Blue Rose
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十七話 成長その一
第四十七話 成長
衝夫と鍛冶元についてだ、優子は副所長から連絡を受けて納得した顔で頷いた。そのうえで電話の向こうの彼女に言った。
「急死ですね」
「ええ、留置所の中でね」
「まさに急にですね」
「そうなったわ、ただね」
「病気で、ですよね」
「二人共心筋梗塞か何かで死んだそうよ」
副所長は優子に二人の死因についても話した。
「二人共、ね」
「その時点でおかしいですね」
「絶対に何かあったわね」
「お仲間に消されたんでしょうか」
「何か面会で来た人がいたらしいけれど」
「その人の差し入れか何かで」
優子は直感でだ、こう言った。
「毒でも盛られたんでしょうか」
「それはあるわね」
「そうですよね、やっぱり」
「死んでも解剖はされなかったらしいのよ」
「二人共、ですか」
「心筋梗塞位でしかも犯罪でもないと」
それこそというのだ。
「死因は細かく調べられないものよ」
「留置所の中でもですね」
「そうよ、警察にも知り合いの医師の人がいるけれど」
「その人から聞いたことですか」
「ええ、今お話しているのはその人から聞いたことよ」
実際にというのだ。
「死因もあまり調べられなくて」
「火葬ですか」
「そうなったわ」
「そうしたことって多いみたいですね」
「ええ、死んでも解剖されて調べられないことはね」
「犯罪関係でもですか」
「実はそうなのよ」
日本で遺体が解剖されることは実は少ない、そこから事件の真相がわかることが多いのだがそれでもなのだ。
「これがね」
「それであの先生達もですか」
「死んだけれどね」
「心筋梗塞ということで」
「死んで、ですか」
「終わったわ」
「口封じですね」
優子は自分が感じ取ったことを述べた。
「そのお見舞いに来た人が」
「多分先生達も気付かないうちにね」
「口封じの人が送られていて」
「それでよ」
「消されたんですね」
「多分そうね、けれどね」
「これであの先生達はですね」
「この世にいないわ」
このことは確かだというのだ。
「このことは確かよ」
「もう優花の前に出ることもですね」
「ないわ、絶対に」
「そうですよね」
「そのことはよかったわね」
「実は不安に思っていました」
優子はこの本音も口にした。
「あの人達がまた優花の前に出て来るかもって」
「私もそう思っていたわ」
「そうですか、やっぱり」
「けれどあの人達は死んだから」
「もう絶対にですね」
「あの娘の前に出て来ることはないわ」
それこそというのだ。
「この世にはいないから」
「この世にいないのならですね」
「そうよ、会うことはないわ」
それこそ絶対にというのだ。
「だから安心してね」
「はい、わかりました」
「それでだけれど」
衝夫達のことからだ、副所長は話題を変えた。その話題はというと。
ページ上へ戻る