ハイスクールD×D~黒衣の神皇帝~ 再編集版
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陽だまりのダークナイト
グリゴリの研究施設
とまあ、教会トリオとの買い物デートだったが帰った後に〆られたかに関してだが。アイツらは色んなルートを使って十八禁を買っていたらしく、反省の色も感じなかったので一週間謹慎処分とした。それも自宅ではなく寺に預けて煩悩退散させようと滝行やらの修行を。
「最近だと私含めたハイブリッド達によって、ゼノヴィアさん達が大胆な行動を取れないと愚痴ってました。リアスもそうですが」
「ああ。元々ハイブリッドにしたのは、俺らの仲間にするならと言う意味でもあるし一緒に住む前提でな。さっきのようにハリセン一発叩けばいい事だし」
「一真さんのそれは駒王学園男子生徒の畏怖になってます。女子を叩く場面は、今の所グレモリー眷属ぐらいでしょうか」
「それに私や白音さんも譲ってくれますから、一真様の膝上を占拠する事はありませんわ」
俺が持つハリセンは、駒王学園男子生徒全員に畏怖させてるから心配してない。何時も膝上を占拠する事はなく、俺を商品のようにして競い合う事を禁止している。オーフィスの特等席の大抵は、肩か膝か肩車のどちらか。仲間だからか、交代で譲る時もある・・・・それに女子生徒に叩く程愚かな俺ではない。
「それにしてもあの二人は、そんな場所まで行って買ってたとは思いませんでした。今度生徒会としてでもありますが、何らかの対策をしない限り一真さんのストレスになりかねます。学校ではそのような物を禁止してますが、荷物検査する程の時間はありません」
「どうやって隠し持って来れたのかはいいとして、ルートを潰してはまた新たなルートを使ってくる奴らだ。『禍の団』と同等ぐらいの面倒な相手であり、アイツらにエロと言う思考回路を無くさない限り何度でも買ってくるだろ」
「そうだな一真。当時俺が転校時、アイツらには注意だと言われた事があった」
「恐らく女子達にだろうが、まさにその通りだ。アイツらはイケメン死ねみたいな事を言ってくるが、既に遅いしアザゼルを入れたイケメン四天王などと言われるようになった」
何せ俺らは、学園のアイドルと言われた者達と仲良くしてるからな。一度だけ男子生徒の敵になった事があったけど、全てハリセンでぶっ叩いて以来そのような目で見なくなった。特に男子生徒は。女子生徒はそのような目では見ていなかった。ゼノヴィアが椅子に座ってテーブルに置かれていたクッキーを一つ摘まむと聞いてきた。
「ところで何の話をしていたんだ?」
「魔法使いに関してな。確か苦手だったんだっけ?」
「・・・・私はヴァチカンにいた頃から魔法使いの相手が苦手だったな」
「教会でも魔法の使用については賛否がありましたよね?」
俺はゼノヴィア達に魔法について話していたと返す、ゼノヴィアの戦闘スタイルから見て魔法使いとの相性は悪い様子。現在では何とかなってるが、全ての能力は使えないが何れ使えるようになるさ。
アーシアも参加してきたが、教会暮らしの二人もその通りと肯定。俺は初耳だが、教会でも魔法使用について未だに是非が分かれてる。一般的な魔法は悪魔の魔力が大元となってるから、信仰心の厚い上層部にとって面白くない代物。
「確か他の神話体系にある魔法もシャルロットの範疇から逸するとかで賛否両論だったけ?」
「そうですね。宗教の思想は難しいですが、その辺りを割り切って魔法使用した者も居たらしいです」
とここで俺のノーパソからメールが入るとスマホから鳴ったので、閉じたノーパソを再び開くと宛名は月中基地本部から。内容は黒の駒を更新結果、俺の眷属及びハイブリッドの者達を他外史へ行ける事が出来るようなった。
この前ヴァーリが言ったように、出来ない事を出来る事をすると公言してた。その方が楽だし他外史行ってたとしてもだ、他からのヘルプがあればコイツらを使って行けば良い事に。ノーパソでの返信、内容はお疲れさんと打ってからそれ以外の者達についても行けるよう現在イアン達が開発中。
新たな駒開発をしてる事もだが、正史と外史の中間辺りからヘルプが来る事もな。その時には我らソレスタルビーイング全体が行けばいい事だ。ノーパソを閉じてホッとしてるとソーナが聞いてきた。
「先程はため息でしたが、今度は良い事でもありましたか?」
「まあな。黒の駒及びハイブリッドの者達は、何時でも外史から外史に行き来出来るよう駒更新したんだと」
「やっとか!これで俺達は一真の命によって行ける事となった訳ね。この外史ではなく別外史へ行ける事は、前々から気になってたよ」
「ヴァーリが言った言葉を思い出してたが、俺に出来てヴァーリ達に出来ない事を出来るようにした。本来の使命はドウターを倒したり破滅外史から保護するのが、我々次元パトロール隊の役目だ。戦闘狂ヴァーリには歓喜かもしれんが、使命を忘れんように行動すればいいさ」
ここに居る全員が嬉しがっていたが、一つ言い忘れてたのを思い出したかのように言った。夢幻と無限を象徴するドラゴンであるアグニとオーフィスが、今居る外史から離れると消滅してしまう事を。これからの議題として、二人に龍神を連れて行けるようイアン達やクリス達と話し合う事になる。それについては後々考えるとして、この前までこっそり魔法を使ってる教会の戦士が居たそうだな。
「この話題も良いが、ゼノヴィアとイリナに聞きたい。魔法を突破するには何が必要だと思う?」
「何だかんだ言っても魔法を弾けるだけのパワーは必要だと思う」
「力をセーブした状態だと前衛ならそれがアリかもしれない。後衛のフォローだとすると、アンチマジックに関して展開すればいいのかしら」
「魔法に対する心構えですか?宜しい、私が少しお話ししましょう」
「頼むよロスヴァイセ」
次の相手も魔法絡みだと思うし、コイツらの考えは同じとも言えないぐらい分析してたイリナ。前回は前衛だったとしても次は上手くいかないかもしれない。そう考えてると泳ぎ終わってタオルを渡して体を拭いていたので、丁度良いからアンチマジックに関する対魔法の持論を語り出す。水着姿でもスタイルも抜群であり、俺だけが知っているロスヴァイセはジャージ姿で百均に拘る残念属性を持つ。
「いいですか、アンチマジックとは・・・・」
「流石ロスヴァイセだ。水着姿でもお得意の魔法に関する知識を語り出すのも悪くない」
俺の呟きさえ聞いてない様子だが、魔法使い二人も復習なのか聞いているルフェイとゲオルグ。駒王学園の教師で公民科を教えていて、今居ないアザゼルは化学を教え込む姿は教師か研究者にしか見えん。随分前に同じ事を言われた気がした。
「魔法は物理的な攻撃と防御で何とか出来るとか言ってたが、確かグリゴリ幹部のアルマロスが言ってた気がする」
「一真はアイツに会った事あるのか?」
「ああ。グリゴリ施設に行った事があってな、そこで偉い思考の奴らと出会ったが確かバアル戦が終わった頃だった気がする」
あの時は確かバアル家を訪問して人間界本家にて、やっと俺が織斑一真としてバラシた時期だった。零達也でもあるが、本名を名乗る事も出来た事でやっと解放感を感じた気がした。とある日に放課後へ行くと部員が居なくて、朱乃達が人間界本家に居る事を知った俺が戻ると朱璃さんと朱乃とギャスパーが居た。制服から普段着へ着替えてからリビングへ向かうと、紅茶を飲みながら待っていたらしい。
「家に戻れば朱璃さん達が居るとの事だが、俺に何か用で来たのか?朱璃さんは今日休みだっけ」
「こんにちは一真さん。今日は非番でしたので、娘と一緒にある場所へ行って欲しいのですが宜しいでしょうか?」
「姿を見れば分かると思うが、どこへ行くんだ?」
「グリゴリ施設ですわ。母様が是非との事ですので、ギャスパー君も一緒で構いませんか?」
「あそこか。確かウチが資金提供したよな?『はい。関東の研究施設ですわ』やはりか、あそこは視察なら行ったが今回はバラキエルにでも用があるのか?」
バラキエルに用があると言う証拠に朱璃さんと朱乃が持っている紙袋、蒼い翼には本社と支社があって傘下も結構ある。中には小さな町工場もあるが、使える物は何でも使う事がウチのポリシー。ギャスパーも一緒と言う事は、あの施設に興味があるからか。グリゴリは堕天使の組織で、オカ研顧問してるアザゼルが総督をしている。神器関連の研究や神器所有者の観察を始めとした様々なもんを調査。
「ウチと似て冥界に本部があって支部も世界中にあるとか。俺らが資金提供した施設もその一つとされている。ギャスパーも興味があると?」
「はい。私もグリゴリ施設には一度行きたいと思いまして」
「では早速行ってみるとしよう。桜花、俺達はグリゴリ施設へ行ってるんでな。帰りが遅くなるかもしれん」
「畏まりましたご主人様」
「と言う訳で行こうか。その施設に」
俺ら四人はグリゴリ施設へ行くが、専用転移魔法陣からジャンプして到着。俺の持ち物はショルダーバッグで、主にスマホと仕事用端末等々。腰に拳銃を入れたホルスターと擬態させたナイフを装備、銃刀法違反になるが職業軍人だから問題無しだ。目の前で事件発生だと権力により逮捕や追撃も出来るし、相手が武器を使おうとしても念力で動きを封じる。
蒼い翼関東支社がグリゴリ支部に資金提供して作られた場所で、新設された人里離れた山中にて一度視察に来た事がある。アザゼルが日本の関東圏に研究所を持ちたかったらしく、各陣営と交渉権を持つ蒼い翼と共に共同出資&共同機関と言う形で設立。各陣営に蒼い翼として資金提供と交渉権を持つ俺ら、仲介者も俺らだからスムーズに進んだ。
「まだ新設されたばかりだから、新品の匂いがするな」
「通路を歩きますが、壁も廊下も綺麗ですね」
「四人で通路を歩きながらも埃や塵一つありませんね」
「あの時はまだ我らの存在を知られてなかったので、各陣営とグリゴリとの仲介をさせた時は全員が誰?と言った事を思い出しました」
「織斑一真として知られてない時、視察訪問と言う名目で各陣営トップ全員が思った事だろう。そん時のアザゼルも同じ事を言ってたな」
アザゼルが居た時、各陣営トップと仲介権を持つ巨大グループが来ていると言うだけ知らされていた。だから自己紹介して蒼い翼本社社長の代わりとして来たと、朱璃さんも俺の力によって擬態されてたからアザゼルやバラキエルでも気付かなかったんだっけ。俺を先頭に通路を歩くが施設の研究員から挨拶される。
「俺達の事は既に知られてる訳か」
「私達と言うより一真さんだと思います。母様も一度来た事があると言ってましたので」
堕天使組織の総督の盟友だし、傍から見ればラスボスと部下達みたいな感じで。組織の者が知らない訳がないし、姫島家にとって関係者と言っても良い程。人里離れた場所に怪しげな組織が作った研究所ってのは、普通は主人公達が乗り込んで破壊すると言うオチが見える。ギャスパーは平然と歩いているし、興味津々で見渡している。
「ん?何だ一ちゃん達も来ていたのか。誰が知らせたんだ?」
「何だ。アザゼルも居たのか」
「まあな、ここはグリゴリ研究機関の新しい施設。完成したばかりだから、立ち上げに必要な事が多くてな。時折顔を出している」
背後から声がしたので振り返ると、俺の盟友であるアザゼルが居た。見た目完成でも中身がまだまだのようで、堕天使総督でもあるしこの施設の監督でもある。
「一ちゃんはいいとして、朱璃さんと朱乃にギャスパーは何しに来たんだ?」
「何時も主人がお世話になっております。私と朱乃はウチの主人がこちらに居ると聞いてやって来ました」
「ついでに私はここの施設を興味持ってたので」
「なるほど。バラキエルに用が無ければここには来ない訳ね、それにギャスパーが来た理由も分かりやすい」
アザゼルが俺より後ろに居る朱璃さん達に問い掛けると、二人はバラキエルでギャスパーは元々興味があったからと。何やらバラキエルに内緒で来たと言ってた。
「朱璃達がここに居る事を奴は知ってるのか?一ちゃん」
「さあな?恐らく秘密で来たんじゃねえのアザゼル」
「・・・・アザゼル、例の資料が纏ったのだ」
アザゼルに話しかける者が俺達の後方へ現れるが、振り返れば白衣に眼鏡と言う出で立ちをした若い男が立っていた。瓶底眼鏡に髪はボザボサ、一目で研究ばかりしてる学者と言う容姿。アイツがソイツを見ると笑顔で手を挙げてた。
「ああ、すまないな、サハリエル」
「アザゼル。コイツは誰だ?」
「紹介がまだだったな、いくら一ちゃん達でも幹部達を紹介するのすっかり忘れてたぜ。瓶底眼鏡のコイツは幹部の一人であるサハリエル、主に月による各種術式作用を研究している」
「コイツが堕天使組織の幹部なのか?今まで出会った幹部はどれも前線向きだが、コイツが幹部の一人とは思えねえ~」
今まで出会った幹部と言えばバラキエルぐらいだが、ここが完成時にはトップ同士だったかもしれん。もう一人居たコカビエルはコキュートスで永久凍結の刑、堕天使の幹部と言えばどれもガタイのいい奴だとばっかり。それと聞き捨てならねえ事を聞いたが、月関連に関する事だと言った気がする。
「そういえば一ちゃんは、他の幹部に会うのは初めてだよなー。会った事のある幹部は前線向きだったし、まあコイツみたいなひょろい奴もいる。グリゴリ結成時のメンバーは元々研究熱心な奴が多かったぜ」
「なるほどな。迫力が全然感じないが、元々研究肌を持った幹部と言うのなら納得がいく」
「サハリエル、コイツが創造神黒鐵兼赤龍帝と蒼い翼本社社長の織斑一真だ。っと知ってたけ?」
「無論なのだ。初めまして、織斑一真様。この度、研究資金を提供して頂き感謝するのだ」
「よろしくな。ウチの資金を使って頂くのは結構だが、不正無しで使っているよな?」
ちょいと脅し文句を言ってみたが、何とも無い顔をしながら握手しといた。アザゼルの紹介により朱璃さんと朱乃を紹介するが、丁寧に一礼しながら改めて自己紹介する二人共。
「夫がお世話になっております。妻の姫島朱璃と申します」
「娘の姫島朱乃と申します」
「あーバラさんとこのかー。噂には聞いてたけど、こりゃ美人だし溺愛しちまう訳だ。奥さんと瓜二つだし、最初見た時双子かと思ってしまうとこだったよ」
朱璃さん達を見てサハリエルはメガネを上げながら驚愕してたが、俺もサハリエルに同意見だな。アザゼルはコイツが手にした資料を目に通すと、俺にも渡してきたので一応目を通す。アザゼルに返すと資料一ページ目にサインをし、ついでに俺のサインも入れてサハリエルに返す。
「ほいよ。俺と一ちゃんによるサインしたから、その資料の元でお前の好きに研究をして構わん」
「しっしっしっ、それはどうもなのだ。これであれを切ったり、貼ったり、潰したりできるのだ!しっしっしっ!」
アザゼルの一声を聞いてからなのか、サハリエルは不気味な笑みを浮かべていた。一応俺も見たが、コイツにとって研究し甲斐があると言う事でサインしたまで。個性的な笑い方しながら怖そうな事を口にしてたが、多分大丈夫だろうと思いながら堕天使幹部は変人ばかりだと少し嫌だな。
「ん?そっちのお嬢さんはもしかしてもしかするとヴァンパイアだったりするのだ?」
「そうですよ。初めまして、ギャスパー・ヴラディと言います。ハーフヴァンパイアでグレモリー眷属の『僧侶』です」
「丁度良かったのだ!ヴァンパイアの素体が必要だったのだ!ぜひ協力してもらうのだーっ!」
「おい、サハリエル。俺の後輩に何かしたら・・・・分かってるよな?」
サハリエルがマジマジと見ているがコイツは男だ。見た目女に見えるが、中身は男だと知ったら落胆するかもしれん。手を引いて猛ダッシュしそうになったので、耳元に囁く俺が居てハリセン持ちながらな。囁くとダッシュを止めて、無言で頷いた所でギャスパーに何かされたら通信機で伝えろと。そう言ってサハリエルはギャスパーを連れて行ってしまった。
「悪い一ちゃん。アイツの癖が出ちまったが、忠告受けたんで大丈夫だろうよ。多分」
「多分って何だよアザゼル。一応忠告したし問題無いとして、アイツに何かあれば資金提供を一時ストップするぞゴラァ」
「それは勘弁願いたい。ギャスパーに通信機渡したのなら、一応見張りが居るから大丈夫だろ。何かされる前に壊す気満々で言ってたし、お目当てのバラキエルだが奴が居そうな場所に移動しようや」
アザゼル先導の元、俺達は施設内を進むと幹部用に用意されている会議室。円卓が置かれていて席には二人座っていたが、知らん幹部だと思うが誰だろうな。
一人はブロンドの男性で、長身に装飾が凝ったローブを纏い頭部にサークレット。もう一人はキリッとした切れ長の目に薄紫色の長髪をした女性、見た目は手厳しいそうな雰囲気を出してる魅惑的でスタイル良さそう。男性の方がアザゼルを見るなり告げる。
「アザゼルか。施設なら滞りなく機能し始めているよ」
「そのようだな、タミエル。と言うよりお前らも来てたんだな」
「ああ、見学しにね」
アザゼルにタメ口という事は幹部か。男性もそうだが女性の方も俺と朱乃と朱璃さんに目を向ける。
「あら、そっちの若いカップル・・・・と思ったら朱璃じゃない。久しぶりよねー」
「お久しぶりですわ。ベネムネ。主人が何時もお世話になってます」
「と言う事はこちらが朱璃の娘さんかー。で、こっちの彼は織斑様よね」
「姫島朱乃と申します。お母さま様のお知り合いだったのですか?」
「朱璃に似ているわね。織斑様は今回見学しにですかね」
ベネムネと呼ばれた者は朱璃さんと知り合いのようで、ついでに娘である朱乃と一緒に話しこんでる。見た目と違って口調は軽いようだし、見た目クールビューティーなのに中身はライトと言うギャップか?考えてると何時の間にか蚊帳の外状態へなった。
「おいお前ら。一ちゃんを蚊帳の外にする何て良い度胸してるじゃねえか?」
「あらごめんなさい。久しぶりの友人に会ったからね」
「まあいいとしてこの二人がタミエルとベネムネ。さっき居たサハリエルと同じ幹部だが、コイツらは営業担当と書記長としてな」
「やっぱりか。二人もアイツ同様グリゴリ幹部に出会うとは、今回だけなのかアザゼル?幹部が出揃うと言うのは本部が手薄になると思うぜ」
と舌をペロと出していたけど、まあいいとして今日はやたらと幹部に出会う事で聞いてみた。するとアザゼルが同じ事を思ってたらしいが、半眼で見てたらしいけど二人共笑いながら返す。
「確かに織斑様のお言葉については疑問になるわよね~でも総督自ら最前線に出張っていて、しかも織斑様も最前線タイプだから副総督のシェムハザを労った方がいいわよ。アンタ」
「何で一ちゃんには文句ねえのやら、まあいいとしてアイツにはよーく言ってあるから問題ねえよ」
「確かに俺も最前線タイプだが、たまには副総督を労うのも上の役目だと思うが」
「ハハハ、まあ織斑様もトップとしての苦労も分かってらしいね。用事も済んだので、我々もここを発つ寸前だったから挨拶出来ただけでも良かったかもね。ここはアルマロスとバラキエルの二人が居れば問題無いだろう」
アザゼルが総督とは思えない程だが、俺も総司令官で同じ前線タイプだが副長の苦労ぐらいは知っている。シェムハザもよくこんなフリーダムな奴を総督にしたのやら、まあいいとしてタミエルが手に持つ書類を纏めていた。
「俺達はバラキエルに用があったんだが、どこに居るか知ってるのか?タミエル」
「あー恐らくですが、あの二人は所有者達に色々と仕込んでるかと思われます。ところでアザゼル・・・・」
軽く聞くと所有者達と言うのは神器関連か?そのままアザゼルとタミエルの二人が話し込んでるし、この施設の事や他の研究についてとか言ってた。するとベネムネが朱璃と話し込んでると朱乃に向けて手招きした。朱璃さんも同じように手招きをする。
「朱璃のお嬢ちゃんに興味あるから、ちょっとこっちにいらっしゃいな。あのバラキエルが惚れた朱璃の娘なら素質ありそうだしねぇ朱璃」
「ええ朱乃。こっちにいらっしゃい」
大人同士の会話から朱乃を引き込んで二人の元へ行く、疑問符を付けながらだがもしかしてアレに関してか?そのまま女子会ムードになりつつ、二人が交互に話していると朱乃も興味を持った顔になってた。
まるでどういう事か?と興味深そうに耳を傾けていたが、やはりアレ関連で間違い無さそうだな。部屋の壁を見てたら絵画があって誰かの写し絵が複数枚あるが、戦争前に撮った俺と三大勢力との写真が大事そうに額縁で飾られていた。すると不意にアザゼルの目がこちらに移る。
「どうしたんだ?一ちゃん」
「これが懐かしく思えてな。あとコイツらの絵は一体誰何だ?」
「それに関しては俺達堕天使組織にとっては、最大級大切にしてある写真だからな~それは複製だが本物は金庫の中に保管されている。色が落ちないようにな、ソイツらは仲間の絵で昔の戦役時に死んじまったさ」
「なるほど。これが複製とは、あの時から結構時経ってるし劣化されちまうと困る代物だ。コイツらを見ても知らないって事はそう言う事か」
「グリゴリ設立時の幹部メンバーで残ってんのは、俺とシェムハザにバラキエルとさっきのメガネにタミエルとベネムネ。まだここに姿を現してないアルマロスの七名だ」
「・・・・コカビエルのバカもコキュートスに行っちゃったもんね」
ベネムネは頬杖を付きながら、寂しそうに息を吐いた。ま、あれだけ悪さをしたんだし刑執行時に俺も見てた。奴が絶対零度に氷漬けにされるのを。昔の仲間だと言うのは変わら無さそうだし、戦争狂と言う性格だがアザゼル達にとって長年共に動いてた仲間だもんな。
「コカビエルの分も用意していたのだった」
「惜しい奴を亡くしたもんだ」
「ってアホ!」
するとタミエルがコカビエルを模した絵を取り出し壁に掛けて、アザゼルはそれを確認すると懐から仏具の鈴を取り出してチーンと鳴らす。それを見た俺は反射的にハリセンを取り出してアザゼルにブッ叩く。
「絵を遺影のようにしてチーンとか、宗教間違えてるんじゃねえよ。って言うか今思い出して悪いが、コイツらは死んでねえ。ちゃんと生きてるよ」
「いててて。そのハリセンは相変わらず痛いが、今何て言った?コイツらが生きてるだと」
「それがアザゼルや各陣営で畏怖されてると言うハリセンなのね。痛そうだけど、死んだ仲間が生きてるって本当なの?」
「本当だ。朱璃『それに関しては事実ですわ。惑星アースにて暮らしております』蒼い翼関連で仕事してるよ、信じられん顔してるからアイツらの様子でも見るか」
朱璃に事実確認をして小型投影機で惑星アースを拡大させて街中を。今壁に掛けてあるコイツらを映すと本当に全種族と共に働いてる姿が次々と映っては、本当に生きている事で泣いていたアザゼル達。投影終了後、アザゼル達に感謝されて主に蘇らせてくれた事だが。そもそも堕天使が仏教で死者にチーンは可笑しいし、アザゼル達は聖書関連のはずだ。
「とりあえず俺らの仲間が生きてた事により、これからは仏具で鳴らすの止めるわ。じゃ、俺らはコイツらと話があるんで一ちゃん達はバラキエルんとこに行ってみろ。トレーニングスペースと言う場所があるから多分そこに居ると思うぞ」
「そうさせてもらうよ。朱璃達も用件は済んだか?」
「はい。じゃ、ベネムネまた今度で良いからね」
「そうさせてもらうわよ。織斑様と同じ蒼い翼で働いてるって事は何れそっちで会う事になりそうだわ」
「では早速ですけどトレーニングスペースに行ってみましょうか。お母様と一緒に有意義な面白い話も聞けた事ですし・・・・うふふ」
何だか朱乃が妙にワクワクしてるのは気の所為では無さそうだが、ベネムネと朱璃さんの入れ知恵かもしれん。俺は手を挙げて二人は一礼後、会議室からトレーニングスペースへ移動。施設内もだが前来たよりも活気があるから良さそうだが、とある休憩所を通りかかると自販機近くにバラキエル発見。どうやら長椅子に座って休憩中のようだが、朱璃さんは静かにと合図して近付く。
「「お父様/貴方。ここに居たのね」」
「あーだから静かに近付いた訳か」
「ブフーッ!」
体格の良いバラキエル本人が妻と娘が来た事で、仰天と言うか驚愕のようにして飲み物を飲んでたとこだったのか吹いた様子。ゲホゲホと咳き込みながらバラキエルがこちらを見る。
「朱璃に朱乃!ど、どうしたのだ。このような場所まで来て・・・・ゲホゲホ」
「大丈夫かバラキエル。落ち着いてから飲み物を飲めって」
俺はまだ咳き込んでたので背中に手を置きながら、仙術により落ち着きを取り戻したのでゆっくりと飲み物を飲んだ。ついでに吹いた飲み物を咄嗟に無効化を発動したから掃除する事無く。何時ものバラキエルがこんなにも面白反応するとは、厳格な外面だけど中身はどうだったか。ま、妻と娘が電撃訪問だから予想を超えた驚きなのだし。
「朱璃達もですがお久しぶりです一真さん」
「久しぶりだなバラキエル。こんなにも素を見せてくれるのもレアな光景を見たよ」
「流石の私でも驚愕はしますよ。ところでここには何しに来たのだ?朱璃に朱乃よ」
「私と朱乃の用件はこれですわ」
朱璃さんと朱乃が持つ紙袋にはプラスチック容器を取り出し、蓋を開けると美味しそうな煮物が入ってた。朱璃さんお得意の筑前煮、昨日の夜に夕食として出たようだけど昨日から帰ってないのか?
「昨夜お母様と一緒に作りましたの。お弁当も母様と一緒に作って来ました。昨日から帰ってないと聞いたので、ついでに一真さんと一緒に驚かそうと思ったので」
「そう言えばここに来てから食事を碌に取って無かった気がする」
「見た目大丈夫そうに見えるが、施設一部はブラックなのか?後程でいいから確認しないとな」
パックに入ったご飯と味噌汁が入った魔法瓶を取り出す。長椅子に空間から取り出した机上に食事を並べるが、バラキエル曰く施設内の整備に追われて忙しく過ごしていたそうな。朱璃さんは端末を取り出して、今後のスケジュールを確認していた。最近帰っていないのなら、強引にでも休みを取らせる事で俺に許可を求めたので即許可を出した。
「朱璃さんも蒼い翼本社で働く社長秘書であるが、休みも無い状態が続いてるならグリゴリ本部かアザゼルに言ってみろ。お前も真面目に働くのも良いが、その内ワーカーホリックになりかねん」
「仕事中毒になってましたか。心労も見える一真さんですし、今後はそうする気ではありますよ」
俺がそう言うと朱璃さん達も頷いていて、久々の食事なので手を合わせてから筑前煮を箸でつまむ。口に入れて味わいながら食べてたし、次に味噌汁とご飯を食べてたが途端に涙を流しながらな。
「うみゃい・・・・うみゃい・・・・ッ!」
「貴方ったら大袈裟ですわよ。何時も食べている物でしょ?」
「ま、久しぶりの手作りの食事は久々だったんじゃないのか。俺も気持ち分かるなー」
「そう言えば奏とは他外史に行ってるんだったかしら」
俺が頷くと離れ離れの妻に関して気持ちが通じたようだ。家族の味ってのは簡単に忘れられないし、姫島家で食べる時は何とも思わなくとも離れて久し振りに食べると泣くに決まっている。俺が作る料理は世界一だが奏が作る料理は外史一だ。
「うぅ、何て美味い煮物なのだ・・・・!私は世界一幸せな父親だ・・・・ッ!こんなに煮物を美味しく作れる妻と娘が居る何て・・・・ッ!」
「バラキエル。その気持ちは俺もよーく分かるぞ。忘れては困るが俺も息子を持っているからな、久々の妻の手料理は泣けるよなー」
手料理を口にして心底幸せな顔となりながら、朱璃さんと朱乃は作って来て正解のようにハイタッチしてた。何時も姫島家で見る顔と違い、久し振りに食べる姿は余り見た事ないらしい。俺もだが反応はバラキエルより抑え目だ。
「それとこちらが用件の本命ですわ、貴方」
「これは?」
「今度父兄参加の三者面談がありますので、お母様の用事と一緒に行こうと思いまして」
とバラキエルに一枚のプリントを渡す。朱璃さんの用事は食事で朱乃は父兄参加の三者面談ね。それは父親であるバラキエルに知らせないといけないし、プリントを貰って真面目な顔をしようにも目には涙だったのかハンカチで拭く朱璃さん。
「うむ!これは大事な事だ!勿論、是が非でも赴く。わざわざありがとう。朱乃」
「ついでに私からは蒼い翼冥界支社からの書類を渡しますわ。これは私と一緒に出席して下さいな」
「妻とは会社で娘とは学校ね、お前さんも板挟みだな」
「用事も済みましたわ。ではお誘いを受けてますので、お母様と一緒に行かせてもらいます。一真さんもしばらくはここの見学でもして時間潰して下さい。私とお母様も施設見学しに行くので、後程ギャスパー君と一緒に合流しましょう」
大きく頷いて合意してから朱璃さんは、セリフを持ってかれたので後程合流しましょうとなった。恐らくベネムネの誘いだと俺は思うし、何せバラキエルと朱璃さんの夜這いに関する事だ。二人が行きギャスパーも居ない状況だが、俺は特に用が無かったので二人っきりとなる。
「バラキエル、どうだった?久々の家族の飯は?」
「一真さん美味しかったですよ。久々に食べるとつい泣いてしまったが、一真さんも泣くのですね。そういえば奏さんは元気にしてますか?」
「ああこちらも元気だ。ただ最近奏の手料理を食べてないのがちょっとなー・・・・帰ったら奏がいる間にでも頼んでみるか」
「その方が宜しいかと。それよりこれからどうしますかな?この先にトレーニングスペースがあるので、見学してみてはどうですか?」
「それはどう言う場所だ?あの時の視察には案内されなかった所だと記憶しているが」
「ええ。あそこは神器所有者達を鍛え込んでる区画なのですよ」
そういや匙もここで修行したんだっけ?グリゴリが神器所有者を保護し、所有者を集めた鍛錬場と言うのも興味はある。俺は既に禁手化してるから大丈夫だが、どんな風に鍛錬してるか。俺はバラキエルの案内でトレーニングスペースに行く。
「ここがトレーニングスペース前の扉?どう見ても悪役が居そうな基地前にしか見えないのだが」
「やはりそう見えますか。私は普通だと思ったのですが、やはりこの扉前が異常過ぎると言う事ですね」
目の前にあるのはデザイン凝ったレリーフの『G』と言う文字が刻印された扉であり、グリゴリの頭文字だけど俺的には悪役が居る基地にしか思えん。バラキエル先導の元、扉が両開きになって一歩足を踏み入れた時。
「ぐわぁぁぁっ!」
「ぬぐわぁぁぁっ!」
突然、苦悶に満ちた悲鳴の数々が俺の耳に飛び込んでくるがこれは悲鳴か?バラキエルは先を進むので、先に進むと通されたのは広い通路。ガラス張りの壁から部屋の様子が伺える。
「ぐおおおおっ!まだまだぁぁぁっ!」
「俺をどうするつもりだ、グリゴリィ!ふぬぅぅぅっ!」
とある部屋では男性が磔にされたまま巨大鉄球クレーンの一撃を受けたり、違う部屋では手術台に拘束された男性が見た事のある医師団に囲まれて最上級の抵抗を叫びとして響いている。何だこれは?鍛錬場とは思えない程、仮面ライダーが改造人間にされるシーンが思い浮かぶ。神器所有者を鍛え上げる区画、通路進む度に各部屋の様子を見かける。
『相棒、俺から見ても拷問にしか見えんのだが』
「俺もそう思ってるとこだ。鉄球に手術とは違い、重りを装着しながら水中に沈められる部屋やドリルにノコギリがある手術室もあるな」
「一真さんにはそう見えるようですが、ここは特訓フロアとして使われております。彼らは己を高める為、グリゴリのトレーニングを受けています。勿論懲罰とかじゃないです」
「マジ?どう見ても昔の特撮ヒーローをそのまま使ってるようにしか見えん」
自分で受けていると言うより、強制的に受けさせてるにしか見えんし懲罰かお仕置き部屋にしか。考えるとここはアザゼルの組織が運営している施設、匙もロキ戦前にグリゴリ本部へ連れてかれて訓練を受けたお陰でヴリトラの意識が回復。アイツに聞いても思い出したくないと連呼してるし、覚醒したヴリトラ自身も余り知られたくなさそうなテンションだった。
「身寄りもなく神器と言う力を持ち放置されて神器所有者は、我々グリゴリが勧誘か保護をすると言う役目を持っています。ここでは彼らに力の使い方を教えています」
「珍しく説得力あるけど、アレで力の使い方を教えてる光景だとは思いたくもない。で?力の使い方を学んだ神器所有者を将来的にはどう活用する?堕天使の研究は神器所有者が異能故の苦しみを緩和する事は知ってるが」
「以前お話しましたが、三大勢力の協定前だと他勢力の流出を避けて成長した所有者を組織内に留まらせていました。無論力に関してですが、一真さんとの仲介により三大勢力の和平協定後に力の制御を覚えた者は、一般人としての生き方を学習させる為に蒼い翼冥界支社がある領地に行かせます」
「それに関しては知ってる。ゴールデン・ウイング領なら、例え神器所有者でも人間界に住みたいのなら練習として住ませている。願いを認めるには制限付きと言うのがありましたが、今だと優秀な教官達により認めさせてました」
俺とバラキエルが交互に答えるが、昔は確かに制限付きで戦争があったからなのかもしれない。現在では和平前からテロリストに対抗する為、神器所有者を集めていたと言ってた。俺も所有者であるけど、既に一般人として動いているし神様でもあるから叶えられる願いは必ずしも叶うかどうかは己次第。するとバラキエルに話し掛ける者が現れた。
「おおっ、バラキエルではないか。ぐはははははっ!」
「ああ、アルマロスか。ここに居たのなら言ってくれ、コイツはグリゴリ幹部の一人であるアルマロスです。主に魔術に対する攻撃、アンチマジックに関して研究している者ですよ」
「ぐははははははっ!対魔術なら任せておけーい!」
簡単に紹介されたが、先程通りかかった部屋から顔を出した体格の良い男性。鎧と兜にマント姿、顔に眼帯と野性的なヒゲと左右に盾と斧を持っていた。見た目からして特撮ヒーローの敵組織幹部と言う感じで、俺が知っているのだと昭和ライダーの敵役にしか見えんよ。
バラキエルも普通に会話してるし、どの幹部も普通じゃねえなと思った。オマケに盾を見ると同様のレリーフが刻まれてるし、兜も鷹か鷲のイメージ。
『対魔術にしては格好が程遠いような』
『アンチマジックを研究している者には見えんな、どう見ても西洋甲冑を着たオッサンにしかな』
「アルマロス、こちらが創造神黒鐵兼赤龍帝の織斑一真様だ」
「初めましてと言おうか。俺は織斑一真・・・・」
バラキエルが俺を紹介し始めたが、別に様付けはいらんけど気にしたら負けだ。挨拶しようとしたら突然特撮野郎の斧が迫ってきたので、空間から剣を取り出して受け止める。そのまま弾くが、何すんだと文句言おうとするとアルマロスは斧を持ちながら叫ぶ。
「貴様の事は知っているぞ、黒鐵め!ついにこのアジトを破壊しに来たのだな!?」
何だか知らんが訳の分からん事を言う奴だな、俺が何をしたんだっつうんだよ!ここの資金提供者だぞ。
「ここで会っては百年目!決着を付けてくれるわ!」
「何の決着なのやら、大体創造神黒鐵である俺が何をしたんだよ!」
アルマロスが興奮しながら指を鳴らすと、各部屋から『グーッ!』と言う奇怪声で叫ぶ。鷹か鷲のデザインされた黒い全身タイツを着込んだ者らが集まるけどさ、アレはどう見てもショッカーの戦闘員にしか見えんよ。
「バラキエルよ、アレは何だ?どう見ても一昔の特撮戦闘員にしか見えんが」
「その通りでしてグリゴリ戦闘員と見えますよね。私も朱璃と会う前はこれが普通かと思ってましたから」
「堕天使の奴らはこんなにも変人が集まる集団だったけ?アザゼルと初めて会った時には、こんな奴らは居なかった気がするんだが」
天使や堕天使ってのは、位が上がる程偉い存在となるがコイツら堕天使は上になるほどアホになるのか?バラキエルやシェムハザはアホではなく常識人、総督がアザゼルだからかもしれん。グリゴリ抜けた理由について聞いてなかったが、もしかしてコイツらが居るから抜けたくなったのでは?アロマロスがショッカー擬きに囲まれながら哄笑を上げる。
「ぐはははははっ!黒鐵め!このアジトはやらせんぞ!このアジトは世界を征服する組織、偉大なるグリゴリのものだ!ここに足を踏み入れた者は生かしてか帰さん!グリィィゴリィィィィ!」
『グーッ!』
そう叫ばれても困るんだが、セリフがどう考えても敵組織っぽいし敵視されてる。何か知らんが生きて帰す訳にはいかん的な事言われても困るし、ここを破壊されて嬉しがる奴はいないだろう。バラキエルも困り顔で説明してくる。
「申し訳ありません一真さん。アルマロスは日本の特撮ヒーロー番組とやらの悪役に魅入られてしまってるのです。アザゼルもアザゼルで、一真さんと接する時と違う顔でアルマロスと接します。なので普段からこの調子なのですよ」
「何となく理由は分かったが、お前も苦労人ではあるな」
「ええまあ。アルマロスよ、実は一真さんに神器所有者を鍛えるグリゴリの技術を見せたいと思うのだ。ここは一つ・・・・」
どうだと言おうとすると言葉を止めたまま、とある特訓部屋に目を留めさせてるが二度見する時点で何かあったな。視線がそっちの方向のまま固まってるんで俺も覗き込むと。
『あらあら、これぐらいでへばってしまう何て鍛えがいがありませんわ。うふふ・・・・もっとこの雷と鞭で鍛えて差し上げますわよ!』
『朱乃、鞭の使い方はさっき教えた通りだからやってしまいなさい。私に似た性格なのだから、私の娘ならこれぐらい出来るでしょ』
『ぐはっ!ああ、女王様ぁぁぁっ!俺をもっと鍛え込んで下さぁぁぁい!』
見知った人物がSM女王様的な衣装は朱乃で、指南役として朱璃さんがそこに居た。雷入りの鞭にて神器所有者を容赦なく打ち続けてるが、アレはアレでいいのだろうか?現にここに父親であるバラキエルが見てる訳だし、やっぱ先程分かれた時の用件がコレとは。
「あ、あ、朱乃ぉぉぉぉぉ!し、し、朱璃ぃぃぃぃぃ!?」
「あれは先程加入したばかりの女幹部候補と指導者だ。ベネムネの差し金のようだが、やはり指導者の娘だけあってお似合いじゃないか。良い女王としてだが、この先がとても楽しみであるな!ぐははははっ!」
「アレはやはり朱乃とはね。バラキエル本人は口開けたまま目玉飛ぶ程の驚愕振り、朱璃さんの娘だからかあのSM衣装は似合うな」
「う、ウチの娘が・・・・うーん・・・・」
女王様としてやってる朱乃と普段着だが同じく鞭を持って指導してた朱璃さん。流石親子と言っていい程に鞭を振る姿もそっくりだし、たまに指導する朱璃さんも楽しそうだから止めないけどな。所有者に電撃鞭を振り続けてるし、二人共生き生きとした様子だ。アルマロスも豪快に笑ってたし、俺も似合うと思った。
ベネムネもこの事知ってたようだし、ドSとドMの顔をしてるからお楽しみはこれからのようだ。バラキエルが娘の変貌にショックを受けて床に倒れ込むけど、確か俺がやる時は立ち位置が逆だった気がする。
「ぐはははははっ!よし!黒鐵を捕まえろ!」
『グーッ!』
「そうはさせるかっての。お前らがその気なら俺だってそうさせてもらう『Black Steel改!』変身!『Black Steel改!』」
「何だと!黒鐵がベルトによって変身しただと!お前らやってしまえ!」
あちらがやるならこちらもやるとして、ベルトを装着して変身ポーズを取った。変身後、黒鐵改専用剣にスロットルを差してショッカー擬きを次々と撃破して行く内に到着した広大な特訓部屋。磔台と巨大鉄球を積んだクレーン、戦闘員はパンチやキックにより全員地面にブッ刺した。先程生身でクレーンを打ちつけられたが、俺だと生身でも片手で防げるが悪魔だと辛い。
「流石は黒鐵だな。だがしかし訓練を受けてもらうぞ!神器所有者の特訓で一番効果的なのは鉄球だ!これを乗り越える事で力が目覚めるし、特撮ヒーローも同様にパワーアップした。黒鐵よ、貴様もこれを味合うが良い!」
『相棒。それは本当なのか?』
「ドライグよ、今更で悪いがそれはあくまでテレビ特撮ヒーローでの架空設定だから余り本気にするな。アレはテレビドラマでもあるし、あんなの受けなくとも禁手化も出来た。ドライグも肉体持てて暴れ回る事が出来たしな」
『確かに鉄球と神器に関係があるかと言われると無いよな』
「ヴリトラの匙元士郎もこの鉄球に耐え、改造手術を受けたのだ!」
おいおい、それがホントならめちゃめちゃ引き継いでるな架空設定を。俺とドライグが会話中にもアルマロスが言うには、証拠として背中に『G』の刻印がされて改造手術を受けたそうだ。思い浮かぶのは昭和ライダーが改造受けるのしか浮かばんし、匙もこれが原因で思い出したくないと言ってた。
「これこそ、我がグリゴリで改造手術を受けた者の証。匙元士郎はグリゴリの科学技術によって、ヴリトラ怪人となって再生した!」
「怪人?そんなの信じられるか!」
「奴はグリゴリが誇る怪人だ!」
完全に昭和ライダーを引き継いでると確信、設定古いし最近のライダーは改造人間ではない事を。ショッカー擬きをCycloneメモリを剣に入れてるんで、天閃擬きにはなってるようだ。ちなみにこれは俺の遊びついでに開発し、専用メモリのテストも兼ねてコイツらと遊んでいる。
「神器所有者に力の使い方を覚えさせるには、鉄球と改造手術による強化かドラゴンと山で猛特訓してのパワーアップ。これは科学的に検証されているし、理論的にも実証されている
「どれも古い設定を引き継いでるに過ぎん。前者二つは設定であり後者は既に俺達がやっているが、お前は対魔術専門じゃねえのかよ!?」
「魔術に対抗するには圧倒的な物理攻撃だ!魔法使いは殴って殺す!奴らは魔法に頼ってばかりの軟弱者しか居らぬからな!殴れ殴れ!ぐはははっ!」
「物理攻撃とはやれやれだな。こりゃアザゼルらグリゴリに連絡して資金提供を止めさせる手があるのだが?」
物理攻撃のみでの研究と言うよりお遊びに過ぎんが、俺らは魔法に対抗力が聖剣エクスカリバーと神器を加えた戦法が基本中の基本。銃火器にMSとISによる部隊、最近だとオートマトンも動いてるようだがコイツが堕ちた理由はバカだったからなのでは?
「丁度他の部屋で改造手術が始まるようだ。なので一時休戦して見ようじゃないか!」
「一時休戦は良いが、決して見終わるまで戦うなよな」
変身解いてから巨大モニターを見ると、他の部屋での様子が映し出されるがそこには手術台に乗せるのに失敗したのか。その者をアップで見るとギャスパーだったので、激しく抵抗しながら囲む怪しげな医師団は。
『私はグリゴリの研究に興味があったから来てみれば、何をするのですか?』
『無論なのだ。この手術を受ければ理論上、絶大な力を得られるのだ。・・・・それが改造手術と言う事であるから生まれ変わろうじゃないか!織斑様が見ていないから大
丈夫さ』
「ってバカ野郎!」
不安げに抵抗しながら強いヴァンパイアになれるとか言ってたが、画面に瓶底眼鏡のサハリエルは俺が居ない隙にと言うので空間切断にて向かう。ギャスパーが改造手術されるのは御免だし、怪しげな医師団全員をハリセンで次々と地面に刺していく。逃げようとしても無駄で、空間から手を突っ込むとサハリエルの首根っこを掴みながらこちらへ戻した。
「おい!さっき言ったよな。俺の後輩に何したらどうなるか、分かってるよな?」
「一真先輩助かりました。私は興味津々で付いて行かない方がよかったですね」
全く何やらかすのやら分からんが、本来だと磔にされて改造手術を受けたんだったか。チェーンソーのエンジンを吹かしながら何かされてたな、確か手術後段ボール箱から頭と手足生やしただけとなって箱を開くとミサイルが搭載されてた。
尋問しながら考えてたが、とりあえずサハリエルにO・HA・NA・SIした事で真っ白となった。当然だ、俺の尋問から逃れた奴は居ない。
「ふう。やっと戻ってきたが今度はアイツが磔にされてるのか」
「ここがトレーニングスペース?どう見ても某特撮ヒーローの・・・・」
「どうやら、こっちの部屋では新しい女幹部候補による粛清が始まるようだぞ!」
そこまで言わなくとも分かってるからとギャスパーに言って、磔にされたバラキエルと朱璃さんと朱乃が女王様の格好をしてた。アルマロスが嬉々として画面を見てたが、朱乃の隣には服装は変わってないけど同じ鞭を持ってた。
粛清ってアイツが何をしたのやらと考えるし、ギャスパーも何で朱乃が女王様の格好をしてるか聞いてきた。先程まで神器所有者に雷入りの鞭で鍛えてたと。親子揃って鞭を持ち、バラキエルに近付く様は何とも言えんよ。
『あ、朱乃!何という格好をしているのだ!もしや朱璃が教えたのか!?』
『お父様。私、前々から知ってましたのよ。お母様とこう言うお遊びをしていたと!』
ベシンッ!と朱乃が鋭く鞭をしならせてバラキエルの体に一撃を入れる。ベネムネと朱璃さんの入れ知恵がこれとは、普通なら父親に向けて一撃喰らうと怒られるのがオチ。バラキエルの場合だと怒ると言うより歓喜する、そう思って映像には予想通り喜ぶ姿を見てた。
『・・・・いい。だが、朱璃の一撃はこんなもんではなかったぞ!』
『朱乃。少しやり方が違うわよ。この人の場合はこうやってするのよ!』
ベチベチと朱璃さんがバラキエルに一撃一撃を入れるので、恍惚とした表情を漏らす。ギャスパーにはあのようなプレイもあると言うと、ネットで調べてあるから何となく理解してた様子。激しく鳴り響く鞭の音。今は朱乃ではなくお手本として朱璃さんがやってた。
『あああああっ!流石朱璃だぁぁぁぁ!この一撃は久々だー!』
『なるほど。そのような力加減だとすれば、次はこうでしてよ!』
バラキエルが喜んでる間に朱乃が学んでから再び鞭を打ち始める。最初よりマシになったが、バラキエルは先程よりも良い声を上げていた。俺も鞭を使うが今まで使った事はなく、教鞭したぐらいしかだと思うと更なる歓喜していたな。
『おおおおおっ!流石朱璃の娘だぁぁぁ!すぐに鞭の入れ方を分かるとは!』
『やはり本当の事なのですね。お母様と毎夜の如くSMプレイをしていたとお母様に聞いた時は疑問でしたが、この反応は本当の事ですわね!何と言う男!まさに堕天使ですわ!』
『ああ、朱乃に朱璃が同時に鞭を入れるなど、余りない事だぁぁぁぁ!鞭捌きは親子に似たのだな!私は!私は何て幸せ者だ!やはり一真さんに鞭の使い方を教えておいて正解だったな朱璃!』
『鞭の使い方は一真さんに教えられたのですの?お母様』
『ええまあ。最初は私独自でやっていたんだけど、一真さんが武器として鞭も使うと聞いたから。貴方に頼んで使い方を教わったわ。だから私や朱乃が鞭の振り方の元が一真さんのやり方を真似して、振り続けると何時の間にか習得した訳よ』
朱乃が生まれる前の話になるが、鞭の入れ方が微妙だとバラキエルから聞いて駆けつけてみた。すると磔にされたバラキエルとSM女王様の格好をした朱璃さんが、待ってたかのように指導を受けて見本として受けたんだったか。
で、朱璃さんが真似をするように振り続けてSMプレイの事は朱乃には秘密でと。朱乃が寝ている時間は夫婦の営みと言うSMプレイ専用部屋を隠しておいた。バラキエルの堕ちた理由がコレらしい。ドMの夫とドSの妻と言う顔を知ってるのは一部な。
「総督は胸揉んで堕ちたが幹部も良い堕ち方をしたもんだ」
「それフォローになってませんから・・・・あの部屋にアザゼル先生が来ましたね」
ギャスパーに言われたが独り言だと思えばいいし、にしてもアイツは神出鬼没だな。俺は興味ないが、朱乃も朱璃さんも日頃の鬱憤を晴らすように鞭を振る。
『よーし!俺は駒王学園の教師でもある!ここで三者、いや四者面談やろうぜ!お父さんにお母さん!娘さんは大学部に進学したいそうですが、ご意見は?』
『そうね。私は賛成ね。娘には大学に行ってもらった方がいいわ!貴方は?』
『もちろん賛成です、アザゼル教諭!知識を広げ、将来の選択肢を増やす意味で大学への進学はうんほぉぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!ダブルでの鞭もいい!すんごくいいいいぃぃぃぃぃっ!』
『そうですか、お父さんにお母さん!大変キマっていらっしゃいますね!・・・・ってぎゃふん!』
で、何で四者面談やってるんだ?三者面談は今度だろうに。ひでえ面談風景で、鞭を振り続けながら真面目に答える朱璃さんもどうかと思うぞ。やはり二人の性格も同じだからか、瓜二つと見えてしまうけど俺はこのようなプレイはやりたくない。
二人のダブル攻撃を受けたアザゼルだったが、ギャスパーは俺を見てたけどハリセンで叩く程でない。呆れてるだけ。大抵空間に手突っ込んでハリセンを叩く癖がついてしまったが。
『うぅぅぅんっ!これは!痛いながらにも的確に相手の性感ポイントを見定め、鞭のしなりと絶妙な打撃インパクトでMな性癖を高まらせやがる!一ちゃんめ、このような事も教え込むとは流石一ちゃんだな!天性と思ったが一ちゃんの指導でこうなった訳か!クソ!鞭で語る四者面談!そう言うのもあるのか!教職は奥が深いぜー!へぶっ』
今のは俺だし確かドラゴンと戦車をドッキングするような話題があったけど、このままスルーしても問題ないだろう多分。サハリエルもだがアルマロスも相当イカレテるし、このまま帰る前にやる事があった気がしてならねえ。三人回収して逃げるのも策だが、親子でSMプレイ中だから邪魔するのは野暮。
「さてと、そろそろこっちも始めようか」
「おいおい、一時休戦してたのにもう終わりとは。ま、俺的には視察だと思ってやるしかないが」
とアルマロスがまた指を鳴らすと戦闘員が再び来たので、ハリセンから鞭にして戦闘員に鞭で攻撃をした。その後、アルマロスが最後に言った言葉があった。
「攻撃魔法は強力だ。普通に殴りかかっては返り討ちにされるだろう。となると、どうすればいいか?簡単だ!より鍛えて正面から魔法に耐えうる体にすればいい!鍛え抜かれた肉体はあらゆる属性魔法を跳ね返す!物理防御と物理攻撃こそアンチマジックの基礎理念!魔法に耐えたら顔面パンチで殴って殺す!これぞ、対アンチマジックの研究結果なり・・・・」
「そうはさせるかよ・・・・やはりここはお仕置きが必要だ『Black Steel改 Joker!MaximumDrive!』ライダーパンチ!」
「ちょっと待て、まだセリフが・・・・ぐわぁぁぁぁああああ!」
『さあ黒鐵よ!貴様はここでグリゴリ色に染め上げられるのだ!鉄球で体を鍛え上げて、魔法の効かない肉体を手に入れろ!冥界ヒーローは今日グリゴリの支配を受ける』
とこのようなセリフが流れるはずだけど、そうはさせまいと必殺技発動させたライダーパンチでブッ飛ばすアルマロス。ショッカー擬きは捕縛後、この後使う予定の必殺技を受けてもらった。四者面談してたアザゼルもこちらを見たのか、強制終了したい勢いにてそのままライダーキックを受けた。で、アザゼルにはこのままだと資金提供をストップさせると言う脅迫。
「朱璃さんに朱乃とバラキエル、まだやりたいのなら姫島家の隠し部屋でやってくれ。そろそろお開きして帰るぞ」
「一体何の事ですの一真さん?」
「朱乃には黙ってたけど、姫島家には夫婦の寝室に隠し部屋があってそこにはSMプレイ専用部屋を作ってくれたのよ」
「・・・・このままでも良かったが一真さんが言うのだ。我々も神器所有者を鍛え上げなければ」
「それにトレーニングスペースってのは、苦行を熟す精神修行だそうだ。アザゼルに聞いたけど、ちゃんとした神器所有者のトレーニングは他にあるそうだな。このままだとグリゴリ関係者は変人変態の集まりだと言ってしまいそうだ」
そう言う訳で三人仲良くシャワーを浴びてから着替え終えてそのまま人間界本家まで帰還した。姫島家にそのようなギミックがある事を知った朱乃は、そのまま続きをやろうと気分アゲアゲだったと後程バラキエルに聞いた。
資金提供については一時ストップ、見直しとなりながらまた資金提供を始めた我ら蒼い翼。ちゃんとシェムハザに報告したんで今頃〆られてるアザゼルの姿が見えてしまうと思った。
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