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Blue Rose

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第四十二話 脅迫その七

「それで完全に安心は出来ないわ」
「一体何が起こるのか」
「何が起こってもいい様にはね」
「それこそ、ですか」
「心構えはしておくべきよ」
 大人、それも不測の事態を目にすることも経験することも多い医師の立場からだ。優子は龍馬に言った。
「いいわね」
「わかりました」
「それじゃあね」
「いざという時は」
「長崎に行くわよ」
 こう龍馬に言ってだ、自分も心構えをしていた。そしてだった。
 優子も龍馬も状況を見守っていた、優花は療養所の中で静かに暮らしていた。危機が過ぎ去るのをそうして待っていた。
 だが副所長はその彼女にだ、こうも言った。
「何かあったらね」
「その時はですか」
「私達に言ってね」
 こう言うのだった。
「療養所の中に変な人を見ても何かを見付けたり何かあっても」
「変な人ですか」
「ここはセキュリティもしっかりしてるけれど」
 それでもというのだ。
「忍び込んだり盗撮もね」
「出来るんですか」
「そうしたことが出来る相手もいたりするから」
「だからですか」
「注意して、そしてね」
「何かあったら」
「私達に言って」
 自分や岡島にというのだ。
「そうしてね」
「そうさせてもらいます」
 是非にとだ、優花も答えた。
「その時は」
「相当に気を使っているけれどね」
 それでもというのだ。
「完全はないから」
「それはですか」
「そう、ないわ」
「誰も入られないとかはですか」
「自信はあっても過信は出来ないわ」
 完全に誰も入ることは出来ないとまでは言い切れないというのだ。
「ここは刑務所じゃないから」
「あそこまでの警備ではですか」
「ないから。壁はあっても鉄条網とかはないから」 
 壁のその上にだ、刑務所の常としてそれが備えられている。
「警報器とかもあるけれど」
「突破出来る人は突破出来るんですね」
「そう考えているから」
 副所長はというのだ。
「だからね」
「用心してですね」
「そう、ちょっとでもおかしな人を見たりしたら」
 まさにその時はというのだ。
「通報してね」
「そうさせてもらいます」
 優花はまた答えた、副所長は優花のことにかなり気を使っていた。彼女を療養所の中に匿ってもそれでもだった。
 警戒態勢を解いていなかった、そしてその危惧は当たった。
 ある日の昼にだ、岡島と共に食事を摂っていた優花の胸のポケットにあった携帯電話から音楽が鳴った、その音楽はというと。
「AKBだね」
「はい、会いたかったです」
「君その曲好きだったんだ」
「昔から」 
 つまり男だった時からというのだ。 
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