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力なんていらない

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第七章

「いや、本当に」
「事故に巻き込まれていたかもっていうのね」
「そうなっていたかも」
 実際にというのだ。
「これはね」
「そうだったのね」
「危なかったわ、ただね」
「ただ?」
「この道今日も通ろうって思ってたら」
「勘で、なのね」
「危ないって思ってね」
 それでというのだ。
「皆に別の道通ろうって言って別の道に行ったら」
「避けられたのね」
「そうなったわ、これってやっぱり」
「忍者のサラブレッドだからよ」
「その勘なの」
「そう、勘でね」
 まさにというのだ。
「貴女は難を逃れたのよ」
「そうなるのね」
「お友達もそうなったでしょ」
「私の言うこと聞いてくれてね」
「だったら悪いことはないでしょ」
 にこりと笑ってだ、母は娘に言った。
「そうでしょ」
「そう言われたら」
「力があるのならね」
「その力をなの」
「別に邪険にする必要ないでしょ」
 こう娘に言うのだった。
「特に悪いものでもないと」
「勘とか身体能力は」
「聞くけれど悪い能力かしら」
「ウェブ小説や日常生活には関係なくても」
「別にそうでもないでしょ」
 娘に問うた、彼女の目を見つつ。
「いざって時に役に立つでしょ」
「それはね」
 今日のことがあってだ、マーガレットも答えた。
「否定出来なくなったわ」
「そうでしょ、それにね」
「それに?」
「すぐに寝られて起きられる体質もでしょ」
「言われてみれば」
「こんな便利な体質もないでしょ」
 また言った母だった。
「そうでしょ、身体能力だってね」
「正直に言うとね」
 それこそとだ、また答えたマーガレットだった。
「ソフトでもレギュラーになれたし体育の得点も高いし」
「そういうことまで考えたらよ」
「いいわね」
「いらないってこともないでしょ」
「それはね」
「何度も言うけれど自分の為にあってね」
「他の人に迷惑かけるものじゃないから」
 それ故にというんだ。
「あってもいいでしょ」
「ええ、本当にね」
「そうなったわ」
 こう話してだ、そしてだった。
 マーガレットは以後自分の代々受け継がれている忍者の能力を嫌がりはしなかった、そして何よりもだった。
 周りここではアメリカ社会を見てだ、母にこんなことも言ったのだった。
「私太らない体質よね」
「ええ、代々ね」
「忍者としてその体質も受け継いだのね」
「忍者は太るとね」
 どうしてもとだ、母も言う。
「動きに影響が出て隠れにくくなるし」
「論外よね」
「だからその体質も受け継いでるわよ」
 忍者のサラブレットとしてだ。 
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