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歌集「春雪花」

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 春を感ず

  陽射しの中の

   影法師

 見なば寂しき

    冬ぞありける



 暖かな太陽の光に雪も溶け、もう春になるのだと実感する。

 彼がここから立ち去った春…季節は相も変わらず巡って来るものだ…。

 足元を見れば日溜まりに影が落ち…それは寂しさを吹き上がらせる…。


 まるで冬が…影の中に居座るかのように…。



 君ぞ恋し

  想いしけふも

   疲れ果て

 わが身を厭う

    朝なりけり



 彼を恋しく…愛おしく想い続けても叶うはずもなく…。

 毎日を繰返し繰返し…ただ疲れ果てて眠るだけ…。

 願うことさえ憚られる…私はどうしたら良かったのかと、自分を卑しく思い…この世界から消え去れば良いとさえ考えてしまう…。


 そんな私にさえ、明日は無慈悲にやってくる…。

 そしてまた…繰返すのだ…。



 
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