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歌集「春雪花」

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 空の色は

  移ろい流る

    定めなく

 移ろい難し

     想ふ心は



 刻一刻と変わりゆく空の色…。

 蒼く輝くと思えば、淡く静かに沈み…夕ともなれば紅に染まり、藍の黄昏に落ちてゆく…。

 雨を降らせ雪を舞わせ…時の流れと共に、同じであることは決してない。

 なのに…私の彼を想う気持ちは移ろわず…ずっと変わらない…。


 空のように移ろえたなら…きっと楽だろう…。



 雨音は

  春そ連れにし

   音なれど

 想いぞ歪む

    夕べなりけり



 物静かな雪よりも、雨の降る回数が増してきた。

 春が近い…そう思わせる音であるのに、私は寂しいことしか思い出せない…。

 春が来るたび…彼が遠くなったことだけが思い出され、胸をざわめかせ…感情は心を掻き毟る…。

 誰といるのか…?

 何をしているのか…?

 誰を愛してるのか…?

 彼にとって…私は関係ないのだ…。


 黄昏の手前…私は自分の死を願う…。

 彼の居ない未来を独り歩くならば…生も死も変わりあるまい…。



 
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