね」
「王に推戴したい」
「では」
「その為にもそなたと共に行こう」 
 マリーの結婚式にというのだ、国家を挙げた行事となるそれに。
「四国の統一の為にも」
「有り難きお言葉」
 マリアは夫である王の言葉に深々と頭を下げて応えた。
「それでは」
「うむ、これからな」
「参りましょう」
「あの国に」
 こうしてだった、セーラもマリアも彼女の夫達と共にマリーの結婚式に向かうこととなった。このことはすぐにだった。
 マリーにも伝わった、マリーはその報を聞いて笑顔で言った。 
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