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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  不日常




「EARTH」本部医務室の奥
そこにある隔離された部屋。壁に大きなガラスがはめ込まれ、そこから中がうかがえる。


そのベッドの上で、蒔風があれから一週間たった今でも眠り続けていた。




「舜・・・」



それを見て、廊下からガラスに手を当てているのは星だ。
その廊下にある長椅子では、なのはがすうすうと寝息を立てて眠っていた。

おそらく、ずっと起きていたのだろう。その目の下には隈ができている。



その長椅子の先には、彼女から離れて理樹が座っている。



アリスから事の顛末は聞いたが、実際に彼の口からは何も聞いていないのだ。
それに、今の蒔風ではもしかしたら暴れ出すかもしれない。


翼人が常に一人はここにいる状態を維持している。




「なぜ・・・目覚めないのか・・・・」

「・・・・僕が経験してきたことは・・・素晴らしいことだったけど、その分大変なこと、酷いこともあった。それを乗り越えるだけでも必死だったのを、まとめて一発で、しかもそれを30以上も叩き込まれたんだ・・・・当然と言えば当然だ」



そう、そんな衝撃では心が潰れ、容易に死に至るだろう。


こうして生きているだけでもおかしいのだ。




(アリスさんの言っていた「心の蓋」・・・舜を人から外れさせたそれが、こうして舜が死なずに済んでいる要因だったのかもしれないと考えると・・・・・皮肉だよ・・・・)






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あの日から



蒔風が倒れ、アリスもあの部屋から消えた。





そしてなにも起きず、不気味なほど静かな日常が続いていた。



まるで二人が、この世界を荒らしていた要因だと言わんばかりに。









「アリスさんとの連絡は取れずじまい、か・・・・・」

「舜さんがあんなことになってしまって・・・・もしかしたら責任感じてるのかも・・・・」




指令室モニターの前で、一刀と観鈴がのんびりと飲み物を飲みながら話す。

なにもないとはいえ、一応何かが起こってはいないかこうして見ているのだが・・・やはり何もないものはない。



無論、事件自体は起こっているのだが、「EARTH」が取り扱うほどの大きなものはない。
その全ては警察や様々な組織で受け持っているようなもので、「EARTH」からも数名が派遣されている。






「静か・・・だね」

「ああ・・・寂しいな」






虚無感は消えない。



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「よ・・・っと!!」



「アぐっ!?こ、この野郎!!ってアダダダダダダ!!!」

「わかったわかった!!俺らが悪かった!!降参するからやめろって!!!」




どこかの次元世界で、理樹と真人と謙吾が、フェイト、ティアナと共に逃げていた犯罪者を捕まえていた。
いくつもの次元世界で悪事を働いていたらしいのだが・・・・・正直言ってこのメンバーで負ける気など皆無だった。




「ありがとね。おかげでこっちは楽できたわ」

「フッ、いいって事よ。またこの筋肉が必要になったら呼びな」

「いえ・・・筋肉はそんなに・・・・」



「く・・・この女顔野郎!!絶対今度ぶちのめしてやっからな!!」

「なにか・・・・言ったかい?」



「いっ!?・・・・・す、すみませんでした・・・・・」




「はぁ・・・・・」




「でも理樹のおかげであっちも油断してたから助かったよ。凄く似合ってたねあの・・・・」

「言わないで!!!」

「え?でも可愛かったよ?」


「あーあーあー!!きこえないーーーい!!!」



そんなこんなで暇なため、いろんな事件に手助けをしている「EARTH」メンバーだが、フェイト達のように「EARTH」登録とは別に所属している(と、いうか本来「EARTH」の方がついでみたいなものなんだが)者は、当然そちらの仕事もある。
それで理樹たちや一刀以下の武将たちはそちらをたまに手伝っているのだ。



「本当に・・・・大きな事は何も起こらないな・・・・」

「うう・・・そ、そうだね・・・・全部・・・舜が背負ったからなのかな・・・・?」





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そうした日常がまた、数日続いた。





そんなある日





「次元震?」

「いや、実際には次元空間でのものではないから・・・・時「空」震って言ったほうがいいのかもしれへん」





次元空間でもなく、世界そのものでもない、全くの別空間からの振動が計測されたそうだ。
とはいっても非常に微弱なもので、どこからなのかもわからないものだ。


たとえるのなら(たとえること自体難しいのだが)海の浸透を図っている振動計が、水族館のプールの波を観測したようなものだ。


ようはなんでこんなもの計測したのか、わからないのだ。






そんな計測データを見ながら、はやてと理樹が頭を捻っていた。





「だけど、どこかで何かが起こっているのは確かみたいだね」

「舜君なら何か分かっとるかもしれへんけど・・・・あんなんやからなぁ・・・」






結局、なにもわからずに時間が過ぎていき・・・・・・






















その時は突如としてやってきた













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ヴィーーー・・・・


「?」

「う・・・」

ドサッ・・・・・


「え!?」

「ア、アリスさん!!!」

「一体どうした!?その傷は!!?」



指令室で今日も理樹と一刀が暇をしていると(彼らは学生なので本職もなにもないのだ)、そこの扉が開いてアリスが倒れ込んできた。

白いドレスのような服には黒い煤が付いて焦げており、さらにその所々が裂けていて、口元もうっすらと赤く血が滲んでいた。



「う・・か、一刀さん・・・理樹・・・さん・・・・」

「どうしたんですか!!一体今まで何を・・・・」

「みなさんを巻き込みたくはなかった・・・・ですが・・・・もう私では・・・・四人も相手では・・・・この世界が・・・!!!」


「一体何と戦ってたんです!!!誰と・・・なにが!!!」



「あの方たちが勝っては・・・・・この世界は・・・」





ドォン!!ドォン、ドォン!!!!!!!!






『”no Name”よ。出てこい。我々は決めねばならない!!!』

『世界の住人に助けを求めるとは・・・』

『それでも管理者か!!!』





と、そのとき、「EARTH」ビルを爆破による衝撃が襲い、更には空間を響くような声が聞こえてきた。




その声に応じて、理樹と一刀が外に飛び出す。



ほかのビルにいたメンバーは、すでに外にいた。




その全員が空を見上げている。





そこに、強大なる敵がいた。






to be continued

 
 

 
後書き

短い・・・
タイトルの「不日常」とは、なにも起こることなく、そして何かが欠けている、という事です。


今回また起こった事件・・・


これはかなり短いです。



次回、今回の敵「世界」



ではまた次回!!!



 
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