| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

90部分:動きはじめた時その一


動きはじめた時その一

                     動きはじめた時
−アルスター城ー
「エルサンダー!」
 ティニーが左手から大きな雷球を放つ。雷球は剣士の腹を直撃し剣士は吹き飛ばされた。
 「勝負あり!」
 勝利を告げる声が高らかに響く。続いて赤い法衣を纏った魔道師が出て来た。
「はじめ!」
 銅製の大きな鐘が鳴った。
「エルファイアー!」
 魔道師が両手を開いて重ね合わせ火球を撃った。生物の如く唸りながらティニーに襲い掛かる。
「エルファイアー!」
 ティニーが右手から炎を放った。二つの炎が撃ち合い一瞬動きを止めた。
 ティニーは身体を左に捻り両手の平の中で淡い緑の雷球を作った。そしてそれを炎へ向けて放った。
「トローン!」
 雷の光帯が炎を撃ち消し魔道師に炸裂した。魔道師は一撃で倒れた。
 「勝負あり!」
 再び声が木霊する。
「強っよいわねえ、ティニー」
「本当、これで二日連続二十人抜きよ。流石アーサーの妹さんね。見かけによらずやるわね」
 闘技場の観客席でティナとジャンヌが話している。
「この調子でいったらすぐに上級職のマージファイターになれるわね」
「マージファイターか。そうすればうちの戦力がまたアップするわね」
「ええ。あたし達も杖使いまくっているしこのままだとすぐハイプリーストね」
「ハイプリースト・・・。ティナがねえ」
 ジャンヌがプッと笑った。
「何よお、文句あんのぉ」
 それに対しふくれる。
「別にィ。あたしみたいなお転婆ももうすぐパラディンだし」
「確かに。ジャンヌがパラディンなんてね」
 ティナがクススッ、と笑う。
「悪いの?」
 今度はジャンヌがふくれる。
「いいえ」
 ジャンヌの突込みをかわす。その時二人のところへロベルトが来た。
「おい二人共隣の会場見てみろ」
「あらロベルトさん、上級職に到達おめでとう」
「あ、有り難う・・・ってそれより見てみろよ」
 ティナの言葉を大盾で弾き返した。
「とにかく見てよ」
「ん!?」
 隣の闘技場では二人の闘士が対峙していた。どうやら二人共弓使いらしい。
 一方の青髪の弓使いが弓を放つ。もう一方の黒い髪の弓使いは身体を捻りそれをかわした。
 黒髪の弓使いが矢をつがえた。見れば男手ある。背は高くバランスの取れた身体つきをしている。黒い瞳は切れ長であり黒のシャツと水色のズボンを着ている。 
 矢を放とうとしたその時だった。男が跳んだ。青髪の弓使いが空へ矢を放とうとする。男はそれより一瞬だけ速く矢を放っていた。男の矢が青髪の男の胸を撃った。そして着地の直前もう一本放っていた。青髪の背を撃つ。
「勝負あり!」
 観客席でどよめきが起こる。見事な勝利であった。
「凄お〜〜い」
「セルフィナさん並ね」
 ジャンヌもティナも思わず賞賛の声をあげた。
「であの人何人抜き?」
「これで三十人抜きぐらいかなあ」
「三十人抜きつったら・・・・・・」
「ダルシンさんやミランダと同じじゃなにの!?」
 二人もこれには驚いた。 
「うん、あれだけの腕の持ち主なんて滅多にいないよ。誰なんだろ」
 男は闘技場を後にした。暫く三人は茶店で菓子と茶を手に闘技場から戻って来たティニー達とその男について話していたが不意に後ろから声がした。
「ねえねえ皆」
「ん?」
 声の主はディジーだった。何か口元が笑っている。
「あらっ、どうしたの?」
「紹介したい人がいるんだけど」
「誰?」
「この人。出て来て」
 のそっとした感じで出て来た。それはさっきの黒髪の男だった。
「あ〜〜〜っ、あんた・・・・・・!?」
 ジャンヌ達が男の顔を見て一斉に叫んだ。
「あんたって・・・・・・俺!?」
 男はキョトンとして自分を指差す。
「そそそう!」
 男は首を傾げてディジーに聞いた。
「ディジー、この人達何か俺の事知っているみたいだけれど」
「何か悪い事でもしたんじゃないの?」
 ディジーは男を見上げてクスッと笑った。
「まさか」
「どうかしら。まあいいわ、紹介するわね」
 ディジーは改まって男に手を向けた。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧