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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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216部分:聖剣その五


聖剣その五

 子供達は解放軍の本陣に保護されるとそれぞれの故郷へ帰されることとなった。親を暗黒教団に殺され孤児となっている子供はフィラートにより孤児院で養われることとなった。
「セリス様、子供達をこちらまで護り導いてきたと思われる年老いた司祭殿がおられます。セリス様にお会いしたいと言っておられますが」
 天幕を出て子供達への対応を下すセリスへカリオンが報告に来た。
「僕に!?」
 セリスは問うた。
「はい。如何為されますか」
「子供達をここまで連れて来てくれたような徳のある方だ。是非お会いしたと伝えて」
「はっ」
 こうしてセリスと諸将が揃う本陣の天幕において会見の場が設けられることとなった。騎士に案内されて何やら布に幾重にもくるまれたものを抱く一人の年老いた司祭が中に入って来た。
「えっ・・・・・・!?」
 その司祭を一目見てオイフェ、ノィッシュ等シアルフィの旧臣達は思わず声をあげた。司祭の方もわかっていた。オイフェ達の方へ顔を向けるとニコリと微笑んだ。
「オイフェ、この方とお知り合いなの?」
 セリスは驚いているオイフェ達に問い掛けた。
「はい、この方はパルマーク司祭、かってシアルフィの宮祭であられた方です」
 少年の様に弾む口調である。再会の喜びが全身から溢れ出ている。
「シアルフィの宮祭?じゃあ父上の家臣だった方だね」
「はい。バイロン様、シグルド様の二代に渡って仕えてこられたシアルフィ一の司祭と称えられた方です。その法力は死の床にある病人ですらたちどころに完治させてしまえる程です」
 ノィッシュが言う。
「人格は言うまでもありません。思えば幼きの私も悪さをして親に叱られた時どれだけ優しく慰められたことか」
 アレクはどうやら子供の頃からあまり変わっていないようである。
「長い間シアルフィの民を守る為忍従の日々を送っておられると聞いておりましたが今こうして再会出来るとは・・・・・・。それも子供達を暗黒教団の魔の手から救い出されて・・・・・・」
 アーダンは感極まっている。意外と感激屋であるようだ。
 彼等の声の中パルマークは静かにセリスの前に出て来た。そしてゆっくりと片膝を折った。
「初めまして、セリス様。シアルフィのパルマークです」
 セリスはパルマークを立たせた。
「パルマーク司祭、解放軍のセリスです。子供達を助け出して頂き有り難うございます。このセリス心より御礼申し上げます」
「いえ」
 パルマークは頭を横に振った。
「子供達を助け出したのは私ではありません。ある方が子供達を暗黒教団から救い出され私に預けられたのです。私はその方の言われるままに動いただけなのです」
「その方とはどなたですか?」
 セリスは尋ねた。
「それはその方との約束なので申し上げられません」
 パルマークは言った。
「そうですか」
「はい、申し訳ありません」
 だがパルマークは言葉を続けた。
「ですがその方は私にあるものを授けられました。それがこの剣です」
 そう言うと今まで両手に抱えていたものをセリスに手渡した。
「剣!?大きい剣ですね。大剣ですか?いや、違うな」
 セリスは手に取ってみた。
「大剣よりずっと軽い。一体どのような剣なのですか?」
「布を取ってみて下さい。そうすればその剣が何であるかすぐにお解りいただけます」
「はい」
 セリスはその幾重にも巻かれた布を取っていった。次第に白く輝く刀身と豪華に飾られた柄が露になってきた。
(その剣は・・・・・・)
 オイフェは目の前にある剣に見覚えがあった。だがにわかには信じられなかった。
 遂に最後の布がセリスの足下に落ちた。オイフェが叫んだ。
「セリス様、ティルフィングです!」
「えっ!」
 一同その言葉に大いに驚いたとりわけセリスの驚きようはすごかった。
 
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