歌集「春雪花」
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遠くありて
想いし君ぞ
影もなく
野山にかかる
雪そ恨めし
遠く離れた彼をどれだけ想っても…姿を見ることさえ儘ならない…。
見渡す限りの雪景色…雪はまるで全てを覆い隠すように積もり…彼との僅かな思い出まで覆い尽くしてしまいそうだ…。
今はそんな雪が…恨めしくて堪らない…。
春を感ず
零るる日差し
影落とし
月日の経るを
思ゆものかな
雪は降るものの…時折降り注ぐ日差しは、春を思わせるほど暖かくなってきた。
その光りは柔らかな日溜まりを作り、歩く自分の足元に影を落とした。
彼がいなくなって…どれだけ経つのか…。
無造作に過ぎ行く時間…彼との距離は遠退くばかり…。
私は歳をとるばかり…。
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