アメリカン忍者
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第一章
アメリカン忍者
スティーブ=パーカーは最近日本文化に凝っている、それでハイスクールでも友人達によく日本の話をしている。一八〇のすらりとした背丈の短い金髪がよく似合う少年だ、青い目に高い鼻と引き締まった唇が印象的だ。
「あの独特の感じがいいよな」
「御前最近本当に日本好きだな」
そのスティーブに友人のチャーリー=デビットソンが応える。黒髪に緑のスティーブよりも背が十センチは高い筋肉質の少年だ。二人は今授業と授業の休み時間にクラスの後ろで話をしている。二人共私服である。
「俺も嫌いじゃないけれどな」
「御前は何といってもだよな」
「ああ、フットボールだ」
チャーリーは笑って答えた。
「何といってもな」
「それだよな」
「やっぱりいいぜ、フットボール」
「エキサイトするか」
「派手に身体を動かしてぶつかり合ってな」
「格闘技みたいだな」
「いや、フットボールは格闘技だ」
それそのものだというのだ。
「まさにな」
「よく言われている通りにか」
「ああ、格闘技だ」
まさにそれそのものだというのだ。
「だからこそエキサイトするんだ」
「そうなんだな」
「そして御前は日本にだな」
「今エキサイトしてるぜ」
スティーブは笑ってチャーリーに答えた。
「幸いこのロスは日本からの観光客も多いし日系人の人も多い」
「日本を知るには最適だな」
「そうした街だし余計にな」
「日本が好きになったか」
「特に最近は忍者だな」
これだというのだ。
「あれが一番いいな」
「ショー=コスギかい?」
「あの人もいいな、けれどな」
「けれど?」
「俺自身も忍者になってみたくなったんだよ」
笑ってこう言うのだった。
「最近な」
「へえ、忍者にか」
「なりたくなったんだよ」
「じゃあ忍者道場に行くか?」
チャーリーはスティーブに笑って言った。
「そうするか?」
「ああ、道場に行ってか」
「実際にそうしてみたらどうだ」
「そうだな、今剣道もやってるがな」
「忍者もな」
「ちょっとやってみるな」
真剣な顔になってだ、スティーブはチャーリーに答えた。
「両方やってみるな」
「剣道はハイスクールに入ってすぐにはじめたな」
「中々いいものだぜ、袴を穿いて竹刀を振ってな」
「そっちも楽しんでるな」
「それで忍術もな」
「やってみるんだな」
「見てろよ、最強の忍者になってやる」
今度は笑ってだ、スティーブはチャーリーに言った。
「ショー=コスギみたいにな」
「そうしろよ、ただな」
「ただ?」
「最近変な忍者道場もあるからな」
「ああ、剣道や空手と一緒でか」
「起源は実は日本じゃないとかな」
「そういう変な道場もあるな」
彼等が住んでいるロサンゼルスにもというのだ。
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