夢幻水滸伝
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第一話 夢の世界その十
「世界地図もあるけど形は地球と同じで広さは地球よりずっと広いみたいやな」
「そうなんか」
「僕等の地球の十倍はあるんちゃうか、あと浮遊島もよおさんある」
「浮遊島?」
「空に浮かんでる島や、中にはちょっとした大陸位ある島もある」
この世界には、というのだ。
「そこにも人がおったりするんや」
「科学と魔術が一緒にあって神具があって色々な種族もおって」
「色々な国もあるんや」
「ほんま何でもありの世界やな」
「夢の世界言うてもな。そんでな」
「そんで?何や?」
「今僕等何処に進んでるかわかるか?」
不意にだ、芥川は中里にこんなことも言ってきた。
「そんで」
「そら僕に案内したい場所にやろ」
「そや、実は僕等は今は社におるんや」
「社?」
「ちょっと神事しててな」
「社っていうと神社やな」
「大社って言ってもええな、うちの国家元首さんも一緒や」
芥川は微笑んでだ、中里にこんなことも話した。
「その社におるわ」
「国家元首さんも僕等の世界から来た人やな」
「そや、今から会うで」
「誰や、それえ」
「自分もよお知ってる人や」
笑ってだ、芥川は中里に笑って話した。
「会うの楽しみにしときや」
「誰や、一体」
「まあそれは会ってからのお楽しみや」
こうしたことを話してだ、そしてだった。
芥川は中里にその場所に案内された、そこは森の中にある木製の社が幾つもある神社だった。大社や神宮と言ってもいい広さだ。
巫女服を着た少女や神主の服を着た男達が多くいる、中里はその彼等も見て言った。
「ほんま神社やな」
「そやで、ここで豊作を祈願するお祈りをしてるんや」
「国家元首さんがかいな」
「そうやねん、今な」
「そう言うと皇室みたいやな」
豊作祈願の神事と聞いてだ、中里はこう思った。
「それやったら」
「まあそやな」
「実際にやな」
「ああ、まあこっちの世界は日本の皇室はおられんからな」
「皇室の方々もやな」
「そや、神様で歴代の方々がおられるにしても」
「人としてはおられんか」
中里はこう解釈した、この世界での皇室は人ではなく神だとだ。
「天照大神の子孫やさかい」
「そうやで、天照大神は祀られてるからな」
「この神社それか」
「その通りや、ここには豊穣の神様も祀られててな」
芥川はその神の話もした。
「あの口から何でも出して素戔嗚尊に殺された」
「死んで身体のあちこちから穀物出した女神さんか」
「あの神様への神事をしてるねん」
「成程なあ」
「大気都比売神な」
「あの女神様への神事を国家元首がしてるんやな」
「僕等が知ってる娘がな」
芥川は含み笑いで中里に話した、社の中をさらに進みながら。多くの木製の社、大小のそれが数えきれない位ある。それで一つの町の様にさえなっている。
「やってるで」
「誰やろな」
「もうすぐ大気都比売神の社の前に着くからな」
「会えるか」
「楽しみにしときや、あと僕等裏手から入ったけど表には神前町もあるさかい」
「そこでお店も一杯あるか」
「何でもあるさかいそこで飲み食いするのもええで」
こうした話もだ、芥川は中里に話した。
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