~異世界BETA大戦~ Muv-Luv Alternative Cross Over Aubird Force
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資源惑星ラガール②
前書き
毎度更新遅くなり、すみません。
次回は少し早くなると思います!
ジュールたちは窓外に舞い飛ぶスクワイエルを横目に見ながら脱出の準備を粛々と行っていた。
大気圏外から飛来したオルキス軍のスクワイエルは崖をよじ登るBETAを次々と肉塊に変えていった為、もはやジュール達は応戦の必要がなくなったのだ。
「クロノタイトはどうしますか?」ジュールたちと同じように脱出準備を行っていた技術者のリーダー格の男がジュールに尋ねた。
「そうですね・・・・・・・・。」ジュールは腕組みをして考えた。
オルキス側は当然クロノタイトを知っているし、重要な資源であるからにはその流出について神経をとがらせており、その探知方法もあるはずだ。
何らかの隠蔽処置をしたところですぐにバレるであろう事は一目瞭然である。
ミニシャトルで打ち上げて後日あらためて回収する、など色々考えてみたが、モノがモノだけに発見されたら国際問題にまで発展する事が容易に想像できた為、ここは安全マージンをとってこれまでの分析データのみを持ち帰る事にした。
「ただその辺において行くわけにもいきませんから、下層階から地上へ抜ける非常通路へでも廃棄しましよう。暴発の危険はないのでしょう?」ジュールは自分たちを収容しに屋上へ降り立つVTAのスキャナー(探知機)に反応しないであろう距離の場所へクロノタイトの入った容器を投棄する事にした。
非常通路は螺旋階段になっており、真ん中から最下層(地上)へ一直線に投棄出来るはずだ。
「ええ、起爆剤がなければ特に問題ないはずです。」技術者のリーダーが応える。
そして、部下の技術者へ非常通路の上から廃棄して来るように言った。
部下の技術者は頷くと、クロノタイトが格納されている金属製のバトンくらいの大きさの円筒を持って、兵士たちが脱出準備で走り回る中、部屋の一番奥にある最初にここへ来るときに使った非常通路の扉を開けてその中へ入った。
するとその次の瞬間・・・・・中途半端に少しだけ開いていた扉の向こうから短い叫び声とともに夥しい血が飛び散ってきた。
全員の注目を浴びながら、赤い大きな手が扉の隙間から差し込まれてきて、扉を開けた―――――。
それは腹に大きな口のある戦車級BETAだった。
ゆっくりと部屋を見回すそいつの口の周りにはべっとりと血が滴っており、たった今、クロノタイトを廃棄に行った技術者が捕食されたのは一目瞭然であった。
「全員、退避―――――!!」あまりにも急であり、ジュール中尉はそう命令するので精いっぱい、自分も逃げるのがやっとだった。
だが、彼も軍人であり、1体、2体と侵入してきて3体目が顔を出したときはもう覚悟を決めていた。
ジュールは撤退の為、部下が床に投げ捨てた残エネルギーわずかなレーザー機関銃を拾って構える。
1体を打倒して、2体目を倒そうと引き金を絞ったとき――――カチンと乾いた音がした。
「むぅ・・・・・・。」エネルギーが切れた・・・・・・・・・。
その時!非常通路の天井が外から突き抜かれて、まばゆい光の奔流が地上へ向かって一直線に伸びて、あたりはもうもうたる白煙に包まれた。
それは一瞬の事であったが、光と白煙が収まると非常通路のあったあたりが赤く焼けていて、BETAの姿はもうどこにも見えなかった。
そして轟音とともに穴の開いた天井からスクワイエルの姿が見えた。
『ジュール中尉はいるか?』拡声器を通じて問いかけがあった。
「私がジュールです!」
『私はオルキス軍中佐のカミナガだ。今から、そちらの屋上にVTAが着地するので、負傷者から順に搭乗して欲しい。』
「はっ!了解しました!」ふぅ、やっとお出ましか。
一時は間に合わないかと思ったが、まさに絶体絶命だったな・・・・・。
それにしてもクロノタイトは間一髪だったな。
あの技術者は可哀想だったが、これで何とか任務は達成できそうだ・・・せめて冥福だけでも祈ろう・・・。
崖の下をのぞくとオルキス軍のスクワイエルの一個中隊くらいが執拗にBETAを攻撃し、まるでそこにいるすべてをせん滅しようとしているかに見えた。
大気圏内へ降下した第14機動師団は全連隊がラガールシティから北極方面へ800kmほど離れているラガールにおけるオリジナルハイヴへ向かっていた。
ダイスケの率いる情報部部隊が先行してラファリエス軍の立て籠もっているラガールシティ郊外の鉱山地区へ到着し、周囲のBETAを駆逐している様子は、ときおり入ってくるかれらの通信で何となく把握出来ていた。
『高山少尉!敵の足止めが出来れば良いのだぞ?殲滅の必要はないんだぞ!』
『中佐、BETAは生かしておいてはいけないのです!このぉー!死ねBETAぁぁ!!』
『そうだ!消えてなくなれ――――!!』
『貴官も落ち着け!築山少尉!!』
・・・地球からの傭兵組がBETA憎しで大暴れしている様子もダダ漏れであったが・・・・。
「うん・・・・ファリス大尉、わが連隊は通信チャンネルを変えようか・・・・。」アントワープは苦笑しながらそう言った。
「は・・・はい・・・・・ロアーヌ連隊、これより通信バンドは7-7-4だ。」言われたファリスも苦笑しながらすぐに手を動かし命令に従う。
144機4つの集団は次第にオリジナルハイヴ至近距離へと入って行った。
そして第14機動師団は当初の作戦通り全力でオリジナルハイヴを落とし、その後近い順に2番目、3番目、を落とし、最後にラガールシティから一番近いハイヴを落としたが、オリジナルハイヴは30分ほど、他のハイヴは軒並み20分程度とかなり迅速な攻略だった。
だが、今回のBETAハイヴの攻略はこれまでとは少し違う事も起きていた。
第14師団がオリジナルハイヴを攻略する直前にハイヴから宇宙へ向けて極低短波の通信と思われる超光速波が発信された。
通信の内容は解析中だが、なんらかの言語情報が含まれていると見られている。
そして、もうひとつ、このオリジナルハイヴの中に隠し部屋のようなものがあり、そこにはクロノタイトを圧縮したと思われるエネルギー貯蔵庫とクロノタイトと組成が似ている未知の物質エネルギー貯蔵庫が発見された。
ダイスケとタケルは、この未知の物質エネルギーには心当たりがあった・・・・“G元素”。
なるほど、G元素は重力物質だったと記憶しているが、クロノタイトも同様の性質を持つエネルギー元素。
BETAはクロノタイトの組成に気づいて、G元素と合わせて収集をしていたようだ。
ダイスケは次のオリジナルハイヴ攻略戦があれば、随伴を申請して、原作でも語られていなかった、“なぜBETAはG元素を収集しようとするのか”を “あ号標的”に尋問したいと思った。
後書き
だんだんとBETAの真相に迫りたいとおもいます。
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