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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  銀白VS電王&切札



遠くで行われている戦闘の音が聞こえる。
大地が振動し、轟音、後に爆音。

徐々にその発信源である戦地に近づいていく。
最後に金属を貫く音がしたときにはその瞬間を目撃までした。



《Complete》



メモリーを入れ替え、胸の装甲が肩の上にスライドし、フォームが変わる。



《start up》



そして、身体が動いていた。



《Exceed Charge》



直後、周囲の世界が緩やかになり、右足首のポインターにエネルギーが集まって、それを一瞬で敵の周囲にばらまいた。




そして――――――





「巧か・・・ッ!ゼァアア!!!」



そうしてそれを打ち出された蒔風が、即座にそれに対応した。



周囲を浮くポインターは計八つ。
そのうちの三つを蒔風が瞬時に左手を除く三肢で破壊する。

しかし、その直後に破壊された三つがあった場所に新たにポインターが現れ、ファイズの体がそれを通って蒔風に次々に突き刺さっていく。



破壊の甲斐なく、エネルギーと化したファイズが八回続けて蒔風の体を通過し地面に着地、それと同時に蒔風の体を赤い「Φ」の紋章がホログラム上に現れ、血を吐き錐もみに落ちて行った。


立て続けに叩き込まれた八つの衝撃。
それによって蒔風の体が全く一貫性のない回転をして落ちて行ったのだ。




「ご・・・うが・・・・・」



《ジョーカー!!マキシマムドライブ!!》




「ッッ!?」

「ライダーパンチ!!」

ガゴッ!!




と、そこにジョーカーのライダーパンチが放たれて、それを蒔風が必死になって転がり避ける。
転がったあとに血が点々と残るが、それでも蒔風はがんばって避けた。


それはもう頑張った。必死になった。

まあ必死にもなるだろう。
今の状況で重い一撃でももらえば終わってしまう。



終わりだけにはできない。

いったいどんなことがあったとしても、終わりにだけはできないのだ。




「左!!大丈夫か!?」

「ああ・・・だけど剣崎が・・・・」


さらにそこにアクセルも追いつき、デンライナーからは電王とディエンドが降りてきた。


(ついに総攻撃か・・・・この全員相手は無理だ・・・な・・・・だったら・・・・!!!)



加速開翼(ブーストオン)!!!」




(この速度についてこれるやつはいない・・・・・ファイズはやったばっかで、トライアルには時間がかかるからな!!)





「ッッ!?」

「来るぞッ!!」


「ふ・・・」



《ATTACK RIDE―――》



「させると思うか?このインビジ野郎」

「な!?」

「それとお前だ!!オオカミ君!!!」



直後、オートバジンをバトルモードに変形させようと寄って行ったファイズと、インビジブルのカードでこの一瞬をやり過ごそうとしたディエンドを蒔風がつかみ、同じ方向に投げ、蹴り飛ばした。
それにオートバジンも巻き込まれ、二人と一台が吹き飛んでいく。


「開け!!」


そうして吹き飛んで行った先に、蒔風がゲートを開いて二人を狭間ともいえる空間に閉じ込めた。
こうして、戦力は分断され、一気に低下させられる。



「さぁああ!!行くぞ野上!左ィ!!!!」


「くっそ!!」

「かかってこい!!」

『行くよ、モモタロス!!』

「おう!!」




そうして、今一度覚悟を決めたジョーカーと電王、アクセルが蒔風へと駆けていく。



それに対し、ハァーー・・・と息をもらし、腹筋に力を込めて、蒔風が脚の筋肉を一気に解放し、電王に突進して行った。



電王ソードフォームは勢いで、ジョーカーはその技や身体能力を尽くして戦うライダーだ。
とどのつまりは力技には向いていないという事。




だとすれば蒔風のやるべき戦法は一つだ。




「ブッちのめす!!!」




「この・・・やろう!!!」

「クマの野郎がいれば・・・」

『まさか・・・ここまで想定して!?』







そんなことはない



そんなことまで想定できるわけなどない。





しかし、こうなるように戦力を分散したのは蒔風である。

電王の振るう剣技のすべてを蒔風がスウェーなどの最小の動きで回避し、その腹部に重い一撃を叩き込む。
その一撃に電王が呻き声をあげてうずくまった。


彼の攻撃は強いが大振りなのだ。

良太郎に憑依しているモモタロスは決して「技」の強いイマジンではない。


しかし、戦闘での一瞬のすきをついて大きな一撃を叩き込むのが抜群にうまいのだ。
だからこそ今までの戦闘も勝ってきたし、その経験でその勘は研ぎ澄まされていっていた。


しかし彼は今までこのような男の相手はしてきたことがない。
免疫がないのだ。


しかし不利な相手にフォームを変えられるのが電王の強みだ。


故に不利となったら即座に変わった。




《rod form》



「さて・・・釣り上げてやりますか!!」

そうしてロッドフォームとチェンジした良太郎が蒔風へと斬りかかっていく。



騙しと卑怯を主流とする(ウラタロス)ならば、確かに対抗しうるだろう。


「オレたちを忘れんなよ!!」

「はァああ!!!」




そこに更にジョーカーとアクセルが乱入する。



しかし



「技はたいしたもんだが・・・力が足りんな、翔太郎!!!ッとぉおお!!」

「うお!?うおおおおおおおおおおお!!!!!??」




そのジョーカーの足を片膝をつきながらも掴み、蒔風が反対側から襲い掛かるアクセルを殴り飛ばし、ジョーカーを電王へと投げ放った。

電王はジョーカーを受け止めて地面に倒れるが、アクセルは転がった瞬間に足首のタイヤを回して即座に立ち上がり、蒔風に向かってエンジンブレードを振るって突っ込んできた。


「覚悟しろ、蒔風!!」

「テメェにゃ用は・・・・ねぇんだよこの加速野郎!!」



その突き出されたエンジンブレードの背を掴み取って止める蒔風。

片手で掴み、しかし血で滑るために両手でがっしりと握りしめる。
そして、そのエンジンブレードを折り曲げてエンジンメモリを取り出し、足払いでアクセルを倒す。



更に蒔風は、再び立ち上がろうとするアクセルの首根っこを踏みつけて逃げないようにしてアクセルのベルトからメモリを引き抜いてエンジンメモリを指し入れてスロットルを捻った。




《エンジン!マキシマムドライブ!!》




「なに!?」

「用はねぇんだ。レッツドライブ!!」


そうしてそのアクセルドライバをを取り外してアクセルに握らせる。
すると彼の身体がバイクフォームへと変形し、マキシマムドライブのエネルギーでアクセルは疾走して行ってしまった。


これでは何かにぶつかってエネルギーを発散するほかない。


しかしこの工場地帯ではぶつかって爆発でも起こしたら大惨事だ。故にアクセルは工場を避けてそのまま道路を走るしかなく、フェンスを破壊し、それでも曲がりきれずに工場へと突っ込んだ。

幸いにしてその工場は稼働を停止していたようなので暴発はしなかったが、本体この技を向けられる対象のドーパントはこういった壁よりも強い。こんなものにぶつかっただけではエネルギーなど発散できるはすもないのだ。



そしてそのままその工場を突き抜け、反対側に飛び出したアクセルは、そのまま海に突っ込んでいった。



海中に突っ込まされ、海面との衝突で変身が解除されるアクセル。



口から海水が入り込み、その塩辛さにむせながら照井が海から這い上がってきた。


たとえ同じ動作でも、無駄なエネルギー消費というものは身体に堪えるものだ。
たとえるならば「疲れてもいないのに寝たり休むと、余計に疲れる」といった感じか。


「ゲほっ・・・ハッッ・・・は・・・くそガァッ!!・・・急がねば・・・・!!!」



照井が脇腹を押えて進んで行った。
今はその手にアクセルメモリは無い。


しかし今のうちに言っておこう。


彼がもとの場所に戻った時、そこには誰もいなかったのだ・・・・


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アクセルが海に突っ込んでいった直後



「照井ィ!!」


「よそ見してていいのかよ。エェ!?」


《ワールド!!!》



「!? あれは・・・・まずいよ。良太郎!!」

『え?』




「ゲイボルグ」

ドスッ!!



蒔風が呪いの死棘「ゲイボルグ」をチョン、と適当に突いて電王の胸を突き刺す。



「う・・・ぐぅ・・・」

「ウラタロス!!」

「無事・・・だね・・・良太・・・郎・・・」




ドンッ!!!



が、それが電王自身に突き刺さる前に、ウラタロスがそのダメージをすべて受け継いで分離、カードへと姿を変えた。




「ウラ・・・ウラタロスーーーー!!!!」


プラットフォームへと弱体化した電王が、その名を叫んでうなだれる。
その状態を見て、ますいと思ったのはイマジン達だ。


野上良太郎個人はそんなに強くはない。


もちろん、数々の激戦を乗り越え、彼自身もかなりの強さを持っているし、一人での変身で敵を倒してきたこともあった。


だが、だからと言って蒔風に勝てるほど強くはない。
彼の強さはイマジン達が憑依して活動したことで蓄積された「身体の経験値」による者が大きい。


彼はまだ発展途上中なのだ。



「・・・・・ゲ~イ・・・」



「マジぃぞおい!!」


「良太郎!!」

「野上!!」


「ボ~ルグ・・・まだかよ・・・ゲイボルグ」



ドンッ!!・・・ドンッ!!!




そうして、蒔風が再びそれを放つ。
それに対して、二つの光。

リュウタロスとデネブがとっさに良太郎に憑依、くらった瞬間に離脱して彼を守ったのだ。



しかし、彼ら二人はカードになって蒔風の手へ。




「テェメエえええええええええええええええええええ!!!!!!」



《ジョーカー!!マキシマムドライブ!!!》



戦いもせず、ただ一方的に命を奪いにかかる蒔風に、翔太郎が激昂してライダーパンチを放った。



が、そのようなものではいくら体力の半分を失った蒔風でも当たることなどない。


それを大きく回避し、蒔風がジョーカーを無視して電王にゲイボルグを向け放つ。



ぎゅ・・・ォおおッ!!!


「ぬ・・・ハァッ!!」

ゴォッ!!

「な・・・回避しただと!?」

「世界は私を中心にまわっておるのだ。そんなもの、当たるわけがなかろう!!」




が、その槍は外れた。
今の電王はウイングフォームだ。

その元となるジークは自称するだけあってその幸運値は高い。

彼は驚くべきことに、その幸運のみを以って、ゲイボルグを回避したのだ・・・!!!





「く・・・・」

「まだ終わってねェぞ蒔風!!!」



ドゴォッ!!!

と、驚愕する蒔風に外れたためにまだそのエネルギーが拳に宿っていたジョーカーが、蒔風の腹部ど真ん中にそれを叩き込んだ。


蒔風が胃液を吐きだし、その身体からスパークを起こした。
見た目が全く変わってないが、今の彼はドーパントなのだ。そして更に言うならば、この状態で戦士の技がここまでまともにはいったことは今まで一度たりともない・・・・!!



「げ・・・ハッ!!!」



《Full Charge》



「覚悟せよ!!!フンッ!!」



そうして、そこに更にウイングフォームのフルチャージ「ロイヤルスマッシュ」を投げ放ち、それが蒔風の左の二の腕と右腿を切り裂いて行った。


まともに食らわなかったのは流石という他ないが、それでも機動は大きく奪われた。



蒔風が肩を抱えて膝をつく。



「う・・・がぁ・・・・」



《ジョーカー!!マキシマムドライブ!!!》



「ライダァ!!!」



「クッ・・・ォォオおオオオオ!!!!」



「キィック!!!!!」




ドッ・・・ガァァっァアアアアアアア!!!!




ドォン!!!




「ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ!!!」



蒔風にマキシマムドライブを叩き込み、ジョーカーが地面に着地した。
その蒔風は爆発に巻き込まれ、それを背にしてジョーカーは膝をついた。


煙の中からはバキン・・・という音と共にガイアメモリの残骸が弾け飛んできた。


そこに書かれている文字は「W」
形はノック式USB。

それは間違いなく、ワールドメモリの残骸だった。




「これで・・・やっと・・・終わったぞ、フィリップ!!」




ジョーカーが声をあげて拳を握る。
それは勝利をかみしめた者の動作だった。







しかし、彼は甘かった。




甘さは彼の長所だが、ここではマイナスにしか働かない。











頭を掴まれた。











「ッな・・・!?」

「メモリブレイクされたからと言って・・・その被体者が倒れると思うのは―――おー間違いだ」





ゴシャぁッ!!!




蒔風が煙の中からジョーカーの頭を掴み、顔面を地面に叩きつけた。
そして腰から無理矢理にベルトを引き剥がし、生身に戻してから更に押し付けて首をへし折る。



『翔太郎!!』


《Full Charge》


それを見て、電王がもう一度フルチャージして、蒔風へと攻撃した。



ウイングフォームはデンガッシャーをハンドアックスとブーメランモードに変形させるフォームだ。

そしてフルチャージの際にそれを投げ放つのだが、今投げたのはブーメランの方のみ。



それを蒔風が回避し、電王へと向かって行った瞬間に電王も走り、ハンドアックスで切り裂かんと真っ直ぐに突きだした。


と、その一瞬前にブーメランが戻ってきて蒔風を後ろから斬り裂こうとする。



ウイングフォームのフルチャージは、この二段構えの攻撃なのだ。



しかし、蒔風がブーメランの方を見ることもなく、背後の戻ってきたそれを掴み取って電王の腹部に突き刺した。



「ガッ・・・なに・・・・・見切・・・って・・・・?」

「わかってんだよ。お前の必殺技くらいはな」



そしてさらにハンドアックスを奪い取り、駒のように身体を回転しながら背後にまわってその首を落とした。
一瞬で電王の身体が輝き、二枚のカードへと変わる。



しかし、蒔風はそれで止まることなどしなかった。


右足を引きずりながら、左腕の切り傷を口を左手で器用に包帯で縛って、デンライナーへと歩みを進めた。





------------------------------------------------------------










ドンッ!!!





デンライナーの中に残っていたのはオーナー、ナオミ、ハナ、そしてモモタロスだ。



蒔風が入って行った瞬間、モモタロスは自身の武器モモタロスォードで斬りかかるも彼が叶うはずもなく、「天」と「地」の二刀に首を挟まれ切り裂かれて消え去った。




その様子を見て、ハナが蒔風へと攻撃を仕掛けようとするものの、オーナーがそれをさえぎって蒔風の前に立つ。


咄嗟に蒔風がオーナーへと剣を向けるが、オーナーは全く意に介さない。
ステッキでその剣を下ろさせ、蒔風の目の前にまで接近した。


その距離は近い。
鼻と鼻が当たるのではないかという距離までに近い。



「この車内での戦闘は控えていただきたいのですが・・・!!」

「あなたらが手を出さなきゃこっちももう出ていく。気にしないでくれ」


「・・・・・・・」



蒔風の言葉に、オーナーは無言だ。


その無言を肯定と受け取ったのか、蒔風が下ろされた剣を鞘に収めて踵を返した。



「オーナー!!行かせていいんですか!?」

「・・・蒔風舜君」


デンライナーから去ろうとする蒔風に、オーナーが声をかけた。
その足が止まる。



「この事態は・・・・「時の重複」と類似したものであると考えてもよろしいのですかねぇ?」


「・・・・!!!」


ジャカッ!!



オーナーのその一言に、蒔風が血相を変えて刀の切っ先を向けた。
しかし、オーナーはなおも涼しい顔だ。


「私は誰にも言いませんので安心してくださぃ。それに私ならば・・・幾分かは安全でしょうしねぇ」


「・・・そうか・・・あなたは特定の時に所属しない人物でしたね・・・・だからか・・・・」

「えぇえ・・・」

「・・・誰にも・・・言わないでください」

「言うつもりはありません。安心してくださぃ」



その言葉に、蒔風が今度こそ本当に剣をしまい、さらには頭を深々と下げてデンライナーから出て行った。





「オーナー・・・今の言葉って・・・・」

「今お話しするわけにはいきません。今の会話があったこともぉ・・・誰にも言ってはいけません。だぁれにも・・・・・」

「??」



ハナがオーナーに質問するが、オーナーはそう言ってそれ以上取り合ってくれない。



そこで、ナオミがの寂しそうに聞いた。
なんでこんなことになったのか、と。


それに対し、それだけには、オーナーが言葉を選んで回答した。



「この世界には・・・主人公が集まり過ぎたんですよ・・・・・」






------------------------------------------------------------



蒔風がディエンドとファイズを閉じ込めた空間へと足を運びいれると、そこには大穴が空いており、誰も残ってはいなかった。

しかし逃げられたものの、蒔風は安堵の息を漏らした。



今の彼では、さらなる連戦は不可能だった





to be continued
 
 

 
後書き


翔太郎
「メモリはぶっ壊してやったぜおい!!!」


今回のMVPは何よりも翔太郎ですね。
ついにあのワールドメモリを破壊しましたから。

良太郎
「あんな必殺の技をポンポン出すとか・・・卑怯だよ・・・」

リュウタ
「そのせいでボクら全然戦えなかったしね」

デネブ
「侑斗をよろしく!」

ジーク
「しかしあれを完全に回避するとは、やはり世界は私を中心にまわっていたな」


ウラタロス
「僕もそれなりに卑怯だとは思ってたけど・・あれは外道だよ。なんであっちが主人公になったんだろうね?」

モモタロス
「オレに聞くな!!」



さて・・・リストも減ってきて、言えることはただ一つ。



次回から最終戦に入ります。




翔太郎
「次回、襲撃されるのは烈火と鉄槌から」



ではまた次回



リスト残り


長門有希
クラウド・ストライフ
海東大樹
乾巧
フェイト・T・ハラオウン
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ



コンディション

左腕使用不可。
頭部から流血。
左肩、右腿に切り傷。

全身に鈍いダメージあり
メモリブレイクの衝撃はあるものの、常人でも耐える者がいる程度なのでそこまで重要視しませんでした。



体力値:28%


現在回復中

 
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