オズのアン王女
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第三幕その六
「随分伸びているわね」
「そうですよね」
「これはおかしいわね」
「どうしてかそうなっています」
「ううん、これは」
腕を組んで考えつつ言うアンでした。
「ちょっとないわね」
「ここ最近こうなんです」
「最近なの」
「はい、どうも」
「こうなることには原因があるわ」
絶対にと言うアンでした。
「これはね」
「やっぱりそうですよね」
「農業の時に何かしてる?」
アンは村の人に尋ねました。
「何か」
「それは」
村の人はここでお話しました。
「肥料を村全体に撒いてまして」
「撒く時に?」
「はい、気球を使って」
「そうしてるの」
「それが一番広く速く撒けるので」
「ああ、それはね」
そのお話を聞いてです、アンはすぐに言いました。
「かえって駄目よ」
「そうなんですか」
「だってそれをやったらね」
気球で村全体に肥料を撒くとです。
「お家にもお庭にもかかるわね」
「そして野原にもですか」
「そう、だからね」
そのせいでというのです。
「草も伸びてるのよ」
「野原のですか」
「オズの国の肥料は質もいいから」
それで農作物もあっという間に成長するのです、だからオズの国の農業はいつも豊作なのです。元々何処も土地がとても肥えていますし。
「だからね」
「お庭や野原に肥料を撒くと」
「凄く成長するのよ」
「そうだったんですか」
「だから気球で撒くことはね」
「止めた方がいいですか」
「というかどうしてそんなことをしたの?」
アンは逆に首を傾げさせて村の人に尋ねました。
「一体」
「いえ、ですから速いからです」
「気球で撒いたら」
「村長さんがそうしようって決めて」
「確かに速いけれど」
それでもとです、アンはまた言いました。
「それはね」
「止めてですか」
「そう、ちゃんと畑にだけ撒くの」
そうしないといけないというのです。
「自分の手で」
「それが大事なんですね」
「ちょっと村長さんに会わせてくれるかしら」
アンは眉を少し顰めさせて村の人に言いました。
「そしてね」
「村長さんにもですか」
「このことをお話するわ」
「そうされますか」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「このことを止めてもらうから」
「止めればですね」
「そう、野原の草がこんなに育つことはなくなるわ」
野原に肥料が撒かれることがなくなるからです。
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