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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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66部分:会談その三


会談その三

「ワープ、か」
「この娘はシャーマンでしてね。特殊な杖を使わせたら我が軍で右に出る者はおりませぬ。我等全員この場から去る事なぞ造作も無いこと」
「フン、万事において抜かりは無し、か。どうやらわしの負けの様だな」
 王は顔をしかめた。
「それではこちらの要望をお伝えしましょう。ターラから撤退し、以後ターラ山脈と峡谷を境とする事。よろしいですね?」
 オイフェの言葉を呑むしかなかった。
 解放軍側の要望を全面的に受け入れたトラキア軍は撤退をはじめた。次々と南のトラキアへ向けて飛び去っていく竜騎士達を眺めながらセリスはオイフェに問うた。
「果たしてあのまま帰ってくれるかな」
「まさか。あのトラバント王ですよ。隙あらば再びターラに介入しようと企むに決まっています」
「じゃあどうしよう。我々はこれからレンスター救援に向かわなければならない。ターラに振り向けられる兵力は・・・・・・」
「はい。しかもレンスター救援だけはありません。ターラ北東にはダンドラム要塞があります。守将はレイドリック。かってトラキアのレンスター侵攻の折コノート王国の家臣でありながらトラキアと内通しコノート王を暗殺しレンスター王を謀殺した男です。しかも今はかって自らとともにコノートを裏切った物共を配下としランツクネヒトを編成しフリージの手先となり悪逆の限りを尽くしているのです」
「ランツクネヒト・・・・・・。確か神兵軍の事だね」
「誰もそうは呼んでおりませぬ。そう言っているのは連中だけです。あの者達の行く所殺戮と掠奪、暴挙の嵐が起こり後には草木さえ残りません。ですからイシュトー王子に要塞に入れられたのですがそこでも周辺住民や旅人に悪行を働いております。奴等を成敗し民を安んじアルスターへの路を確保しなければなりません。レヴィン様に二万の兵を率いて向かって頂きます。他にイリオス、とダンディライオンの面々、そしてシャナム等を向かわせます」
「しかしランツクネヒトも二万だろう?難攻不落のダンドラム要塞にその程度の兵力じゃ・・・・・・」
「解かっております。レヴィン様に策をお渡ししております」
「そう・・・・・・」
 セリスは不安を覚えた。だがここはオイフェを信じるしかない。
「主力はアルスター方面へ向かいアルスターから進撃して来る敵の主力部隊を迎撃します。この指揮はシャナン様に執って頂きます」
「えっ、じゃあ僕は!?」
「セリス様は私と共に精鋭の騎兵隊五千を率いレンスターへ急行します。メルゲンからレンスターには最北の路を通ります。この路は大軍の通行には不適ですが騎兵の運用には適しておりレンスターへも最短距離です。またフリージ軍もアルスターへ向けて進撃する我が軍の主力に気を取られこの路は手薄になります。ここにすべきです」
 セリスはオイフェが広げた地図を見た。そして言った。
「よし、そうしよう。ところでターラの方だけれど・・・・・・」
 オイフェは不安げな主君を安んずるかの様ににこりと微笑んだ。
「その事も御心配には及びません。今我が軍が解放した地域から続々と志願者が集まっております。その総数は二万に達しようとしております。この兵達をターラの守りに就かせます。ですが集結にまで時間がかかりますのでとりあえずはターラからの志願兵四千をターラ峡谷に配しましょう」
「成程、あそこならトラキアの進軍も防げるね」
「はい、そしてあの峡谷に関を築きましょう。そうすればトラキア軍はターラに侵入出来なくなります」
「流石だね、オイフェ。これでターラ方面は大丈夫だ」
「今日はターラへ戻りましょう。そして明日の朝かにはターラを発ちアルスターへ向かいましょう」
 解放軍は日暮れ前にはターラ城へ着いた。そしてターラまでのきょうこうぐんとトラキア軍との駆け引きの疲れを癒すべく眠りに入った。
 セリス達も軍議を終えそれぞれの部屋へ帰ろうとした時だった。軍議が開かれていた大広間にリノアンとオルエン、フレッドの三人が入ってきた。
「どうしました?三人共お揃いで」 
「・・・・・・・・・」
 三人は無言のままセリスに近付きその足下で片膝を着いた。
「えっ・・・・・・」
 戸惑うセリスに対しリノアンが静かに語りだした。
 
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