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Blue Rose

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第四十三話 あえてその場所にその三

「今日は忘れていたわ」
「あまりに急で」
「頭が一杯になってね」
「冷静だと思っていたんだけれどね」
「時と場合によるわ」
 冷静でいられるのにも、というのだ。
「こうした時は幾ら何でもよ」
「冷静にいられるものじゃないんだね」
「誰でもそうだと思うけれど」
 大切な人の危機、その時にはというのだ。
「それはね」
「僕もそうかな、どうしてもね」
「そうなるわよね」
「自分でもそう思うよ」
「全く、とにかく今はまだなのね」
「メールは来たけれどね」
 それでもというのだ。
「そこからの動きはないわ」
「そうなのね」
「うん、これからだよ」
「それでメールはどうしたの?」
 メールのこともだ、優子は確認を取った。
「警察に通報したの?」
「副所長さんがね」
「そうなの、速いわね」
「こうしたことはすぐにしないとね」
「駄目ってことね」
「しかも警察もちゃんとした人にお願いしないとね」 
 警察官も様々ということだ、残念ながら中には不真面目な輩もいてこうした通報を取り合わない場合もある。もっとも大抵は真面目な人であるが。
「駄目だからね」
「そのことも踏まえてなのね」
「もう通報したよ」
「じゃあその先生も新聞記者も」
「これで終わりだと思うよ」
「後は逮捕されるだけね」
「蓮見さんの情報をどうして手に入れたのか」
 岡島は優花を見つつ優花に話した。
「そのことも問題だしね」
「戸籍謄本でもないと載っていないことよ」
 優花の過去の性別のことはというのだ。
「それはね」
「そうだよね」
「あんなもの滅多に出せないから」
 優子もはっきりわかっていることだった、戸籍謄本はそれだけ公表されてはならない個人情報が記載されているということだ。
「それも私達の本籍地は奈良だけれど」
「多分長崎市の市役所から伝って行ったと思うけれど」
「長崎市の時点で気になるわね」
「確実にやばいことで手に入れてるね」
「そうね、それでその副所長さんは」
「今はお部屋にいるよ」
 彼女の部屋、即ち副所長室にというのだ。
「ご自身の仕事のこともあるから」
「それでなのね」
「うん、あと君の宿泊先は」
 岡島は優子にこのことも話した。
「どうするのかな」
「そういえば」
 そのことを言われてだ、優子ははっとした顔になった。実は今までそうしたことも頭の中から消えていたんだ。
「どうしようかしら」
「もう夜だけれどね」
「今からホテルに入るにしても」
「予約とかしてないよね」
「全くね」
「それじゃあどうするのかな」
「何も考えてないわ」
 本当に一切考えていなかった、言われて気付いた位だ。
「どうしたものかしら」
「男の子も来るんだよね」
「ええ、龍馬君も多分あと少ししたら」
「じゃあ彼のことも考えないとね」
 岡島はそこまで考えを及ぼした。 
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